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転がしお銀 (NHK総合金曜21:15〜21:58)
金曜時代劇
制作・著作/NHK
共同制作/NHKエンタープライズ21
制作協力/NHKテクニカルサービス、NHKアート
制作統括/大津山潮、諏訪部章夫
作/内館牧子
演出/富沢正幸(1、2、5、8、9)、一色隆司(3、4、7)、田中正(6)
音楽/平尾昌晃
主題歌/『忍冬(すいかずら)』坂本冬美
語り/永井一郎
出演/お銀(山岡菊)…田中美里、宗太郎…武田真治、伝兵衛…三遊亭金馬、初市郎…小泉孝太郎、お房…結城美栄子、お花…片桐はいり、お美代…坂本冬美、留造…山本晋也、勘助…伊東貴明、恐山霊五郎…舞の海、鬼拳の力…井岡弘樹、工藤鉄五郎…小林健、岩田吉之助…豊原功補、おたね…青木和代、お雪…梶原ひかり、おゆう…かねさだ雪緒、一平…石倉三郎、梅弥…風吹ジュン、お安…池内淳子、八十吉(山岡網右衛門)…伊東四朗
ほか

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最終回「転がり続けりゃ苔生えぬ」(12/5放送)
☆☆
 おゆう(かねさだ雪緒)を身請けするために公金を使い込んだのもまた息子自身だったことを知り、八十吉(伊東四朗)が大いに落胆する最初のトリックから、実際におゆうのことを愛していた息子の実像が見え隠れしていく展開には、世話物的なふんだんに盛り込まれていていた。エンジンのかかりが遅すぎたことが、あまりにも残念ではあるが。
 そしてお銀(田中美里)は読み本書きになるために、曲亭馬琴の弟子になる!高代藩江戸屋敷の刺客を撃退する妖怪作戦の何倍も怖かったのが、江戸を離れることに怖いと駄々をこねる梅弥(風吹ジュン)の生娘ぶり?!(麻生結一)


第八回「女郎はすべてを知っていた」(11/28放送)
☆☆
 言うほどのどんでん返しは起こってないんだけど、お銀(田中美里)がお安(池内淳子)から「転がしお銀」と命名されたことにより、最終回の準備は整った感じ。長屋を出て行くと言うお銀と宗太郎(武田真治)を引き止める池内淳子演じるお安の江戸っ子的な気風のよさが気持ちよかった。(麻生結一)


第七回「見つけたり!隠し妻」(11/21放送)
☆☆
 引っ越しの最中に母親・房(結城美栄子)を亡くした宗太郎(武田真治)とおゆう(かねさだ雪緒)が再会し、今度こそはドラマが核心へと迫ってくれるのではとの期待感も無きにしも非ずかな。(麻生結一)


第六回「もてない男のたくらみ」(11/14放送)
☆☆
 宗太郎(武田真治)が見事な泳ぎを披露することで、宗太郎=広之進の疑念がいっそうに深まることに。お安(池内淳子)の買い物依存症の話も、今と絡めようとする狙いが見えすぎてて、あまり面白くない。これだけのキャストがそろっているのだから、あまり変なことをやらないほうが面白くなるはずなのに。(麻生結一)


第五回「宗太郎に狐がついた!」(11/7放送)
☆☆
 キツネの霊がついて味噌をなめ回す宗太郎(武田真治)の演技派ぶりが見もの。お武家様の宗太郎があんな芝居できるはずもない、って感想には思わず納得。そんなキツネを長屋のみんなで扱き出して、口からポッコリって、そんなバカな。
 宗太郎をめぐるお銀(田中美里)の恋敵、梅弥(風吹ジュン)との年の差が見ながらにどうしても気になる。ここでこのドラマ、かなり損をしているように思えてならないのだが。(麻生結一)


第四回「宗太郎の正体、梅弥の本性」(10/31放送)
☆☆
 依然、シリアスとコメディのバランスは中途半端も、第1回以来に物語り自体は転がった。ただ、幽霊騒ぎの張本人だった宗太郎(武田真治)の素性が何となく見えてしまうだけに、どうにもドラマに厚みが出てこないのがつらいところ。(麻生結一)


第三回「地蔵の辻でお雪が消えた」(10/24放送)
☆☆
 その美しさゆえに天狗に襲われたと主張する大工・一平(石倉三郎)の女房、お花(片桐はいり)の野に咲く花ぶりが糸をひくおかしさ。八十吉(伊東四朗)の髪結い修行の初日は空振り。ここが盛り上がってこないと、ドラマの方も盛り上がらない。
 お銀(田中美里)が恐山(舞の海)の娘・雪(梶原ひかり)のために、雪が生まれてすぐに死んでしまった母の幽霊、産女(うぶめ)に扮するエピソードはいい話の域にとどまる。ドラマにコクを出すためにも、長屋の住人の絡みにもう一歩うまさがほしいところ。お銀が恋焦がれている宗太郎(武田真治)が母・お房(結城美栄子)の看病に追われているのは、今風なエッセンスを加えようと思ってのことだろう。(麻生結一)


第二回「恋仇は 辰巳の芸者」(10/17放送)
☆☆★
 しっとり系の金曜時代劇のテイストは期待するべくもないが、長屋の人間模様はさらっと見通せて楽しい。幽霊退治に出かけた話に、一緒に行った宗太郎(武田真治)の名前を連発するお銀(田中美里)と百戦錬磨の梅弥(風吹ジュン)との年の差恋愛対決は、内館牧子の脚本らしい発想。八十吉(伊東四朗)が勘助(伊東貴明)に髪結いの弟子入りするくだりで、時々忘れてしまいそうになってご愛嬌の敵討ちの手はずがようやく整う格好に。

「いまさら、髪結いの弟子になろうってのかい。勘助のとっつぁんかって年して」by梅弥

確かに。ホントの親子だもんね。天狗よりもお花(片桐はいり)の怖がりっぷりの方が怖かったりして。(麻生結一)


第一回「転がる人生 苔生えぬ」(10/10放送)
☆☆☆
 NHKとの相性はイマイチの印象が強い内館牧子脚本作なれど、バカバカしくもはじけたノリで、この時代劇はいい感じで転がりだしたのでは。
 ここのところ、韓国系のドラマ専門の声優さんになったのかと思っていたお菊役の田中美里の変わり身演技が見物。東北言葉と伝法な口ききとの使い分けは爆笑物だ。
 色っぽい女性陣がどうしたことかみんなご高齢。柔肌をさらけ出す梅弥(風吹ジュン)はまだしも、お安(池内淳子)の登場にはキラキラなSEですよ。その後、欲張り婆に色狂い、あの世いきに老いぼれ芸者とお互いがお互いをののしりあう様を見て、何となくホッとする。
 長屋の連中も多種多様で面白い。元力士の知性派、恐山霊五郎(舞の海)とは、横綱評議委員の内館さんならではのおふざけぶり。大工の一平(石倉三郎)と女房のお花(片桐はいり)との相思相愛ぶりも笑える。豆腐小僧?ぜんぜん怖くない幽霊群も楽しみだ。伊東四朗の町人姿を見ると、どうしても『お江戸でござる』って感じなんだけど(内容も似たようなものか?!)。(麻生結一)




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