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天使みたい (NHK教育土曜19:00〜19:25)
ドラマ愛の詩
制作・著作/NHK名古屋
制作統括/銭谷雅義
原作/山下和美
脚本/戸田山雅司(1、2、9、10、11、12)、岩村匡子(3、4、7、8)、伊川尚孝(5、6)
演出/出水有三(1、2、3、4)、今井洋一(5、6、7、8)、濱田裕之(9)、吉永証(10、11、12)
音楽/大島ミチル
テーマ曲/『Be Happy』Lead
出演/戸川はるか・かなた…黒川芽以、大滝航…崎本大海、浜中一久…石坂晴樹、夏目洋美…石河美幸、神林所長…外山文孝、岩津泰平…チャーリー、夏目渚…高橋祐月、理事長…深山義夫、井上義人…横山揮英、間宮千歳…島津ひとみ、合川…大嶽隆司、大滝航介…伊沢勉、大滝詩穂…中田裕子、名波彰子…中島由紀子、泥棒…大竹忠広、啓司…古川貴博、まりえ…河崎有紀、里菜…丸山香織、木村汐里…川原麻衣、小湊巡査…中野寛之、サンタクロース…小栗一将、学園職員…小林正和、はるか(5歳)…鈴木優、かなた(5歳)…鈴木舞、芹沢辰平…天野鎮雄、戸川翔一郎…鶴見辰吾、戸川美咲…岡田奈々
ほか

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第12回「さよならの海」(9/20放送)
☆☆
 大滝(崎本大海)とのラストデートに、かつて自らが交通事故で死んでしまったかなた(黒川芽以)がトラックにひかれそうになる子供を体をはって助けるくだりに、このドラマの素直なよさが出ていた。つっこんできたトラックの運転手がどこに行っちゃったかは、定かではないが。
 安めのCGもかわいくていいんだけど、何といってもかなたとはるか(黒川芽以=二役)のカットが違和感なくつながっているのには毎回驚かされた。さすがに、はるかがかなたを担ぐショットは実現しなかったけど。想像の範囲を出ていなかったにもかかわらず、かなたが初めて海を見るシーンにはやっぱりホロッとくる。
 国家機密を盗んで私用に使ってたっていうのに、相変わらず美咲(岡田奈々)さんには緊迫感全然ないなぁ。なるほど、クリスマスツリーの飾りが天使みたいなのね。コンピューターの住人になったかなたが会話するブラウザもかわいいかったりする。(麻生結一)


第11回「かなたが壊れちゃう!!」(9/13放送)
☆☆
 99.75パーセントでしか人間になり得ないかなた(黒川芽以)は、シンクロラムのオーバーフローなるSF風の誤作動を開始。そんなドサクサに、かなたが大滝(崎本大海)とはるか(黒川芽以=2役)のツーショットに乱入したことで、はるかが苦し紛れに2人は双子だと偽のカミングアウトをしてしまうオープニングからハラハラさせるも、大滝も意外に冷静だったりする。

「おかしいと思ったんだよな。戸川って会うたびに性格、コロッコロッ変わるから」by大滝

との感想はごもっとももで。
 そして、渚(高橋祐月)の大滝へのプレゼントを投げ捨てるにいたり、いよいよかなたが暴走機関車と化すのか思いきや、さにあらず。ドラマはだんだんと悲しいお話に。一連の誤作動に妙に冷静な美咲(岡田奈々)はちょっとヘンでは。ここにはもう少しケレン味がほしいところ。見るからに弱そうなブルースリー風の翔一郎(鶴見辰吾)みたいに。
 自らが壊れてしまうことを自覚するかなたも、ロボットであることは大滝に知られたくないとは、せつない乙女心ね。それにしてもJAIL(日本人工知能研究所)の面々って、見るからに悪役だなぁ。液体窒素ガン持ってるし。敵は迫るも、なぜかなたは自分の足で逃げない?天子の羽根がペン画風でかわいい。(麻生結一)


第10回「恋する鉄腕ガール」(9/6放送)
☆☆☆
 はるか(黒川芽以)とかなた(黒川芽以=二役)の特殊な関係性が効果的に生かされることによって、ドラマ愛の詩シリーズとしては久しぶりに面白いドラマになってきてくれていて、素直にうれしい。
 大滝(崎本大海)をめぐって激しく争う、はるか(黒川芽以)とかなた(黒川芽以=二役)が大激突のにぎやか篇を思わせといて、かつて海を見る目前でこの世を去った妹・かなたへの思いをせつなくよみがえらせるあたりには、その意表をついたうまさにすっかり感心させられた。
 大滝がはるかに思いを告白する場面を目撃して、内蔵データにバグが出た、なんてアナログなんだか、ハイテクなんだか微妙な話になったと思ったのも束の間、今度は停止していたはずのかなたが勝手に再起動などといったチープなSF調もこのお話にははまってる。幾度となくはるかの邪魔に入るかなたのプレイは、よく見ると監禁に縛りだったりするデンジャラス。さらなるかなたの大暴走を予感させて、ドラマはますます面白くなってきた。(麻生結一)


第9回「告白のゆくえ」(8/30放送)
☆☆★
 失恋というはるか(黒川芽以)にとっての初めての経験と、人間の裏腹な思いに直面するかなた(黒川芽以=二役)にとっての初めての経験とが重なり合うあたりなど、実に巧みだと感心するばかり。はるかとかなたの立ち位置が入れ替わって、逆モニター(音声のみ)なんて出し入れの変化球なんかも、いっそう楽しげになってきた。まだ何も決めたくないという大滝(崎本大海)の正論にもホッ。
 ジェラシーたっぷりのドロドロ系の女じゃないと宣言する夏目(高橋祐月)が戸川はるかの名前入り呪いのわら人形を落としていったのには爆笑。かなたには、予備電源が用意してあったとは初耳。(麻生結一)


第8回「ショーほどステキな商売はない!」(8/23放送)
☆☆
 はるか(黒川芽衣)、かなた(黒川芽衣=二役)に嫉妬するの回。2人の関係性に合わせて、劇中劇の『人魚姫』が微妙に変化するあたりはなかなか面白かった。時間軸や距離感などのディテールはいい加減極まりないんだけど。
 かなたの日本語は、急速に上達している模様。驚いたのは、かなたがはるかに倒れかかってきた柱を一人で支えたことではなく、天使の衣裳に早着替えしていたこと?! それにしても、翔一郎(鶴見信吾)の人魚姫姿はすごかったというか、おぞましかったというか。(麻生結一)


第7回「大滝君は犯人じゃない!」(8/16放送)
☆☆
 理事長(深山義夫)の肖像画に黄色のペンキでばってん事件の犯人探しはいいとして、学校の屋上から落下してしまったかなた(黒川芽衣)のことが見ながらにずっと気にかかった。真犯人である理事長の息子の義人(横山揮英)はかなたの存在こそは知らないまでも、誰かが落ちたかもしれないことは感じただろうに、そのことを確認もしないってどういうこと?
 深刻さのかけらもなく、妙にかわいらしいコンピューター画面で修理が完了してしまうあたりは、らしい楽しさだけど。ハードディスクは壊れてないって、そんな構造だったのか。(麻生結一)


第6回「わたし、家出します!」(8/9放送)
☆☆
 折り目折り目がロボット的というか、カクカクしてるというか、ぎこちなさはあるが、ディテールを無視してドラマが進行していくあたりは、このドラマには相応しい作り。美咲(岡田奈々)と美咲の父親・辰平(天野鎮雄)との確執も、美咲が深刻になりきれない分、結局判然としなかったが、何はともあれ、車のトランクをお尻の穴という言葉で置き換えるような文学的なプログラミングから、はるか(黒川芽以)の日記をインプットしたことにより、バージョンアップのかなた(黒川芽以二役)が完成。日本人の日本語がプログラムされてないかなたの片言日本語は、もう聞けないのね。ただ、味覚まで同じってどういうこと?
 昔は林だった造成地のロケがいい。またかなたはあっさりと、美咲と辰平が共同開発ルークを見つけたな。ちょっと部品が出てるあたりが、また楽しい。5歳の誕生日の記憶がよみがえる場面で、ドラマに厚みが出る。ひきの画が使えなかったのは、はるかとかなたが一緒に映り込んじゃうからかな。そんな深読みでもしない限り、このドラマが合成三昧であることを忘れてしまう。(麻生結一)


第5回「ロボットは幽霊がお好き?」(8/2放送)
☆☆
 経験値が上がるごとに、かなた(黒川芽衣)だんだんバカっぽくなってない?ホントは賢くならなきゃいけないはずなのに。幽霊は知らないのに不動産屋は知ってるって、どういうプログラミングの知能だよ。
 文節で律儀に区切られる日本語って、どっかで聞いたことあるなぁと思ってたら、ちょっと前の『武蔵 MUSASHI』だよ!最近見ないレヴェルの安いSFは依然楽しい。(麻生結一)


第4回「クチビルを奪わないで!」(7/26放送)
☆☆★
 デートのダブルブッキングにはるかとかなた(黒川芽以=二役)が途中めまぐるしく入れ替わって、というこの手のドラマには一番有効な効果を使って、面白く見せてくれた。トラックにひかれそうになる大滝(崎本大海)の母親・彰子(中島由紀子)を間一髪でかなたが助けるも、直後の彰子が何のリアクションもなく手作り弁当を取り出したのには???だったけど。
 ぱっと見二役を忘れてしまうほどに、黒川芽以がかなたとはるかにメリハリをつけて演じ分けていてうまい。ところで、かなたは食欲は旺盛なのに、それでも背中から燃料入れなきゃいけないって、どんな仕組みになってるわけ?(麻生結一)


第3回「スマッシュは10万馬力」(7/19放送)
☆☆
 『ブルーもしくはブルー』が終わってしまったので、一人二役ものは『天使みたい』だけになってしまった。ってもう一本、このスペシャル・エフェクト系ドラマが残ってること自体が驚異的。しかも同じ局にねぇ。
 はるか(黒川芽以)が卓球で笑顔を取り戻すエピソードは清々しくていいんだけど、もともとの動機づけには疑問符。泥棒捕まえるのに、頑張る頑張らないの問題じゃないと思うんだけど。やっぱり、まず通報でしょう。
 かなた(黒川=2役)は、卓球のラリーをあれだけ続けてたってことは、かなり加減して打ってたってことでしょ。肩を叩かれただけで、翔一郎(鶴見辰吾)は首にギブスはめなきゃいけなかったぐらいだから。
 黒川芽以は、ロボットのかなた役のときの方がはるか役のときよりふとって見える?!(麻生結一)


第2回「ロボット 学校へ行く」(7/12放送)
☆☆
 ハイテクなんだかローテクなんだか判然としない、安いSFX(っていうか、何もなってない?!)が随所にかわいい。かなた(黒川芽以)にまつわる海の悲しいエピソードはドラマのキーなんだけど、ただ、テストで100点とれてて、海という存在がわからんというのは明らかにありえないだけに、しんみりとした場面に単純にしんみりとはいかなかった。(麻生結一)


第1回「鉄腕ガール誕生!」(7/5放送)
☆☆★
 今、NHKでは一人二役の登場人物を合成する映像制作が流行ってる?! 『ブルーもしくはブルー』に引き続き、またまた一人二役ドラマが登場したが、こちらは夜の連続ドラマのドロドロとは対極のかわいらしいドラマ。
 二役を演じる黒川芽以のロボット演技は見物。大学講師なれど、ほとんど専業主夫の父・翔一郎役に鶴見辰吾、人工知能を開発する科学者である母・美咲役に岡田奈々と、この枠の父親&母親のキャスティングはいつもながらにお見事というほかない。この2人を組ませるって、なかなか考えつかないでしょ。黒川芽以と鶴見辰吾は好編『ハート』で共演済み。あの時は敵同士だったわけだが。
 ドラマの幼な度がこのぐらいで止まっていてくれれば、今後も楽しめるんだけど。(麻生結一)




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