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愛の家〜泣き虫サトと7人の子〜 (NHK総合月曜21:15〜21:58)
制作・著作/NHK
共同制作/NHKエンタープライズ21
制作統括/加賀田透、木田幸紀
プロデューサー/小松昌代
作/矢島正雄
演出/岡崎栄(1、4、5)、久保田充(2、3)
音楽/渡辺雄一
主題歌/『七色の翼』大地真央
出演/五十嵐サト…大地真央、中里友也…吉田栄作、吉田英樹…鈴木一真、小寺透…菊池均也、清水エリ…大平奈津美、紅木誠…北村栄基、村上想太、野田未花…大後寿々花、上島真子…福田麻由子、井上涼…宮本侑芽、藤村耕平、谷川清美、神野美紀、森塚敏、反田孝幸、松永英晃、小川隆市、河野洋一郎、林久美子、佐藤拓之、川島大、長嶋真由、中山一聖、伊藤裕一郎、青山瞳、夏沢ゆき、田島穂奈美、五王四郎、尾花寛、丹英治、チリノス健二、橋本貴幸、上島昭…羽場裕一、山路和弘、清水ミチ…高畑淳子、大谷亮介、野田紹子…宮崎美子、杉山良男…長塚京三
ほか

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第5回「翼のある家族」(9/22放送)
☆☆
 中里(吉田栄作)が自らの過去を語ることで、これまでの疑問がすべて晴れた形に。中里のあの硬直したやり方は、純粋さの裏返しだったか。精神を病んだ涼(宮本侑芽)の母親と対面してショックを受けたのも、同じくグループホームに勤めていた自らの母が精神を病んでしまったためだとその過去を聞かされれば、彼の境遇も悲痛に思えてくる。弱さを認めた人間こそが強い人間だと中里を諭すサト(大地真央)の達観の境地も、サトの悲劇的な人生と照らし合わせると、同様になるほどと思えた。
 といった具合になるほどづくしの展開なれど、『少年たち』ほどけのケレンを目指していないためか、今ひとつお話を近しく感じられない。悲劇的な成り行きがさらっと語られるあたりには大いに救われるも、全般的に説明的な印象はぬぐえない。個々の子供たちにもう少しスポットをあててほしかった気もするが、グループホームのあり方を見せようとする意図が先にたった格好。
 サトが別の場所に旅立つラストには? 自分の境遇を知られたことに何か問題が?現状はまさに天職なわけでしょ。よくわからない。(麻生結一)


第4回「懐かしい思い」(9/15放送)
☆☆
 『少年たち』の法則をそのままにあてはめるならば、ドラマの高まりはこの回がピークだった?! 子供たち自らが人生を決断し、そしてグループホームを去っていく。その一つ一つは納得がいくものだし、それだけにそれぞれの別れにしみじみとなる。
 中里(吉田栄作)によってがんじがらめの生活をしいられ、その将来までも狭められてしまっていた多田(反田孝幸)がついに出て行く場面で、普段は決して自己主張することのないホームの仲間たちがなりふりかまわず見送りに駆け出してくるシーンにははっとさせられた。誰のためでもなく自分の人生を生きている、と高らかに言い放つ多田の言動に愕然とする中里。これがやりたかったから、中里は強直したキャラクターにしたのかな。だったら、何もそこまでわかりやすくする必要もなかったような気がするのだが。
 病床の父親(羽場裕一)との生活を決断する真子(福田麻由子)が去る様を見て、杉山(長塚京三)がサトに対してさよならだけの自らの人生を悔いる場面の余韻がいい。(麻生結一)


第3回「幸福のかたち」(9/8放送)
☆☆
 子供たちそれぞれのいきさつに期待するも、ドラマはサト(大地真央)と中里(吉田栄作)のグループホームに対する考え方をめぐる対立に終始。中里のキャラクターはあまりにも硬直的過ぎて、その狙いとのバランスは難しいところ。吉田栄作がギリギリのところにリアリティを模索する、その演技は見物だけれど。
 子供たちのシチュエーションに共感があるだけに、そっちの方でドラマを深めてほしい。そのあたりは次回に持ち越しか。(麻生結一)


第2回「純粋な愛情」(9/1放送)
☆☆
 『少年たち』の高まりをそのままに当てはめるならば、このドラマのピークは来週あたりにこなきゃいけない。今週は、グループホームで生活する子供たちのそれぞれの事情を出揃わせた格好。子供たちの演技は、驚くほどに自然だ。
 マジメなドラマにあっての、その中でも一番の良心的存在、サトを演じる大地真央は、主演ドラマで主題歌まで歌ってしまうという薬師丸ひろ子、もしくは観月ありさ、もしくは押尾学ばりの大活躍。(麻生結一)


第1回「引き離されても」(8/25放送)
☆☆★
 同じ脚本家と演出家の『少年たち』シリーズを彷彿とさせる、善意の限りを尽くしたドラマ。第1回ということもあるが、何しろ登場人物が多くて、特に子供たちの置かれている状況がそれぞれに複雑なため、説明に徹しても裁ききれていない部分もあったが、おそらく第2回以降にそれぞれがそれぞれにクローズアップされるのであろう。期待感とともに、説教臭くならなければいいなと願う。(麻生結一)




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