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大好き!五つ子5 (TBS系月〜金曜13:00〜13:30)
製作/DREAMAX、TBS
企画/山田康裕、植田博樹
プロデューサー/富田勝典、荒井光明
脚本/浪江裕史
演出/酒井聖博、荒井光明、山崎統司
音楽/旭純
主題歌/『約束』mihimaruGT
出演/桜井桃子…森尾由美、桜井良介…新井康弘、拓也…谷野欧太、美穂…新穂えりか、慎吾…中野勇士、紀香…荒井千歩、剛…金澤翔太、桜井周平…見栄晴、桜井恵…長谷川真弓、片岡英作…宮下直紀、望月秀子…真瀬樹里、菊地宙太…池田幹、中原陽…安藤亮司、岡村幸代…宝積有香、桜井亜理紗…斉藤瑠花、工藤晴江…菊地幸代、桜井正広…中西凛太郎、坂野由佳…伊藤奈穂、マリア…滝麗奈、キャシー…安西楓、下川真人…石坂良磨、長谷川敬太…原章馬、三宅篤史…小泉拓也、小林和弘…小沼蔵人、桜井良枝…岩本多代、藤本仙太郎…鶴田忍、楠健一…天田俊明、楠千絵子…茅島成美
ほか

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第6週(8/25〜8/29放送)
☆☆
 千絵子(茅島成美)が右手を骨折するシリアス風のエピソードは、千絵子の憂鬱が曖昧だったため、何だかよくわからない話になっていたのが残念。老人ホームのボランティアとしてふれあいの会を催すために、桜井家の面々が奮闘する締めくくりは、総まとめとしては相応しかったかもしれないが、このドラマらしい細やかさからは遠かった気がする。
 むしろらしかったのは、おばあちゃんへの温泉旅行プレゼントを五つ子が画策することで、社会に対する責任が問われちゃったその硬派ぶり。美穂の貯金がたった100円だったことには笑ったよ。終始善良の塊のような展開だったが、よく考えてみると、何も腕にギブスはめてるときに温泉に行かなくてもね。
 この第5シリーズのピークは第1、2週あたりで、エピソードの粒ぞろいにうれしくなってしまったが、緩やかに下降していったという印象。“See you again”ということは、パート6の可能性が高いってこと?目指せ!『天までとどけ』。(麻生結一)


第5週(8/18〜8/22放送)
☆☆★
 自己中なのにおせっかいな美穂(新穂えりか)のアンビバレント。その女王様体質にもかかわらず、何事にも首を突っ込む世話好きな性分から、何かしらのコーディネーターに適正があることを発見する週はじめのエピソードから快調なスタートをきるも、全般的には地味めの印象をうけた週。
 老人ホームのボランティアを一家でやることにした桜井家の中にあって、何事にも失敗を恐れていた剛(金澤翔太)が、失敗を恐れず大学受験を試みるでこちゃん(真瀬樹里)の話を聞くにつけ、途端にポジティヴになる話など、ちと性急に単純すぎる気が。
 もちろん、このシリーズらしいほのぼのテイストは満載なので、ニコニコして見通せるのだが、やはり最終週への前ふりの週という感じが強い。(麻生結一)


第4週(8/11〜8/15放送)
☆☆☆
 死についてのエピソードが2つ入るも、ドラマの朗らかさは普遍。転校した元カレ・勇太(小池城太朗)と久々に再開することになり、美穂(新穂えりか)は水色のワンピースでおめかしするも、イメージ通りのピンクの口紅は相応しくないと、高らかにナチュラルメイク派宣言。そして、美穂は大人の女になりました。運命の再会もにぎやかしく清々しさを醸すあたりに、改めて美穂のパートは他の誰よりも面白いと思わせる。ちなみに、美穂の元カレの勇太役って、今や大物の風格さえ漂わせる小池城太朗がやってたんですね。
 パパ(新井康弘)、ママ(森尾由美)のために日曜大工で椅子を作る。拓也(谷野欧太)ならずとも、ママとパパのツーショットを見てると癒されます。ちなみにママ曰く、麻婆こそ万能料理のもととのこと。
 そんなママの恒例と化している体調不調がここに入ってきた。今回は食欲不振。もしかして妊娠してるのではと千絵子(茅島成美)は勘ぐるも、実はママ、自分の料理の味に飽きていたのだった。残り物料理の達人が自分の味に飽きるだなんて、深すぎる。先週のジェンダーを語るママに引き続き、段々哲学者然としてくるママが素敵。たまには人の作ったものを食べたくなるときもあるとは、まさに主婦の職業病。ちなみに美穂は30秒も歯磨きしてないとのこと。「パパ、昔はかっこよかったもしれないけど、今やあの人は今状態」、なんてらしい辛らつコメントで、歯磨きの分なんかすぐに取り戻すんだけど。
 亡くなったおじいちゃんが残した金庫の中身とは?のサスペンスフルをはさんで、週末回をしめたのはパパの親友・前川の急逝と落ち込むパパを励ますために、計画された三角ベース&釣りのフィールド・トリップ。パパの教え子たちが五つ子たちにいろんな助言をしてくれたり、サッカーのコーチが車を貸してくれたりと、ここに登場する人たちはみんないい人ばっかりだ。精霊流しのように、前川とバッテリーを組んで小学校時代に野球の大会で優勝した、そのときの優勝ボールを川に流すラストには、思わずホロリとさせられた。(麻生結一)


第3週(8/4〜8/8放送)
☆☆★
 恒例の鎌倉篇。一足先に鎌倉に向かった男性陣のいぬまに、美穂(新穂えりか)はいつも慌しいママ(森尾由美)のためにとスローフードを提唱。そのはやりもの的な社会派ぶりはさすが。しかし、紀香(荒井千歩)が食べるテンポの遅さに耐えられず、仕舞いにはお茶漬けをリクエストしてしまい、スローフート作戦は失敗に終わる。この家族、根っからの庶民!のちに、朝から晩までしゃべりっぱなしの美穂と紀香は、マシンガンシスターズと命名される。お互いのボーイフレンドをけなしあうくだりなどを見ていると、紀香の方が先天的に辛らつかもと思えてくる。
 周平(見栄晴)はぎっくり腰になったことで、子供を生む大変さを知ったと妊娠中の恵(長谷川真弓)に感謝の意を表すも、お産とぎっくり腰を一緒くたにされて、恵は逆切れ的に大爆発。長谷川さんご自身はお体、大丈夫ですか?
 最近の子は危機管理能力を求められるのか、将来の夢に第1希望、第2希望がある?!パパみたいな先生になりたいと表明したばっかりに、パパ(新井康弘)が大喜びして精神的に追い詰められる剛が悲痛。男親なら、そりゃ家業をついでほしいと思うところだけど。美穂の常なる願望は、剛を思いっきり説教することってぐらいだから、剛もつらい立場です。
 そんな美穂は、周平(見栄晴)に女らしくを押し付けられて珍しく号泣。そしてママがジェンダーについて語る!なんて知的なママなの!ただ、ママはママで、恵から今日は一日のんびりしててと念を押されるも、やることがなくなっちゃうとそわそわしはじめる、いかにもな貧乏性。一日四回の洗濯よりも、命の洗濯をしなさいという千絵子(茅島成美)の助言がありがたく感じられた小さな夏休み。つづく。
 サッカーの選抜チームに選ばれるかもしれない信吾(中野勇士)の一昔をママが回想するシーンがとっても懐かしい。みんな、大きくなりましたね。以前、兄弟が生まれてくることにダダをこねた過去を持つ亜理沙(斉藤瑠花)の満面の笑顔を凝視して、

「その笑顔は本物?それとも仮面?」by美穂

美穂の名言は衰え知りません。(麻生結一)


第2週(7/28〜8/1放送)
☆☆☆
 通しの物語をいかしつつ、各話ごとにまとまりよくエピソードを織り込んでいくのが抜群にうまい。そのちょっといい話に、暖かい心持ちにさせられ続けた1週間だった。

「ママみたいな平凡で出来ない女にはなりたくないの!」by美穂(新穂えりか)

とはいかにも美穂がいいそうな言葉だけど、これ言われちゃうと親としては傷つくなんてもんじゃない。

「何でも出来る女目指して、あれもこれもって一口ずつ食べてたら、結局何も出来ない一口女になっちゃったりしてね」by紀香(荒井千歩)

なんてきつい一言を笑いながら言ってしまうあたりもまた、いかにもノンちゃん的。気が多い美穂(新穂えりか)は出来ない女になることへの強迫観念にさいなまれるも、結局はママ(森尾由美)こそが出来るおんなだったことを知る。いい話だ。
 初めての海外旅行に怖くなって、その権利を五つ子たちに譲ろうとする鎌倉のおばあちゃん(岩本多代)の話にも大いにうなずくところ。海外旅行ブルーって、ありますからね。行ってしまえば、何てことないんだけど。絵子(茅島成美)の出現で、見栄をはって強気にオーストラリア行きを宣言するオチもうまい。これまたいい話。

「男の子ってボール遊びが好きよね。どこが面白いのかしら」by美穂

美穂の名言はとどまるところを知らず。クラスメートのさなえちゃんの弁当とママの弁当、どっち食べるかの選択を迫られる慎吾(中野勇士)の贅沢極まりない悩みも、なるほどと思わせるエピソード。
 剛(金澤翔太)がサッカー部の面々にゴマをする話では、ママの心配の方に共感。剛の成長に見せる涙にも、鎌倉に一緒に行けない理由には後ろ暗いところがあるのではと疑いつつも、本気で剛のことを心配する様にもグッとくる。森尾由美と新井康弘は、ママパパの理想像ですね。(麻生結一)


第1週(7/21〜7/25放送)
☆☆☆
 『大好き!五つ子』シリーズの第5弾。このシリーズがパート5まで続いただけのことには至極納得である。桜井家の子供たちはそれぞれには個性があって楽しいし、森尾由美と新井康弘が演じるママとパパも、ぴったりと息が合ってて魅力的。そして何よりも、エピソードの質が常に均等なのには驚かされる。とりあえずは極端に走っておいて、といった最近のドラマにありがちな安易とは無縁で、地味なエピソードの積み重ねが微笑ましいしく帰結していくお決まりのパターンが、とっても清々しくていい感じなのだ。
 ママ(森尾由美)の気持ちをはわかってくれない?!子供たちもまたまた大きくなってるなぁ。小学5年生だもんね。ノンちゃん(荒井千歩)のダンサー路線はなかなかの意表。さらにびっくりは慎吾(中野勇士)がサッカー小僧から盆栽博士に老成化していたこと?! 「サッカーも盆栽も小宇宙なんだ!」「もっと全体を考えなくちゃ」「大事なのはバランス」とは、また随分正しい道を歩み始めたねぇ。
 殺人トリックを創作する美穂(新穂えりか)は、出だしからロープのくもの糸引っかかる絶好調ぶり!

「母性本能に流されるから、女は人生を間違えちゃうのよ」by美穂

「またカリカリしちゃって。生活に余裕がない証拠ね」by美穂

等々の名言吐きまくりキャラは第5シリーズでも健在。同じサスペンス狂でも、キャラが完全にかぶってる『貫太ですッ!』の春子(由紀さおり)より断然面白い。鎌倉に血の雨が降る?!その根拠が、鎌倉のおばあちゃん(岩本多代)が出産日を覚えていなかったからとは、浅はかにしてなかなかに深い?!
 恵(長谷川真弓)はまた妊娠したの。あれれ?確か長谷川真弓は本当に妊娠中じゃなかったっけ?ということは、あのお腹は本物!そのために脚本も合わせたってことでしょうか。
 頻発する“とりあえず謝っとけ”、って発想は、多兄弟ならではの処世術かな。今週のピークは、笑わなくなったママを笑わせようと奮闘する拓也(谷野欧太)による落語の一席。ママが笑うところで胸がいっぱいになって泣いちゃう運びは予想通りだけど、やっぱりしんみりしちゃうんだよなぁ。森尾由美が表情で見せる母親の感無量が、自然な感じなのがとてもいい。(麻生結一)




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