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ダイヤモンドガール (フジテレビ系水曜21:00〜21:54)
制作/フジテレビ、共同テレビ
企画/石原隆
プロデューサー/稲田秀樹、矢吹東
脚本/川嶋澄乃(1、6、7、10)、山浦雅大(2、4)、田辺満(3、10)、吉田智子(5、9、11、12)、遠藤彩見(8)
脚本協力/山浦雅大(1)
演出/小椋久雄(1、3、6、10、12)、村上正典(2、4、7、9、11)、植田泰史(5、8)
音楽/本間勇輔
主題歌/『Shout It Out』観月ありさ
出演/南條麗香…観月ありさ、鍋島耕介…岸谷五朗、園田詩織…原沙知絵、夏目慎一郎…谷原章介、アケミ…濱田マリ、国分佐智子、正名僕蔵、牛尾田恭代、須賀貴匡、大塚安里、宝積有香、氏家恵、ト字たかお、大島さと子、有薗芳記、田村たがめ、中込佐知子、団時朗、須賀健太、春木みさよ、山下徹大、西尾まり、大河内浩、石川真希、モロ師岡、岸博之、小原雅人、江良潤、市原清彦、椎名泰三、柿辰丸、青羽剛、宇梶剛士、草村礼子、広岡由里子、小木茂光、原千晶、有薗芳記、橋本さとし、六角精児、須永慶、菅原禄弥、中川愛海、桂亜沙美、早瀬英里奈、坂東美佳、藤井咲有里、冨岡真理央、水川あさみ、浅見れいな、浜田晃、郷田ほずみ、森口瑤子、東根作寿英、山田明郷、中根徹、阿部六郎、木村翠、和田周、山下容莉枝、大高洋夫、伊藤正之、二瓶鮫一、櫻庭博道、上村祐翔、田山涼成、奥貫薫、山口詩史、大林丈史、並樹史朗、俵木藤汰、滋野由之、美月麻帆、高橋則彦、秋葉ヨリエ、榊徹、大坪佳代、木村郁、鷲尾真知子、佐久間実…勝村政信、モーリス君子…白川由美
ほか

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第12回(6/25放送)
☆☆★
 冷静に考えるまでもなく、展開はデタラメの限りを尽くすのだが、どうしたことか終始ニコニコと見通せてしまえるあたりが、このドラマの不思議なところ。大体、麗香(観月ありさ)は自分でたきつけておいて、モーリス牧村法律事務所を辞め、原告側の弁護を引き受けた鍋島(岸谷五朗)について行かないなんて、ちょっとひどすぎでしょ。優雅テイストにぼかされてしまうところだけど、普通だったら考えづらい展開。もちろん、視聴者もこれまでの積み重ねがあるからこそ、麗香に反感を持たないわけだけど。このあたりは、観月ありさのパーソナリティに救われるところも大きいかな。
 驚きは続く。改心して麗香は再び鍋島のもとを訪れるが、このとき麗香が暗記力の天才であることが判明する。あれだけのデータが自然と覚えられるようだったら、確かに弁護士だって目指せるかも。でも、なぜいままでその能力を隠してたの?!
 さらに驚愕!一泊千円のあの安宿が鍋島と麗香の拠点になるにあたって、アケミ(濱田マリ)が家賃滞納を堂々と自慢するも、あそこはアパートじゃなくてホテルじゃないの?怒涛の無料奉仕は麗香の人徳のおかげなり。麗香が去り、モーリス牧村法律事務所には様々な破綻が。植木まで枯れてしまう始末に、みんなははじめて麗香の偉大さを知る。
 5年かかるほどの難裁判を1話でやれたことの最大の功労者は、証言台に立つ看護婦役を演じた奥貫薫では。彼女が登場した瞬間にワケありと善良なオーラが同時に放たれ、説明も不要に大体の事情が飲み込めたでしょ。証言台に立つまでの時間軸がバラバラなんて、もはやそんなことは重要じゃない?!
 何と、傍聴席には出演者全員が揃ってるぞ。ということは、モーリス牧村法律事務所は現在がら空き状態?そして裁判後におとずれる、お互いがお互いを称えあう絶賛合戦!

「これからは、あなたが私の目標よ」by園田(原沙知絵)

って、また気持ちよく突き抜けたものだね。訴訟に負けたにもかかわらす、どういうわけかモーリス牧村(白川由美)が過剰にご満悦よ。こんなデタラメな脚本を許していいのか、というまっとうな思いを、テンポよく見せてくれた爽快感が見事に乗り越えていく。
 ところで、“鍋島&南條法律事務所”の看板が掲げられているということは、麗香は弁護士になったってこと?やはりパート2が必要と思わせるも、次クールからはこのドラマ枠はなくなってしまうんですよね。ここではじめて、しんみりとする。(結)


第11回(6/18放送)
☆☆★
 この第11回、そして最終回と2話にわたるラストエピソードを迎えて、首尾一貫した姿勢が極まった何というわかりやすい展開よ。そのわかりやすさと生真面目さ、さらには気骨加減あたりまでのブレンドが、いよいよテイストとして熟成されてきた感じ。何の変哲もない語り口なんだけど、実はこういう素直な作りのドラマって、なかなかお目にかかれないんですよね。
 夏目(谷原章介)との試写会の約束が、無料法律相談会に化けるとは、いかにもこのドラマらしい導入部。鍋島(岸谷五朗)のよからぬ噂を耳にした麗香(観月ありさ)は、そのことを身近な人に聞きまわるだけでなく、図書館に行って調べたり、当時の関係者に会って話を聞いたりといった方法で事実関係を調査して、11話分の成長をここに見せつける。最後はやっぱりモーリス牧村(白川由美)に聞いちゃうんだけど。
 鍋島はにとっては鬼門でだった医療過誤裁判。奥さん(森口瑤子)との離婚も、直接の原因はこれだったのか。そして再び、莫大な費用と時間がかかり、精神的苦痛を伴う困難な裁判に鍋島が挑む。前回は5年かかった裁判だけに、あと1話だけで足りる?!
 鍋島が医療ミスで亡くなった娘さんのお墓参りに行ったことさえもお見通しの麗香。弁護士とアシスタントの関係を超えて、鍋島の置かれた立場を言い表す比較対照が貧弱なのも、いかにも麗香らしくていい。司法をスーパーマン、水戸黄門並に考えるシンプルさには、微妙にひいたけど。
 麗香の友達・恭子(宝積有香)はすっかりアケミ(濱田マリ)に同化してるじゃないの。ってことは、彼女もあの一泊1000円宿に住んでるわけ?園田(原沙知絵)が今クール英語チャンピョンの面目躍如とばかりに、流麗な英語のショートセンテンスを披露。香取慎吾とのリスニング対決で、4問中3問正解は伊達じゃない。300円の申し立てを言い放つ“へなちょこ”鍋島の男気が、かつてないほどの色気を放つ。(結)


第10回(6/11放送)
☆☆☆
 硬軟の織り交ぜ方も程よく、さらに安定して楽しめるドラマになってきてる。アシスタントのみんな(といっても3人だけだが……)が生貝にあたって総崩れ状態のおかげで、麗香(観月ありさ)は他の弁護士たちのアシスタントまでやる羽目になり、、忙しすぎて死にそうになるというオープニングコントから、過労死というタイムリーな問題へと話を進める展開は実にスムーズ。
 アシスタントみんな(といっても3人だけだが……)が早々復活し、他の弁護士たちに手のひらを返され「着てたの」呼ばわりされても、すっかり打たれ強いキャラと化した麗香の余裕綽々はその程度のことでは揺らがない。「顔が岩」発言にちょっぴり引っかかってた鍋島(岸谷五朗)が救急車で病院に運ばれたときには、さすがにいつもの余裕ではいられなかってたけど。過労死の案件を扱って倒れるようじゃ、確かにしゃれにならない。
 倒れた鍋島に代わって、訴訟を引き継ぐ夏目(谷原章介)の登場に、挨拶しようとする鍋島の頭を押さえつける麗香が笑える。念願の夏目とのコンビも、麗香はむしろ事件そのものの方に専心。仕事の進め方を、つい鍋島と比べてしまったりするあたりもかわいいところ。夏目と麗香の仲を気にしてるのは、麗香よりもむしろ園田(原沙知絵)の方みたい。
 一人独自調査を続ける麗香は、和解しないことを勝手に決めちゃったりして、段々『ブラックジャックによろしく』の斉藤先生みたいになってきてない?! いつもクライアントトの意に沿うように全力をつくすだけと言う鍋島が、病院から抜け出してきて会長(二瓶鮫一)を説得する結末も、予想通りだけに見てて清々しい。「お父さんの言うことはちゃんと聞かなきゃダメ」、っていうオチも気が効いた。せっかくヘッドハンティングされたのに、夏目がその申し出を断った理由は園田?それとも麗香?(結)


第9回(6/4放送)
☆☆★
 高校時代に茶道部だった園田(原沙知絵)に触発されて、お茶を習いたいと言い出した麗香(観月ありさ)のやまとなでしこ願望から、今話のトピックである茶道ネタに入っていく導入部は実にスムーズ。何気ないオフィスの会話にもおかしみがにじんでくるとは、このドラマも本格的に無敵化しつつある。
 ドアに頭をぶつけるベタねただって、麗香にかかれば優雅系のテイストに。子供相手に必殺ローリングキックを繰り出して、パンツのおねえちゃん呼ばわりされようとも、怒ったりわめいたりしないあたりのキャパの広さがまた、今クールのいかなるドラマのヒロイン像とも一線を画すところ。何しろ、茶器の入ったカゴを運ぶ力仕事の場面にだって、ムーディーな音楽こそが似合うぐらいだから。見る側の慣れという名のアシストも効いているか?!
 中年の色香でウブなお坊ちゃんを骨抜きにした容疑をかけられる、鍋島(岸谷五朗)の前妻である英子役に森口瑤子とは、これまたこのドラマらしい格調の高いキャスティングだこと。前妻を前にして、ろくに答弁もできずにやられっぱなしの様は、鍋島の英子への愛情の表れか。第1話からの「薄情だし、底意地が悪いし、冷血、傲慢、横暴、えっとそれから自己チューだし卑屈」(by麗香)といった鍋島のイメージも今は昔に、ますますいい人になっていくよ。それだけに、息子と名乗りあわずに別れてしまうラストには、しんみりとさせられる。
 鍋島を好きになる女性なんか、人類愛に満ちたシスターか、誰カレかまわずにエールを送っちゃう応援団ぐらい?その応援団こそが、パンツのおねえちゃん・麗香その人(高校時代の部活・チアリーディング)、っいうオチもわかりやすくていい。それにしても、佐久間(勝村政信)のぎっくり腰演技が、最後まで持続されるとはね。(結)


第8回(5/28放送)
☆☆☆
 襲ったのは園田(原沙知絵)のはずなのに、ケダモノ扱いされたのは襲われた方の鍋島(岸谷五朗)という不可思議な一席に、たとえそれが訴状の検証だったとしても?となるも、それもそのはず。社会派としてのセクハラ訴訟はあくまでもだしで、最後には友情について語り始めるあたりの品行方正ぶりが、いかにもこの余裕綽々なドラマらしくていい感じ。女子大学生の有香子(浅見れいな)が教授の黒沢(浜田晃)からセクハラを受けていることを知って麗香(観月ありさ)はカンカンになってるのに、バックにかかる音楽はやっぱり優雅なままのヘンリー・マンシーニ風。ドラマ的な状況よりもテイストを守ることを優先するドラマこそが、シリーズになれる!こういうドラマはキャラクターの組み合わせこそが命だから、単発で終わるよりもシリーズになった方がいいはずなのだが、現状の視聴率では微妙なところ。
 唐突に絶好調状態に突入した『マルサ!!』にあやかろうとしたのか、麗香は女子大に潜入捜査を試みることに。園田役の原沙知絵よりも実際は年上の麗香役の観月ありさが、女子大生役のご氏名をたまわるのは当然として、理系のまじめ女子大生を模倣するのに、なぜロリータ風のアメリカンハイスクールガールちっくなコスプレなの?4歳サバをよんでまで気合入れて変装したのに、鍋島からダメだしをくらい、結局は『伝説のマダム』風に掃除のおばさんに扮して混ざらせていただくあたりがまたまた楽しげ。有香子の親友・治美(水川あさみ)の花束の乱れ打ちという勇気ある決断にも拍手だが、これまた『マルサ!!』の江角マキコばりに啖呵をきりまくる麗香の、退却を余儀なくされた者にさらなる追い討ちをかけるあたりのダメ押しも実に痛快。
 なるほど、第1回目から大事なところでちょこちょこと登場していた麗香の友達・恭子(宝積有香)は、園田に夏目と麗香が婚約していたことを知らせるための存在だったのか!これまで影の薄かった“コールドレディ”田中(大島さと子)までもが、怒られそうな雰囲気から春の装いに和らいで、軽く楽しむにはいっそう絶好の湯加減になってきております。(結)


第7回(5/21放送)
☆☆☆
 『ダイヤモンドガール』なるわけのわからないタイトルのせいで、かなり損をしていると思われるこのドラマだが、麗香(観月ありさ)=鍋島(岸谷五朗)のコンビが段々板についてきて、尻上がりに面白くなってきてる。密かに今クールで一番仕事をしてるキャラクターは麗香?と思わせるほどに(今クールのドラマも、毎度のごとく仕事しないキャラクターばっかり!)、今話もプライヴェートを投げ打って“法律のお仕事”(タイトル、シンプルにこれでもよかったのでは?!)に大奮闘。
 大量の案件抱えて大忙しの鍋島(岸谷五朗)から、世のため人のため、そしてだまされてる人のためと先走る麗香にまずは目の前の仕事からやるようにと正論を吐かれるも、資料攻めで再度鍋島を口説き落とすとは、麗香も短期間に随分成長したなぁ。『詐欺に負けない解決マニュアル必勝本』もマンガ版というお決まりな小道具も楽しい。「バカじゃないの」「お前の方がよっぽど詐欺師だろ」と連打で罵倒されても、まったくめげてない打たれ強さに観月ありさの真骨頂をみる。
 悪徳音楽プロデューサー京極役の橋本さとしは、つい一週間前に『マルサ』で悪徳美術商を悪徳に演じたばかり。同じ系列局で似たような役に起用するっていうのは、はからいがなさ過ぎない?確かにあまりにも悪徳にハマってるんだけど。国分佐智子は『女神の恋』と同様のOL役を、デジャヴに好演。1時間後にはまたOLな国分佐智子が見られる?!!
 夏目(谷原章介)の見合い相手の社長令嬢が絶対にブサイク説を噂されるのが女子トイレという場所のセレクトは、昨日の『顔』にかぶってるなぁ。ここに登場する女子高生たちも、やっぱり「ありえない」って言ってるなぁ(『笑顔の法則』でその言葉を連打するのは雑誌編集者、『東京ラブ・シネマ』では映画のバイヤー、『マルサ!!』では国税局員が決め台詞に使ってたりする乱用ぶりはどうしたことか)。鍋島の説得で、京極があっさりお金を返すばかりか、将来へのエールまで送って裁判にならないオチが清々しくて気持ちいい。(結)


第6回(5/14放送)
☆☆★
 若くて美人でスタイルがよくて、男にもてると激しく自覚している麗香(観月ありさ)が、何の前触れもなく平手打ちを食らおうとも、さらにはニューヨーク風の安ホテルで日常的に刃物沙汰が起きようとも、不必要なまでの優雅なテイストがまったく崩れないのは、いかにもこのドラマらしい楽しげなところ。観月ありさのリアクションにも、ようやく天性のコメディエンヌぶりがにじんできた。今ごろこなれてきても、視聴率的には時すでに遅しの感だが、ドラマ的には終盤戦に大いに期待できる材料だ。くれぐれも、1回おきにドラマが正常化するようなサイクルに固まったりしないことを祈るのみ。
 麗香が若返りのお手伝いをした結果で、佐久間(勝村政信)の妻・百合(広岡由里子)が一瞬、亡くなった会長の愛人・カオル(原千晶)に変身したのかと思わなかった?場面が連続していたせいで、幻惑ビックリさせられる。狙ったトリックとも思えないけど、こういう不意打ちこそニコニコできるところ。
 麗香が夏目に振られた事実を、鍋島(岸谷五朗)がすでに知っていたことがばれるくだりなどは、拍子抜けするほどにあっさり味だったが、麗香と鍋島の関係が深まっていく過程には、巧まず素直ならしさがいい方にはたらいてる。不倫相手と同じ職場で働き続けるという困難、もしくはその非現実も、『アリー・myラブ』あたりを経てくると、それもありなのかなと思えてくるから不思議なもの。毎週のすりこみで免疫が強化されてるわけだから、ドラマ的な経験値も侮れないよね。(結)


第5回(5/7放送)
☆☆
 祝!六本木ヒルズオープン記念に、林ビル開発の地域住人立ち退き交渉大作戦!、って祝賀パロディにしちゃ、ちょっとビターめじゃない?! 毎度おなじみ(?!)「これが成功すれば、一流弁護士の仲間入り」企画第2弾は、夏目(谷原章介)のチャレンジ(ちなみに第1弾では、園田(原沙知絵)が一流に挑戦するも、麗香(観月ありさ)のヘルプ頼みの交渉成立で、チャレンジは失敗に終わった?!)。と思ったら、意外にも出番少なし。一流への道は、やっぱり険しいということか?! 大体、弁護士ではなく、弁護士のアシスタント=麗香に立ち退き交渉を託す時点でアウトでしょ。
 ということは、園田も夏目も一流じゃないってことでしょ。一流弁護士事務所にはやはり一流弁護士がいるはずなんだけど、一体どこにいる?鍋島(岸谷五朗)がかつて法廷でモーリス牧村(白川由美)をてこずらせた弁護士だったってことは、モーリス(もしくは牧村)は検事出身ってこと?何はともあれ、「何とかしてみます」の大風呂敷だけで、何とかなっちゃう麗香の神通力こそが超一流。クライアントである林社長(宇梶剛士)を前にした最終弁論(?!)なんか、お見事の一言です。つまり、彼女はアメリカで弁護士になるべきなのだ!あの泣き落としは、陪審員にこそ効果的でしょう。
 けんかするほど仲がいいをわかりやすく地で行く麗香と鍋島。結局、マヨネーズv.s.ソースはどっもおいしかったというわけで、二人の仲は日に日に接近中!アメリカ的には放送禁止必至のTシャツを着て喜ぶ麗香は母・愛子(鷲尾真知子)がドラマ的に効いていたかどうかは、判断しかねるところ。(結)


第4回(4/30放送)
☆☆★
 『ダイヤモンドガール』の『お水の花道』化!ただ、両作品ともに出演している原沙知絵は、今回は『お水』化せず。ここに今作におけるギリギリの節度を見る?!
 たとえそれが志止まりであったとしても、麗香(観月ありさ)が弁護士を目指そうとするリアクションは、脚本的は必要不可欠な衝動だけど、バイト料が入ったとはいえ(ここに麗香のアルバイトが週給制であることが判明)、またいきなりたくさんの本、買いこみましたね。

「最近何にも買ってないなぁ〜」by麗香

確かに洋服は買ってはないけど、四次元ポケット的スーツケースからは依然洋服が出続けてるぞ!
 今回のメインは園田(原沙知絵)。仕事でミスを犯し、追い詰められて思わず麗香を見下したような本音をもらす場面から、慎一郎(谷原章介)を巻き込んでの麗香v.s.園田の抗争が一気に勃発するのかと思いきや、麗香は前向きさだけを武器に皿を接着剤補修して、むしろ園田を“ヘルプ”することに。ドラマとしてのピリピリよりも、ゆったりのんびりムードを優先するこのドラマ。疲れた体には心地よいです。
 原沙知絵はその大人っぽさと美貌ゆえに、使用頻度の高い天然温厚キャラよりも、プライドがそのまま歩いているような嫌なやつキャラの方が、その魅力がストレートに引き出される感じ。今話でも完全無欠の崩壊具合がピタッときてたでしょ。鍋島(岸谷五朗)=「岩」byアケミ(濱田マリ)とは、なかなか言い得て妙では。(結)


第3回(4/23放送)
☆☆★
 麗香(観月ありさ)と鍋島(岸谷五朗)の絡みが増えて、ようやっとコンビ物としての面白味が少し出てきた感じ。今回扱われた離婚調停の話さえ、少しもせっぱ詰まった感じにならないのは、ひたすら観月ありさ力によるところが大きい。たとえ元彼(谷原章介)に別れ話のダメを押されようが、結構平気そうに見えるあたりも、いかなる深刻をも受け付けない彼女が放つオーラによるものでしょ?! ドラマ的には主人公のカラ元気な健気さを見せたい場面さえも、本当の元気な人に見えてしまうあたりの誤算もまたらしくていいのでは。
 この調子でいけば、いかなる天変地異が起ころうとも、その優雅なヘップバーン調は揺らぎそうにない。そんなドラマ的には過ちかもしれない要素までもひっくるめての安定感が、第3話目にして結構心地よかったりして。大見得切って叱り飛ばす場面だって、それほど説教調にならないあたりも個性かね。何せ、依頼人からの感謝の電話が弁護士先生をすっ飛ばして、ホットライン状態で麗香にかかってくるぐらいだから。
 「ビックリしたでしょ、あのホテル」への素朴な疑問。一泊1000円のホテルに泊まるぐらいだったら、月3万以下のアパートに引っ越したのほうが経済的なのでは。っていうか、英会話学校に会費払うんだったら、その前にまず引っ越しでしょ。それとも麗香は日常のみすぼらしさをも省みず、中身のある女を目指すというのか?!
 スーツケースからは、依然洋服が出続けている模様。(結)


第2回(4/16放送)
☆☆
 人間的な深みがない=「バカだから結婚できない」という慎一郎(谷原章介)の本音がもれて、ようやくドラマの大前提が出揃った感じ。ここからの麗香(観月ありさ)の巻き返しに期待!というわけで、今話ではまだ大前提も出揃ったばかりということで、いっさいの巻き返しはなし。
 「君と僕とじゃ違い過ぎるんだ」と慎一郎には突き放され、「ねえちゃん、デカ過ぎるんだよ」と子供の守クン(須賀健太)にまでも言い放たれてしまう、過ぎたるは及ばざる系のヒロイン・麗香だけど、それほどの欠点もないような気がするんだけど。何はともあれ、子役の須賀健太君はとてもかわいかったということで。っていうか、ちょっとうま過ぎるか。これこそまさに、“過ぎたるは”でしょ。
 ニューヨーク風の安ホテルの設定が生かされていなかったり、お金ないのに携帯電話で海外への長距離電話はかけ放題だったりと、ドラマとしてのウェルメイド度はまだまだって気もするけど、そのゆったりムードのあっさり味は、お決まりなコメディ・テイストを目指しているというよりも、むしろお仕事物路線を進もうとしてるのかな。とりあえずは、守クンぐらいには大人じみていろんなことを考えてくださいよ。(結)


第1回(4/9放送)
☆☆
 観月ありさがギラギラと電飾で飾られた『ダイヤモンドガール』の宣伝用巨大トレーラーを街で目にすること複数回。ドラマを見る前から、このドラマが目指す地点が何となくわかったような気になっていたのだが、この第1回は、まさにそんな期待通りの展開づくしだった。
 圧巻は、プールサイドにシドニーの明るい太陽が照りつける冒頭から、婚約者(谷原章介)からの電話で一方的に婚約を破棄され、主人公・麗香(観月ありさ)が慌ててウェディングドレスで駆け出すまでの最初の13分間で、今後のドラマの成り行きのすべてを透明にしてしまったこと。ドラマの最後まで、全部わかっちゃったなんて言わないで。
 想像と違ったのは、その後もひたすら出ずっぱる観月ありさ扮する主人公が、それほど鼻持ちならないキャラではなかったということぐらいかな。最初は『やまとなでしこ』の桜子並に鼻持ちならないキャラを想像してたんだけど、意外にいい人でしたね。
 さらなる安心感は、適材適所な俳優陣がそれぞれのイメージを裏切ることなく、各キャラクターとして登場してきたこと。イギリスのロースクールを首席で卒業したらしい才色兼備な弁護士役に原沙知絵。観月ありさとは対照的な魅力がそれっぽいし、岸谷五朗の汚らしい正義の味方もいかにもでしょ。味は薄くもとことんカッコいい谷原章介も、一切のイメージを裏切らず。古きよきハリウット映画みたいなムーディな音楽が、いかなるせっぱ詰まったシチュエーションをも、なだらかにツルツルにしてくれる。
 あの一泊1000円の安宿は、どう見てもニューヨーク。それにしても、あの小さなスーツケースからは、驚くべきほどの洋服が飛び出したね。洋服もつまってたけど、このドラマには作劇の基本もいっぱいつまってた?! 帰ったと思わせといて、やっぱり戻ってくるや、誤って捨てた書類を一緒に探す縁で、犬猿の2人が打ち解けてはじめる教科書通り!元彼とはエレベーターですれ違うも、労働の後の朝日はたまらなく気持ちいいぞ。せっかくシドニーロケしたんだもん。素材の有効利用としては、やっぱりタイトルバックにも使わなきゃね。(結)




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