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ブラックジャックによろしく (TBS系金曜22:00〜22:54)
製作著作/TBS
制作/TBSエンタテインメント
チーフプロデューサー/貴島誠一郎
プロデューサー/伊與田秀徳
原作/佐藤秀峰
脚本/後藤法子
演出/平野俊一(1、2、3、6、9、11)、三城真一(3、4、8、10)、山室大輔(7)
音楽/長谷部徹
主題歌/『LIFE is…〜another story〜』平井堅
出演/斉藤栄二郎…妻夫木聡、赤城カオリ…鈴木京香、出久根邦弥…加藤浩次、牛田克雄…杉本哲太、宗形正臣…松尾政寿、綾瀬はるか、今井陽子、金子明子…泉ピン子、甲本雅裕、神保悟志、浅野和之、武野功雄、水沢螢、川村ひかる、半海一晃、氏家恵、ガッツ石松、石橋凌、原田芳雄、国仲涼子、飯田基祐、瀬戸陽一朗、中丸新将、武田大和、横山めぐみ、吉田栄作、笑福亭鶴瓶、小林すすむ、久保結季、鹿賀丈史、春日部一郎…伊東四朗、白鳥貴久…三浦友和、服部脩…緒形拳
ほか

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第11回(6/20放送)
☆☆★
 患者の前でなすすべなく後ろずさりして慄く斉藤(妻夫木聡)に、第1回からのデジャヴ。そして誠同病院で再チャレンジしてという構成は円環の美というべきか?英雄的に美しすぎるというべきか?
 学習しない男、斉藤の壁越えよりも、ナースを続けることこそが償いだったと語る赤城(鈴木京香)の決意表明の方に力強さを感じる。(結)


第10回(6/13放送)
☆☆☆
 身を切るような辛さが連続したNICU編に対して、小児科編はもっと切実な現実を突きつけてくる。ただ、そんな高みを目指すドラマの足を引っ張るのが、主人公のキャラクターというのも、何とも皮肉なお話。斉藤(妻夫木聡)の学習能力のなさに、ついには腹立たしくなってくる。(結)


第9回(6/6放送)
☆☆☆
 斉藤(妻夫木聡)のあまりの罪作りぶりも、ここまでくるともはやあっぱれというべきか。赤城(鈴木京香)のあまりにも悪魔的なたきつけ方は、ドラマティックという言葉で許されるギリギリの域。斉藤の全行動もまた、医療行為の越権ギリギリ。もしくは、若干の脱線。だからこそ、高砂の「しばくどアホ」発言には至極納得である。
 新たなる誕生を思わせる手術後の安堵感に救われる思いだ。そして双子の父親(吉田栄作)の、

「何が正しい答えなのか、ついにわからなくなったよ」

の一言で、この回のあり方が深まった気がする。吉田栄作の名演に、思わず目頭が熱くなる。
 野球による番組の時間変更のテロップを、重要場面からずらして挿入という心遣いには感謝です。心無いテロップほど、興をそぐものはありませんから。(結)


第8回(5/30放送)
☆☆☆
 考えうるすべての決断のいずれもが単純ではないがゆえに、冷静沈着をかなぐり捨てて、かつて見せたことがないほどに心情を告白する父親(吉田栄作)の姿に苦悩の深さを感じる。どうすることもできないやりきれなさが、見る側にも痛切に迫ってくる。
 原作であるコミックの劇的なエキスを残しつつ、よりリアルに話を運ぶ脚色の健闘が光る。高砂(笑福亭鶴瓶)が完全無欠ではなく、不完全な人間に描かれているあたりにも好感が持てるところ。喪失感に打ちひしがれる中で、斉藤(妻夫木聡)に結婚話を持ち出す場面の皆川を演じる国仲涼子がいい。『笑顔の法則』(竹内結子&宮路真緒)に引き続いて、TBSお得意の(?!)朝ドラヒロインツーショット三昧(鈴木京香&国仲涼子)がここでも実現!その充実度は雲泥の差だが。
 不安定なアングルの空撮といい、必ずお母さんとのツーショットの写真をなめて保育器をあおる効果といい、実に考え抜かれた見せ方だ。今週は吉田栄作にはじまり(『武蔵 MUSASHI』「必殺の鎖鎌!』)、そしてこの吉田栄作に終わった印象。いずれもそのやるせなさに目頭が熱くなる。(結)


第7回(5/23放送)
☆☆☆
 素人代表的な側面と正義感という名の気骨のすべてが、反語性という形でしか顕在化できない(つまりは、あらゆる言動において指導医に逆らおうとする)斉藤(妻夫木聡)の自己確信はますます頑ななものに。正論中の正論こそが人を傷つけかねないという危うさにヒヤヒヤさせる、このあたりのサスペンスフルも狙いか?!
 全編に充満する暑苦しさをどうとらえるかは、作品への評価も変えかねないが、少なくともこのNICU編に関しては、そういう思いを差し挟む余地がないほどに、双子の両親(吉田栄作&横山めぐみ)の思いに居たたまれなくなる。子供とのふれあいに母親の笑顔が戻れば戻るほど、その行く末に痛切にならざるをえないのだ。

「また悩んでるの?」by赤城(鈴木京香)

とは、視聴者の代弁よ。斉藤を叱咤する赤城の含蓄に、辛くも救われた思い。鈴木京香は凄みさえ出てきた。(結)


第6回(5/16放送)
☆☆☆
 NICU編にドラマは移って、これまでの暑苦しさに歯止めがかかったばかりか、話の切実度はさらに深まってきた。医者は大阪弁(笑福亭鶴瓶)、看護婦は沖縄弁(『ちゅらさん』から来ました国仲涼子)の日本全国津々浦々ぶりもすっと飲み込めるほどに、ドラマに夢中になる。新生児のみせ方が圧巻だ。(結)


第5回(5/9放送)
☆☆★
 宮村(ガッツ石松)メインの3週目。いい医者に出会えるかどうかですべては決まってしまう、という宮村の言葉が重い。英二郎(妻夫木聡)は宮村さんの笑った写真が必要って、それもまた随分他力本願だね。(結)


第4回(5/2放送)
☆☆☆
 ベテラン心臓外科医・北(原田芳雄)から「怖いんだよ」という嘆き節が聞かれたりするあたりの切実さは、このドラマのよさだが、インフォームドコンセントを含めた患者をめぐる話はやや誇張が過ぎて、興ざめしてしまう部分も。英二郎(妻夫木聡)は、夜中の入院病棟であんな大声出したら、みんな出てくるだろうに。そのあたりのディテールは、結構ザルだったりもする。
 母親からのメッセージは、留守電より手紙の方がしんみり来たと思うけど、「栄次郎(妻夫木聡)は、泣いてからが強い」という指摘には、妙に納得。だからまた泣く!

「あんた、一体俺の何なんだ」by宮村(ガッツ石松)

確かに。「いつも同じ顔」のガッツ石松が今話でもいい。
 主人公の暑苦しさには大いに疲れるが、1話完結にしない潔さは買いたい。最近、無理やり1話完結にしてしまおうとする弱腰のドラマが増えているだけになおさら。随所にインサートされる永大病院の空撮が効いてる。(結)


第3回(4/25放送)
☆☆☆
 今度は心臓外科の世知辛い洗礼を受ける主人公(妻夫木聡)。医局同士のつばぜり合いがむなしく、患者に初めて嘘をつく主人公がせつない。医療機器メーカーまでも絡み合って、複雑に入り組みあう医療の現場に、段々と不信感の塊になる(今日、病院に行ってきたばかりなんですけど、何となく不安……)。
 「だから一流は危ないの」とは、普遍的に重くズシリと響く台詞。鈴木京香演じるスーパー看護婦の賢者ぶりが、今話ではいつもにも増してまぶしい。そんな正しき導きにしたがって、暑苦しく正義のために走りだす主人公だったが、心臓外科手術のスペシャリスト(原田芳雄)のあがりの時間には間に合わず。ここは単純にタクシーに乗るべきだったか。研修医は貧乏なので、タクシーに乗れないの、とは言わせない。誠同病院でたんまり稼いだ日銭をここでこそ使いなさいよ。
 何はともあれ、その豪華キャストに万歳!高圧的な心臓外科のボス役の石橋凌が迫力満点。打ちひしがられた手術待ちの患者役を、ガッツ石松が意外なほどの迫真の演技でみせる。そして原田芳雄登場。素晴らしいの一言です。(結)


第2回(4/18放送)
☆☆☆
 医局マフィアと例えられる大学病院内の病んだ構造が赤裸々につづられる第2回。裸で万歳する体育会系ノリにゾッとさせられつつ、その奇妙なほどのリアリティに深くうなずく。
 やや前のめりになりつつも、普通のドラマを目指していない意気込みを随所に打ち出す気概には好感が持てる。主人公の正義感は段々暑苦しくなってきたが、そのアンビバレントな気持ちは大いに共感できるところだ。
 第1話以上に効いていたのは三浦友和。第1話同様、強烈な存在感を示したのが鈴木京香。主人公を諭し、その賢者ぶりが実にしっくりときて、原作の不都合を補ってくれる。
 テーマ曲がバースタインの『サムウェア:』にそっくりだったり、深刻な場面にかかる曲が、バーバー風だったりするあたりに微妙にひっかかりつつ、今クール数少ない良心作がその期待に応えてくれることを祈らずにはいられない。ところで平井賢って、段々玉置浩二みたいになってきてない?(結)


第1回(4/11放送)
☆☆☆
 医療の根本を考えさせられる誠実な作りに期待度大。夜の医療現場の現実が生々しく迫ってくるエピソードは、いきなりの衝撃だった。看護婦の仕事を越権し、その血なまぐさい修羅場を鬼気迫る緊張感で体現した鈴木京香がとりわけ印象に残る。
 だが、手術のシーンとしてはちょっと引っ張りすぎか。これが『ER』だったら、確実にあの患者はお亡くなりになってますよ。生きるか死ぬかという選択肢を常に突きつけてくる『ER』を経てしまった眼を納得させる医療ドラマとなると、あまりにも高いハードルとなるが……。(結)




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