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| 武蔵 MUSASHI | (NHK総合日曜20:00〜20:45) |
| 制作著作/NHK 制作統括/一井久司、古川法一郎 原作/吉川英治『宮本武蔵』 脚本/鎌田敏夫 演出/尾崎充信(1、2、3、6、7、12、13、14、17、20、21、24、27、29、34、37、38、42、44、49)、木村隆文(4、5、8、9、15、16、22、23、28、31、35、36、39、48)、野田雄介(10、11、30、33)、梛川善郎(18、19、41、43、45)、後藤高久(25、26)、櫻井賢(32、47)、大原拓(40、46) 音楽/エンニオ・モリコーネ 語り/橋爪功 出演/宮本武蔵…市川新之助、本位田又八…堤真一、お通…米倉涼子、朱実…内山理名、お甲…かたせ梨乃、柳生兵庫助…高嶋政伸、りん…和久井映見、琴・八重(二役)…仲間由紀恵、亜矢…寺島しのぶ、鐘巻自斎…津嘉山正種、祗園藤次…阿部寛、吉岡清十郎…榎木孝明、権六…谷啓、高音…緒川たまき、吉岡伝七郎…光石研、阿国…片岡京子、お菊…広末涼子、明石掃部…京本政樹、常高院…姿晴香、豊臣秀頼…新晋一郎、真田大助…東新良和、片桐且元…入川保則、藤堂高虎…誠直也、本多正純…鴈龍太郎、阿茶局…泉晶子、商人…池田鉄洋・林和義、お六…須藤温子、三之助…小池城太朗、金地院崇伝…平松慎吾、相田中之進…綱島郷太郎、元吉…赤塚真人、役人…三波伸一・伊藤俊、板倉勝重…坂部文昭、大久保忠隣…石橋雅史、細川忠利…阪本浩之、桜田加左衛門…潮哲也、宣教師…ポール・カミンスキー、田中数馬…AKIRA、下関・宿の主人…山本龍二、船頭・佐助…千葉清次郎、岡谷五郎次…竹田寿郎、お光…すほうれいこ、小倉・宿の主人…野村昇史、内海孫兵衛…廣田高志、香山半太夫…村田宏、船頭…山崎崇史、染師…佐藤輝、片山幽鬼…田中要次、井戸亀右衛門…太田佳伸、加賀四郎…瀬戸口郁、石川六兵衛…藤田宗久、奉行…青木勇二、典膳…近藤芳正、三木軍兵衛…草見潤平、片倉重之進…中村修、さく…金沢碧、十漢…佐渡正城、通訳…翁華栄、村人…杉山健一・顔田顔彦・山崎秀樹、児島善之助…天乃大介、徳斎…大島宇三郎、小野治郎右衛門…林邦史朗、胤舜…浜田学、大山勘兵衛…大山克巳、庄司甚内…六平直政、石母田外記…沼田爆、吉弥…ダンカン、直次郎…池田政典、お吟…菊池麻衣子、菰の十郎…山崎裕太、城太郎…三浦春馬、大山余五郎…宮内敦士、木村助九郎…川井つと、大山門下…森永建司、さと…鷹家昌子、宿の主人…関時男、役人…上杉陽一、用心棒…賀川黒之助、用心棒…真柴幸平、さとの亭主…佐藤祐四、番侍…大塩武、市頭…吉中六、とめ…田根楽子、藤六…岩崎ひろし、北見新蔵…草野康太、村田五郎…菊池均也、綾部甚内…松井工、稚児の小六…永堀剛敏、岡谷五郎次…竹田寿郎、嘉平…加藤満、慧言…麿赤兒、灰屋紹由…三笑亭夢乃助、児玉弥之助…井之上チャル、やす…角替和枝、苑田銀六…不破万作、和賀忠親…畠中洋、刀商…川端槙二、阿厳…武藤敬司、重源…江幡高志、山村良勝…早坂直家、百姓の男…山崎海童、百姓の女…岡林桂子、牢人者…諏訪太朗、小茶…内田莉紗、野間栄厳…矢沢幸治、赤壁八十馬…うじきつよし、植田良平…甲本雅裕、小橋蔵人…増田由紀夫、太田黒兵助…千葉哲也、山添団八…丹波義隆、野洲川安兵衛…西田聖志郎、祐筆…夢路いとし、茶屋の爺…笑福亭松之助、青木丹左衛門…伊藤敏八、弥二郎…古本新之輔、桜田三郎…高橋広司、辻風典馬…永沢俊矢、大鳥追松…寺島進、嘉平治…たかお鷹、堀井伝右衛門…村田則男、本位田外記之助…伊藤紘、武蔵(少年時代)…増田貴久、お通(少女時代)…桜井真琴、又八(少年時代)…内山眞人、本阿弥光悦…津川雅彦、吉野太夫…小泉今日子、妙秀…淡路恵子、佐々木小次郎…松岡昌宏、徳川家康…北村和夫、宍戸梅軒…吉田栄作、かつ…水野美紀、お篠…宮沢りえ、たか…左時枝、夢想権之助…大柴邦彦、柳生厳勝…永島敏行、久斎…岸田敏志、原田休雪…遠藤憲一、徳川秀忠…中村獅童、伊達政宗…西村和彦、大野治房…佐々木主浩、新免無二斎…ビートたけし、茂介…中村梅雀、茨木屋又右衛門…磯部勉、田口玄竜…本田博太郎、山田助左衛門…笹野高史、宗仁…茂山逸平、たみ…洞口依子、村の長老…多々良純、源六…近童弐吉、代官…和田周、役人…大森敬祠朗、百姓…飯沼慧、小次郎(少年時代)…大高力也、壬生源左衛門…狭間鉄、乱暴者…鬼界浩巳・藤原鉄苹、牢人者…佐藤尚宏、且元…香川耕二、後藤庄造…黒沼弘巳、俵屋宗達…ユ・ヨンゴ、御池…二橋進、南保…清河寛、壬生源次郎…中野勇士、志庵…坂田金太郎、末吉平蔵…針原茂、りん弥…廠のえる、太夫…辻香緒里・北川佳世子・松井涼子、吉岡門人…伊藤仁・森永竜矢・白井竜一、丑吉…吉田朝、喜助…徳井広基、大友伴立…田中輝彦、飲み屋の主人…谷津勲、阿部右京…清水明彦、黒埼弥六…六角精児、山崎藤九郎…松永久仁彦、半瓦弥次兵衛…哀川翔、日観…長門勇、淀殿…若尾文子、大野治長…近藤正臣、ルシア…高橋惠子、利世…坂口良子、孝蔵主…新橋耐子、真田幸村…中村雅俊、児島備前…宇津井健、岩間角兵衛…寺田農、細川忠興…夏八木勲、本多正信…西郷輝彦、池田輝政…中村勘九郎、内山半兵衛…西田敏行、柳生宗矩…中井貴一、お杉…中村玉緒、あかね屋絃三…江守徹、沢庵…渡瀬恒彦、柳生石舟斎…藤田まことほか >>公式サイト |
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最終回「武蔵よ永遠に!」(12/7放送) ☆☆ 武蔵(市川新之助)と宗矩(中井貴一)の因縁の対決が最後の見せ場に。ただこの2人の立ち合いであれば、最終回の冒頭にちょっとだけなんてことではなく、もう少したっぷりと見せてほしかった。あとはただ、武蔵が走ってばっかりで、何だかいまさらといった感じ。 もう走るのはいいから早く「五輪の書」を書きなさいよ、というイライラした気分になりはじめた開始20分あたりから、最近の大河名物と化した回想モードに突入。これってホント、意味ないよ。鳥描いてたかと思ったら、また回想かい。あれ?大傑作だった「鎖鎌篇」はないの? 結局、晩年のいきさつは完全に省略されてることに。そこを事実にそってやって、かつて見たことのないような渋い大河の締めくくりにして欲しかったのに。二点一流の極意なんか、1話分使って描いてもいいぐらいでしょ。霊巌洞にこもること、わずか4分。極端な話、地・水・火・風・空の巻でそれぞれにまつわる5話分あったっていいわけでしょ。エンニオ・モリコーネの音楽だけが流麗にしてドラマティックに流れ続ける。(麻生結一) 第48回「柳生を倒せ!」(11/30放送) ☆☆ いまいち又八(堤真一)の死にピンとこなかった前回だったが、朱美(内山理名)に遺髪が届けられて、ようやく実感が沸いてくる。次なるは大坂夏の陣。まだまだ先は長いと思いきや、来週が最終回か。 帰着点の迷いはわかるが、だったら武蔵(市川新之助)の晩年を描くという前ふりは何だったのかと思えてくる。今回の大河は、書や絵画をたしなむ今までに見たことのないような武蔵像が見られるまたとないチャンスだったのに。合戦の場面がないと誰も見ない、との大河的な考えの末のこれなんだろうけれど。 真田幸村(中村雅俊)の豊臣家のために命を懸ける決意。妻・りん(和久井映見)に明かす柳生宗矩(中井貴一)の戦乱の世に終止符を打とうとする決意。ともにそれなりの見ごたえはあるも、肝心の武蔵がいつまでたっても傍観者のようでは、ドラマを盛り上げていくのもなかなか難しい。(麻生結一) 第47回「涙の別離(わかれ)」(11/23放送) ☆☆★ 副題「涙の別離(わかれ)」というよりも、あまりにも唐突な別離となった又八の死。予告編からして、次に死ぬのはお通かと思っていたのだが……。 「誰かがどこかで恨みの鎖を断ち切らねばならぬ」by沢庵(渡瀬恒彦) との沢庵による名言の直後だけに、いっそうの恨みを背負うことになる武蔵(市川新之助)の境遇が皮肉に思える。 それにしても、又八は屋敷のいたるところに武器を隠していたものよ。まさに、鉄砲商人として生き抜いてきた又八ならではの機転というもの。お通に襲い掛かる亜矢(寺島しのぶ)を又八が鉄砲で撃ち殺す場面は、『危険な情事』的趣向。その前に鉄砲にこだわって見せただけに、いつ使われるのかとじりじりさせたが、少し遅かったか。実際には、超重要人物亜矢も死んだ回となった。先日の東京国際映画祭でも主演女優賞を獲得した寺島しのぶだが、この亜矢役も冴えまくってましたね。(麻生結一) 第46回「宿敵!柳生宗矩」(11/16放送) ☆☆★ 柳生兵庫助(高嶋政伸)と武蔵(市川新之助)がお互いに太刀をおさめるには、お通(米倉涼子)が間に入るしかないという解決法は、先週のラストから容易に予想がついたところ。巌流島以降のズルズルっとした感じは、背中を斬られたお甲(かたせ梨乃)が薬草採りに助けられたことを事後報告してきたり、命がけで美濃に向かったはずの又八(堤真一)が、あっさりと朱実(内山理名)を捜しあてたりする粘りのない展開に顕著だ。 そんなご都合主義の横行にぐったりとしているも、武蔵、兵庫助、そして柳生宗矩(中井貴一)の初スリーショットが、そんな不満な気持ちをいっぺんに解消してくれた。寸止めのトライアングルを目のあたりにして、即座に背筋がピンとなる。いっそ、こればかりを見ていたい気分。 先日、若尾文子さんにお会いする機会があって、淀殿のキャスティングは突然決まったのだというお話をうかがった。当初は4話分と少なかった出番も、結局最終回まで登場することに変更になったのだとか。なるほどこのドラマは、ラストの落としどころを探してさ迷っているわけですね。若尾さんは大スターの輝きを今なお失うことなく、知的でお美しい、大変素敵な方でした。(麻生結一) 第45回「冬の陣開戦!」(11/9放送) ☆☆☆ 武蔵(市川新之助)と柳生兵庫助(高嶋政伸)が太刀をあわせる緊迫したラストシーンには、その前に起こったことすべて飛んでしまったほど(予告編を見る限りでは、結局立ち合わないようだが)。繰り返しになるが、やはりこのドラマの魅力はなんと言っても尋常ならざる緊張感で見せる立ち合いの数々に尽きると改めて思う。 同様に毎度盛り上がるのが、柳生宗矩(中井貴一)と兵庫助の対話シーン。宗矩が武蔵の村を襲わせたことに、自身が戦場で体験した月の夜の悪夢を思い起こしてしまう兵庫助の誠実さとひたむきさを高嶋政伸が好演している。 お懐かしや、僧になった吉岡清十郎(榎木孝明)に再会。こういう後日談が楽しめるのも、武蔵の生涯物ならではかな。(麻生結一) 第44回「お杉逝く!」(11/2放送) ☆☆★ 武蔵(市川新之助)v.s.亜矢(寺島しのぶ)を見るにつけ、やはりこのドラマには太刀をあわせる真剣勝負が常に不可欠と思わせる。ただ、亜矢の遅い動きにあわせてしまったか、武蔵の太刀筋も全体的にいつもより遅め。意外というか、予想通りというか、亜矢はかなり弱かった。 亜矢の差し金により、村人たちが惨殺される中で、三之助(小池城太朗)も予告なく命を落とす。お甲(かたせ梨乃)も背中を切られるも、おそらくしぶとく生き残っているのでは。お杉(中村玉緒)の願いの願いで一陣から離れて宮本村に向かった又八(堤真一)は、おかげで難を逃れるも、お杉は又八の背負われたまま、息を引き取る。 今話もっとも興味深かったのは家康の愛妾・お六(須藤温子)に好物を献上し、柳生宗矩(中井貴一)の謹慎を解くために一肌脱いだ妻・りん(和久井映見)の大活躍。 「時が夫婦にする」by柳生石舟斎(藤田まこと) との含蓄あふれる台詞がよみがえり、今話の見たまま副題にどうかと思う(って、見たまま考えたこと自体が久々?!)。(麻生結一) 第43回「武蔵村の危機」(10/26放送) ☆☆★ 大仏殿の鐘の銘文「国家安康」が家康の名前を分断するものだと金地院崇伝(平松慎吾)が難癖をつける有名なお話も、このドラマにかかっては一味違った切り口になる。豊臣方に戦を仕掛ける動機としてはこれではいかにも姑息と強く主張する柳生宗矩(中井貴一)は、逆に本多正信(西郷輝彦)からその思い上がりをなじられ、その場で蟄居を命じられることに。初登場以来、初めて宗矩がシュンとなるこの場面で、斜めに斜めにズームしていく緊迫感がひさびさにゾクゾクとさせる。 武蔵(市川新之助)はケガが完治して新田に戻ったのに、お通(米倉涼子)がノーリアクションってどういうこと? 「剣を鍬に変えて生きてみろ」by武蔵 と言ったのは祇園藤次(阿部寛)、吉岡清十郎(榎木孝明)、佐々木小次郎(松岡昌宏)だと感慨深く語る武蔵がいっそうの達観の境地に。今は動かぬと屋敷に引きこもる柳生宗矩の正心の論には更なる含蓄が。今話は武蔵と宗矩の悟り度合戦のようになる。 亜矢(寺島しのぶ)が「宮本武蔵」の名を口にしたとき、微妙にエフェクトがかかってた?! よく火星人の声なんかに使われるあれでしょ!(麻生結一) 第42回「武蔵と幸村」(10/19放送) ☆☆★ 切り払った竹林の上に飛んだわりには、武蔵(市川新之助)は意外に軽症ですむ。地味なれど、不死身の武蔵がここに完成した?! 「武蔵と幸村」との副題は、まさに見たままで異存なし。大阪城を目指す幸村(中村雅俊)と息子の大助(東新良和)を逃がすため、披露される武蔵の酔狂演技が見物。 親子が切っても切れない縁で結ばれていることにしみじみとして、はからずもお杉(中村玉緒)とお甲(かたせ梨乃)が意気投合する場面がいい。初登場のルシア(高橋惠子)は、ドラマ初のカタカナの人。 又八(堤真一)は相田中之進(綱島郷太郎)に大銃のことを詮索されて、 「ぱ〜ん」 大根を割って、 「ぱ〜ん」 中之進は信用できないとの助言をした夢想権之助(大柴邦彦)に大根を渡して 「ぱ〜ん」 の「ぱ〜ん」3連発。ドラマにはぜんぜん関係ないが、妙におかしかった。(麻生結一) 第41回「又八危うし!」(10/12放送) ☆☆★ 副題は「又八危うし」も、本当に危うかったのは武蔵の方だった!真田幸村(中村雅俊)に捕らえられた又八(堤真一)を助けるために、切り払った竹林の上に飛ぶ武蔵(市川新之助)。ただただ、たまらなく痛そうで。 「お前がそんなことをしても、何にもならん」by又八 まったくだ。 柳生兵庫助(高嶋政伸)の刃を前にして、水で墨をすると見せかけておいて活けてあった花を投げつけて難を逃れるとは、又八もなかなか機転の利くことで。いわゆる逃げ足だけは速いというやつか。 武蔵を破った四天王の一人、夢想権之助(大柴邦彦)が再登場し、いまだ正体が定かではない相田中之進(綱島郷太郎)とのつばぜり合いが激化。ちなみにあとの3人は沢庵(渡瀬恒彦)、柳生石舟斎(藤田まこと)、そして第1戦目の吉岡清十郎(榎木孝明)。 お甲(かたせ梨乃)とお通(米倉涼子)が再会するさまを見て、妙な感慨を覚える。世の中って、狭いですね(このドラマが狭いのか?!)。真田幸村に捕らえられた又八を助けに向かった武蔵を幾度となくアシストする三之助(小池城太郎)の存在が光る。(麻生結一) 第40回「信じる心」(10/5放送) ☆☆★ 今話の副題は「信じる心」なれど、エンディングに叫びたくなった言葉はむしろ次回の副題「又八危うし!」の方。いい人の塊のようなキャラクターだった柳生兵庫助(高嶋政伸)が、柳生宗矩(中井貴一)の手足となって働くことを決意するとともにイメージを一新。武蔵の名付け親、池田輝政(中村勘九郎)を武蔵(市川新之助)が病気見舞いに訪れた直後に謀殺し、追っ手たちを目にも留まらぬ早業で切り殺す。その無類の強さを発揮する様以上驚かされたのが、ターミネーターばりに無感情化したその様相。今話の白眉は、宗矩と兵庫助の鬼気迫る対話だったか。 鉄砲商人となった又八(堤真一)は、大野家重臣との商談の際、その妻(?!)高音(緒川たまき)をエロエロに襲うも、その真っ最中に兵庫助の刃が迫る。でもって、「又八危うし!」となる。前倒し副題がお得意なこのドラマならではのトリック。 出番の少なかった武蔵も、台詞一節にその存在感をアピール。お通(米倉涼子)が江戸に帰ってこず、さびしそうだったと三之助(小池城太郎)に指摘された武蔵は間髪をおかずに、 「もういいんだ、三之助」by武蔵 武蔵の抑揚の奇妙さは依然衰えを知らず!新キャラクターとしては、片桐且元役に入江保則、大野治長役に近藤正臣。近藤さんはちょっと前に聞いたFMシアター『カーン』の犬役がとってもよかったです。(麻生結一) 第39回「武蔵帰還」(9/28放送) ☆☆★ 冒頭にまたまたキッチュな武蔵(市川新之助)v.s.小次郎(松岡昌宏)を見せられ、改めてしみじみ?! 武蔵もまた道すがらのお地蔵様に小次郎の弔いをする。 副題はシンプルに「武蔵帰還」。4字の漢字のストレートさは、地味に粘った武蔵とお通(米倉涼子)の再会シーンにあらわる。見詰め合うこと約1分、歩み寄ること約40秒、抱き合うこと30秒。そして、来るものは拒まずのあり方で新しき村を開墾する。田畑を耕し、種をまき、そして芽が出る。そんな当たり前のことに感激できるひと時の幸福がまぶしい。 「(芽にむかって)でっかくなれよ!」by武蔵 巌流島後の武蔵、そのハイパー・ポジティブぶりがちょっと怖い?! 新キャストがずらずらと登場するも、今回もまた淀殿のキャスティングは高年齢ですね。『葵 徳川三代』の小川真由美のさらに上を行く若尾文子が変わることなくお美しい。真田幸村には中村雅俊。ちなみに『葵 徳川三代』で真田幸村だった西郷輝彦は本多正信役。児島備前役の宇津井健は毛利輝元役、あかね屋絃三だった江守徹は石田三成役だった。微妙に配役がかぶってますね。真田屋敷にひっそりと亜矢(寺島しのぶ)が潜入中!(麻生結一) 第38回「決闘!巌流島」(9/21放送) ☆☆★ 局をあげての巌流島大キャンペーンが功を奏したか、視聴率が先週回の11.9パーセントから21.8パーセントに大躍進。何とかその体面は保たれた形に。それにしても、何とキッチュな『決闘!巌流島』だったことか。ケレン味の効かせ方が、微妙に違っていたような。 巌流島までの物語の運びも物足りなく感じた。毎度おなじみ橋爪功の名調子も、用意周到だった得物の解説などはいいとしても、今話は武蔵(市川新之助)の内面を説明するようなものがらしからず多かった。寡黙なドラマが唐突に雄弁になった印象に早々居心地が悪くなる。お通(米倉涼子)の思いの高まりにいたっては、まるで何もなかったかのよう。キャラクターの一貫性を思っても、最近のお通は無色透明過ぎる。 武蔵は下関にいたから立ち合いに遅れたという新解釈(?!)はユニークだし、遅れた武蔵にいらいらしない小次郎(松岡昌宏)像も、それなりの見識だとは思うが、肝心の心理戦の様相は意外にも皆無。鞘を捨てたことを指摘されても言い返されちゃうようじゃ、武蔵と小次郎のメンタルの差異がどこにあったのか、あまりにも見えにくすぎないかい?だったらいっそ、あそこは武蔵にいったんたじろいでほしかったぐらい。 そしてとうとうキッチュの嵐を目のあたりにすることに。最初の一太刀に回りこんだ瞬間の『マトリックス』もどきからいやな予感が。そして、小次郎がかえした長剣よりも高く飛び上がった武蔵は、何と180度ほども回転する今どきの必死さを見せるではないか。これには思わず苦笑。これまでの、あの肉々しかった殺陣は何処に。一刀のもとに小次郎を倒した武蔵のやっちゃった的な表情には、このドラマらしさがあったけれど。 もっともらしかったのは、潮に乗っているはずなのになかなか進まなかった舟か。ほとんどとまっているかのようなその舟のダイナミックな空撮がまたいじらしくて。逆に、追っ手と待ち伏せの両軍はおまけほどもなく、あれれといった感じ。小次郎のヒロイステクックな回想を見るにつけ、この巌流島は小次郎主導だったかもとも思う。 今話中、もっとも心を締め付けられたのは、小次郎の無事をひたすらに祈り、彦島で海を見つめて待ち続けたお篠(宮沢りえ)の姿だった。その立ち姿に、エンニオ・モリコーネの壮大なスコアがまたよく似合う。 『武蔵 MUSASHI』擁護派としては微妙な思いにもなったが、ただ、巌流島は通過点というこのドラマのスタンスからすると、ある種番外編的な気分で見ればよかったのかもしれない。(麻生結一) 第37回「巌流島への道」(9/14放送) ☆☆☆ 冒頭の復習はいつもよりも長めの説明で、来週の巌流島への準備はまさに用意周到。ただ副題の「巌流島への道」は、珍しく芸がない見たまま。 武蔵(市川新之助)は小次郎(松岡昌宏)の三尺一寸の自在の長刀に立ち向かわなければならない。武蔵はすてにその太刀筋を見切っているがゆえに(前回、岩陰から盗み見に成功)、いっそうに勝てる術を見出せないのか。小次郎の長尺の剣対策ばかりに頭を捻る武蔵と、己の剣をただひたすらに追い求める小次郎との対照が鮮やかだ。 岩間角兵衛(寺田農)がその立ち合いの勝敗に関わらず、勝った方も切るとの策謀を知ってしまって、苦悩の末にそのことを小次郎に伝えるお光(すほうれいこ)。そして、その旨を小次郎の伝令として、武蔵に伝えるお篠(宮沢りえ)。小次郎を取り巻く2人の女がWにせつない。小次郎って、常に2人に愛される定めにあるみたい。 この場で武蔵はお篠に「人を信じることとは?」との重量級の問いをぶつける。お篠答えて曰く、 「相手の心を己の心と思えること」 ここにこそ、戦いのヒントが隠されてる?! 船島への下見に余念がない武蔵に対して、臨機に自由を兵法とする小次郎は下見せず。受験生だって試験前には大学に下見に行くもんね。ましてや、決闘をや。勝つことこそがすべて、それが武蔵の兵法なり。ただ、潮の流れに関しては、武蔵ならずとも小次郎も気にしていたという新説がまたいきとどいたことで。 対岸の下関に潜む武蔵なんざぁ、又八(堤真一)にはお見通しだったか。お互いがお互いに愛する女の仕立てた着物に袖を通し、いざ巌流島。 今回、本編以上に濃厚だったのが、大河ドラマの前に放送されている『お宝映像クイズ見ればナットク』。武蔵特集に偶然出くわすも、武蔵v.s.お通のクイズ対決はあまりにもテレビ的じゃないスリリングよ。正解不正解に一喜一憂の市川新之助と、終始脱力の塊でしかなかったにもかかわらず、最後の問題に正解して、いきなり誇らしげな表情になる米倉涼子。この2人の素はさらにつわものだった。(麻生結一) 第36回「武蔵と小次郎」(9/7放送) ☆☆☆ 今話の見たまま副題は、一足お先に『小次郎、敗れたり!」で決まり。岸壁の先端に立ち、ナルシスティックにツバメ返しよもう一度とばかりに素振りにいそしむ小次郎(松岡昌宏)の太刀筋のすべてを、武蔵(市川新之助)は岩陰からこっそり盗み見ちゃった!使えるものは何でも使う必死の策略家、武蔵の面目躍如たるところか。策略を弄して、相手を切れるわけではないと豪語する小次郎は、この次点ですでに敗れたり。果たし状の前に戦いを挑みたかったと、さも正々堂々とする武蔵の口元が思わず緩んだのは、さっき太刀筋を盗み見してたことを思い出して、ついニンマリしちゃったってこと?! それにしても、細川家の家督争いに加えて、徳川家の策謀までも巻き込んでと、今回の巌流島の戦いはかつて聞いたことがないほどに背景が分厚い。いかにもそれらしい下味に、ノンフィクションとフィクションの狭間の妙を存分に味わう。 柳生宗矩(中井貴一)は、己の気持ちを秀忠の気持ちにしてみせるとの凄まじき決意表明。反対に、柳生兵庫助(高島政伸)はいっそう微妙な立ち位置に。りん(和久井映見)が身ごもったことを知り、見るからにガックリって、実はりんのことが好きだったってこと?! 強情なお杉をおぶって旅するお通の姿は、ドラマ当初からすれば隔世の感。又八(堤真一)が大枚はたいて買った船先だけの伝八丸がかわいい。播磨の染物に目をとめたお甲(かたせ梨乃)は、その地で元カレ・祇園藤次(阿部寛)の訃報を聞く。 細川忠興(夏八木勲)に強さを見せろといわれて武蔵が立ち合った片山幽鬼(田中要次)との静かなる戦いは、そのダイアローグの妙で名勝負の一つとなる。木刀が相手に吸い込まれていく。動きも読まれている。そして心までも。ここで真逆に心を軽くする武蔵はやっぱり鬼としか言いようがない。心が読まれてるんだったら、むしろ何も考えることはない。何もすることもないって、何たる逆転の発想ぞ。両者の間にひらひらと舞い落ちる葉っぱをきっかけとし、一刀にして幽鬼の頭を割る武蔵。 「俺の心を読んだのか?」by幽鬼 「いや。木の葉が教えてくれた」by武蔵 もはや発言が石舟斎化してる!視聴者にもそのメンタリティがもはや尋常でないことは、説明をうけずとも伝わってくるところ。(麻生結一) 第35回「武蔵、小倉へ!」(8/31放送) ☆☆☆ 前回のあかね屋絃三(江守徹)に引き続き、この作品中で最も華麗な太刀さばきを見せてくれていた祇園藤次(阿部寛)が、とうとう武蔵(市川新之助)に切らる。ここにまた一人、重要キャラが消えることに。剣を持って生きるものの必死の心を武蔵に伝えた藤次。武蔵によって奪われた右の握力が戻っていたのにはちょっとビックリ。風になびく色とりどりの染物とまみれるかのような美学的な散り際は、藤次のキャラクターに相応しかった。 名コンビは一緒にアウトしてしまうのか?老いさらばえて、いっそうに妖艶を極むお甲(かたせ梨乃)もまた、これが見納め?! 「盗人を捕まえてから縄を綯う」又八(堤真一)の商法に、またも一文無しとなった朱実(内山理名)に目もくらむような高価な品々を道に放る、その母娘の情愛にほろっとくる。出演シーンはここだけのお通(米倉涼子)に見取られながら、権じい(谷啓)もひっそりと逝く。宗矩(中井貴一)の子を身ごもったりん(和久井映見)は相変わらず洒落た着物を着てるね。いまだに、うちかけじゃないのも素敵。 小倉への道すがら、武蔵は久々に生まれ故郷、美作に立ち寄る。吹き上げてくる風、木々の匂い、土の匂いが見るものにも懐かしく感じられるよう。特筆すべきは、その地で御堂を守っているあまりにも哀れな沢庵!あれほど仕官をしないといった武蔵の心変わりに愕然!武蔵の言葉で生き方さえ変えた沢庵だけに、武蔵の心変わりに大人げなくチクチクと絡み続ける。 「あの言葉は、ただあの時だけのものじゃったのか?」by沢庵 「人とともに生きることが何よりも大切なことではなかったのか?」by沢庵 御堂を出て腕組みし、いったんクールダウンを試みる沢庵だったが、 「お前を責めているのではない。お前の心を問うている」by沢庵 とさらなる追い討ち。あれは完全に責めてるね。 「剣とは何か?女とは?父とは?」by武蔵 ここに久々、武蔵の音節切りの台詞まわしがミクロ的に復活。これが出ないと新之助の武蔵じゃないもんね。 メイクがますます西郷隆盛みたいになってきてる沢庵は、ここにこれまでの借りを一気に返すべく逆襲的名言を吐く。 「迷え!タケゾウ。それがお前の生きる道じゃ」 副題は「武蔵、小倉へ!」も、内容は「美作への里帰り」、もしくは「沢庵の逆襲」か?! 先週から流れ始めた巌流島の予告に胸が高鳴る。(麻生結一) 第34回「対決!夢想流」(8/24放送) ☆☆☆ エピソードの散発が見事に一つに連なる物語の語り口はここにきてさらに冴えを見せる。ここ最近では『徳川慶喜』に次ぐ面白さの大河と称したい。そういや、『慶喜』も評判悪かったもんなぁ。悪評は渋い大河の宿命か。 無敵の武蔵(市川新之助)、子を思う母の愛に不覚をとり、見るからに落ち込む。母・たか(左時枝)の眼力という強力アシストがあったとはいえ、夢想権之助(大柴邦彦)は武蔵から金星を奪った数少ない武芸者の一人に。副題の「対決!夢想流」も至極納得だが、そのわりには出番少なかったなぁ。 今話の白眉は何といっても、 「あかね屋絃三(江守徹)は死んでも、風魔小太郎は死なねぇよ」 の捨て台詞とともにドラマからアウトしたあかね屋絃三に尽きる(最後にして、語尾“よ”のイントネーションが普通に!)。忍びの術を使わねば、すっかり権力の手先に成り下がった亜矢(寺島しのぶ)との実力差は歴然だったか。その磔の様にハードボイルドを匂わせ、槍で脇を突かれるや、口から桜の花びらを吐く奇術ぶりを堪能するにつけ、この突拍子もない存在もこれが見納めになるかと思うと、激しく寂しい思いに駆られる。 冒頭の豪邸は又八のお屋敷でしたか。賃貸みたいだけど。毎度のごとく、いいように材木をせしめられ、またもや文無しになるも、精霊流しのなすやきゅうりを漬物にする新たなる商いを思いつく朱美(内山理名)はもはや、妖艶な盗人ぶりがあまりにもはまってるお甲(かたせ梨乃)以上のバイタリティを醸し出す。内山理名とかたせ梨乃の久々のツーショットも見ごたえあり。(麻生結一) 第33回「父との再会」(8/17放送) ☆☆★ 苦心の花火で謀反の疑いをかけられた末に殺された父の仇を鉄砲で撃ったために、追われている娘・お菊役に広末涼子を迎えたスペシャル番外編。ただ同じ番外編でも、あの鎖鎌篇の凄みとは雲泥の差。視聴率的にはもはや降参ののろしかと皮肉りたくもなる。 メインエピソードは唐突にはじまり、唐突に終わった感じで印象薄も、新免無二斎(ビートたけし)との再会場面に来週以降の期待感は高まって、★ひとつおまけ。見たまま副題に「父との再会」とは、ちゃっかりお菊のエピソードは無視してるんだ。(麻生結一) 第32回「武蔵の決意」(8/10放送) ☆☆☆ お通、いずこに。これって、先週の副題だっけ?まさに今週の見たままは、正式副題の1週前のめりの法則にぴったりだ。副題を1週前倒す意図はまったくわからんが。ということは、「武蔵の決意」は来週の見たままになる?! あかね屋絃三=風魔小太郎(江守徹)をおびき出すために、風魔小太郎の名をかたって放火や殺戮を繰り返していた亜矢(寺島しのぶ)が、ようやく姿を現した絃三と奇術的再対決を繰り広げるのかと思いきや、絃三の仲間だった祇園藤次(阿部寛)の裏切りにより、その刃に絃三が手負いとなる。 意外にも、武蔵(市川新之助)と絃三=風魔小太郎は初対面か。手負いの身とはいえ、いつも以上に語尾が変だぞ!子供たちに読み書きを教えている武蔵に、 「お前さんには似合わねぇ、なりわいだなぁ〜」by絃三 と問われて、 「身過ぎ世過ぎでやってるわけじゃない」by武蔵 このかみ合わなさ、もっと見たいと思わせる。 又八(堤真一)と朱美(内山理名)のコンビは、呉服問屋から材木問屋に転身。そういえば、朱美の母親・お甲(かたせ梨乃)がつきあってるのが藤次なら、娘の朱美が『元カレ』でつきあってるのも、漢字違いの東次(堂本剛)か。1ヵ月以上前から母娘による時間差的藤次&東次制覇が成し遂げられていたことを、いまさらながらに気づく。 多忙なスケジュールの間をぬって(?)、宗矩(中井貴一)は石舟斎の墓前に立つ。自らの道を生きていくことを宣言する宗矩とりん(和久井映見)の着物は、カラーコーディネートしてるね。 細川家に仕官した小次郎(松岡昌宏)は、もはや向かうところ敵なし。 「琴様の分まで、私は小次郎様を信じております」byお篠(宮沢りえ) お篠が小次郎を信じる心が、さらに小次郎を強くする。そんな琴(仲間由紀恵)は夏の紅白とまで呼ばれる『第35回思い出のメロディ』の司会を見事に務めあげる。歴代司会者は竹下景子、荻野目慶子、松坂慶子、黒木瞳、紺野美沙子、国仲涼子、高島礼子とくれば、仲間由紀恵もNHK女優まっしぐら=金曜時代劇主演ってことになる?! 細川忠興役で夏八木勲が初登場。(麻生結一) 第31回「お通、いずこに」(8/3放送) ☆☆☆★ ドラマはますます地味に白熱する。腕前を試す児島備前(宇津井健)、試される武蔵(市川新之助)。細川家の兵法指南役である次男・善之助(天乃大介)が小次郎(松岡昌宏)との立ち合いに完膚なきまでに叩きのめされ、その屈辱に耐えかねて自害したとの訃報を受け、再度の助けを請う備前、お通(米倉涼子)を待つために断る武蔵。プロローグとエピローグにしつらえられた控えめな応酬が、ドラマのまとまりをつかさどる美しさよ。武蔵が児島備前に温かみを感じるあたりは、備前を演じる宇津井健が醸し出す温かみとそのまま等号になっている。 1話ずつの前のめりがこのドラマの副題の常(「一乗寺の決闘!」しかり)。前回の副題「石舟斎の遺訓」を1週間かみ締めてのち、柳生石舟斎(藤田まこと)が逝く。 兵法の梶をとりても 世の海を 渡りかねたる 石の舟かな その訃報を京都から戻った又八(堤真一)から聞くにつけ、人が生きていくことの無常に打ちのめされる武蔵。この回にふさわしく、見たままに副題をつけるならば、「限りある命」ぐらいかな。回想シーンで織り込まれたノーガード殺法を再び目に焼き付けられる喜びよ。藤田まことの名演を深く胸に刻む。ってことは、柳生兵庫助(高嶋政伸)の父・巌勝(永島敏行)と母・さく(金沢碧)は、これが最初で最期の出番なわけ? それにしてもりん(和久井映見)、いい着物着てるよなぁ。色使いの格調が役柄に相応しい。他の登場人物の着物も、大名物にはない遊び心のあるセレクトで、見ていて楽しい。お久しぶりの沢庵(渡瀬恒彦)は武蔵の言葉を真に受けて、依然全国行脚中。 公式副題「お通、いずこに」は、やはり前のめりの法則通り、来週の内容を示唆。母が彫ったのかもしれないマリア像をお守りとして持っていたのが運の尽きとは、なるほどね。兵庫助のこっそりの告白が、お通の耳にまったく届いていなかったのには苦笑い。ワンシーン登場のお篠(宮沢りえ)は、一瞬そのまま消え入ってしまうのではと思わせるほどに、薄幸の化身ぶりが極まってきた。(麻生結一) 第30回「石舟斎の遺訓」(7/27放送) ☆☆☆ 絵の腕前は似顔絵だけにとどまらず、武蔵(市川新之助)は三之助(小池城太朗)との合作襖絵で、さらなる見事な筆捌きを見せる。ちなみに、劇中に登場した襖絵は、イメージ画とのこと。 小次郎(松岡昌宏)は細川忠利(阪本浩之)に仕官がなり、岩間角兵衛(寺田農)にその娘・お光(すほうれいこ)をあてがわれて豊前に向かうも、その行列には、小次郎と影、お篠(宮沢りえ)の姿が。お篠の忍ぶ様に宮沢りえの年輪を見る。お袋様(中村玉緒)から逃げたかった又八(堤真一)はお袋様から逃げられた気分で、朱美(内山理名)をお袋様代わりにして京へ発つことになるという、楽しげかつ悲しげなアイロニー。 副題の「石舟斎の遺訓」から、柳生石舟斎(藤田まこと)の最期を想像するも、見た目にはぜんぜん元気風。ただ、かつてないほどにこれまでの苦悩と屈辱と悲しみの人生が、厳しい表情からにじむ。一条寺下がり松で鳥の声を聞いた、という武蔵からの殊勝なことづけをお通(米倉涼子)から聞くにつけ、自分の5人の子供たちには、誰一人にも己の心が伝わらななったというもどかしさをかみ締める石舟斎の孤高が神々しい。 あかね屋絃三(江守徹)改め風魔小太郎、大屋根を音もなく走り、盗んだ小判を庶民に撒き散らす。そんな風魔小太郎の風評を貶めようと、罪なき民を手にかけるという手洗い罠に出る亜矢(寺島しのぶ)は、ヴォイスチェンジャーばりに絃三の声を真似っこ!そしてついに、半瓦弥次兵衛(哀川翔)が義侠心を通して磔に。 祇園藤次(阿部寛)とお甲(かたせ梨乃)の濃厚コンビがいよいよ江戸に出現。そして実現する武蔵v.s.祇園藤次、第3弾!これで藤次は武蔵との最多対戦者に。丸腰の武蔵にもはや隙なし。またしても聞こえる鳥の鳴き声。 「お前は俺には勝てぬ」by武蔵 ノーガードスタイルの継承で、武蔵こそが石舟斎を越える。「石舟斎の遺訓」なる難しげな副題が、実は見たままであったことを、最後の最後で知ることに。(麻生結一) 第29回「小次郎動く!」(7/20放送) ☆☆☆ 28話のラストで柳生に発ったお通(米倉涼子)は、完全不在。もしかしてこれまでの29回中で初?! 「小次郎動く!」とは久々に見たままにもほどがあるぞな副題だ!仕官を求めて、細川家で立ち会う場面から、微妙に浮ついたところがある小次郎(松岡昌宏)の太刀筋が気になったりもするが、最初期に比べれば格段によくなってるというべきか。さらに小次郎が立ち会う将軍家指南役の小野忠明役で、な・な・なんと今作の殺陣武術指導を務める林邦史朗先生が登場。本当はこの人が一番強いんですよ。小次郎の手に合わせすぎた感があるのは、殺陣武術指導役の悲しいサガか。その鋭い剣さばきに比べれば、台詞はもう一歩?! あらぶる小次郎と対照的に(同じ見たまま副題なら、「あらぶる!小次郎」ぐらいカッコつけてもよかった気もするが……。もちろん“!”は真ん中に)、武蔵の心は襖の画の如き静けさや。その武蔵野の様を描く筆筋は、この時点ですでに手慰みを超えている。 今話で小次郎以上の存在感を示したいたのが半瓦弥次兵衛(哀川翔)だろう。大山余五郎(宮内敦士)に手下の稚児の小六(永堀剛敏)を斬られるも、非暴力不服従を貫く半瓦弥次兵衛。 「人は馬鹿なことをすることもある」by弥次兵衛(哀川翔) さらに 「人のために生きてこそ、この世は面白れえんだよ。先生」by弥次兵衛 と名言を連発。覚悟を決めて城の普請に人足を出さないことを決断し、結果奉行所に連行されながらさらに、 「俺のことは心配しないで、偉くなってくだせぇ、先生」by弥次兵衛 と駄目押し的名言。 又八(堤真一)は古着の仕入れについて来いと、湯女と化した朱実(内山理名)を身請け。湯女のうけだしには、お金っていらなかったんだろうか?宇津井健は『ブルーもしくはブルー』からのスライド登板。これで国会中継でつぶされた『スタジオパークからこんにちは』オン・エアがかなう?! 細川家が話に絡んできて、小次郎と武蔵の距離が一気に縮んだ感じ(ただ今、巌流島のシーン、快調撮影中!)。さらには三之助(小池城太朗)が武蔵つきのシェフに就任して(?!)、ドラマもいよいよ後半戦に突入した趣。そしてお篠(宮沢りえ)は小次郎の影になる。見え隠れする琴(仲間由紀恵)の亡霊に、今年の『思い出のメロディ』に思いをはせたりして。(麻生結一) 第28回「つかのまの愛」(7/13放送) ☆☆☆★ 副題は「つかのまの愛」。武蔵(市川新之助)にとってもお通(米倉涼子)にとっても生まれてはじめて得た平穏な日。しかし、それもやがては終わりを告げるものだと暗示されると、その瞬間瞬間がいっそうにいとおしく思えてくる。 「どんな字であろうと、心をこめて書けばそれでいいんだ。わかったか〜っ」 の「か〜っ」でいきなり高音になる台詞回しは久々に新しい技?! 追い討ちをかけるかのように、 「俺はタケゾウだぁ〜」 って、何て清々しいんだ! 徳川秀忠役で中村獅童登場。中村獅童は武蔵と相まみえる剣客の役にこそぴったりだと思っていたのでちょっと残念。秀忠の御前で再対決したのは、かつてテレビ史上最長?!、2分14秒に及ぶ力みによって、ほとんど泣きそうになりながら打ち破った宝蔵院の胤舜(浜田学)。あの稀に見る名勝負を越えるには、2分14秒以上の力みが必要かと思われたが、二刀になった武蔵にとっては、 「昔の俺と思うなよ、武蔵」 とほざく胤舜など力むほどの敵ではなかったか。ただ、ここまで強くなっちゃうと、一昔前のやるかやられるかの凄みがちょっと懐かしかったりして。 「私は剣の道ではなく、修羅の道を歩んでまいりました」 武蔵のヤツ、剣術ばかりでなく、言葉のレトリックにまで巧みになりおって。思わず兵庫助(高嶋政伸)が絶賛するのも、妙に納得。 沢庵(渡瀬恒彦)の言葉ではなく、沢庵の生きている姿から禅の心を教わったと。何も持たず、何を得ようともせず、道々の人に食を乞い、諸国を行脚している沢庵の姿に多くのものを学んだと武蔵にほめ殺しにされ、今一度禅の心を問いかけてみるべく、慌てて流浪の旅に出かける沢庵の姿にもいとおしくなる。ここまで今の生き方を否定されちゃうと、形無しだわな。 今話最大の見せ場は、大きなものに翻弄され続けてきた父・柳生石舟斎(藤田まこと)の血のにじむような苦しみを、ヘドをはきたくなるような悔しさを傍らでずっと見続け、その有様を血となり肉としてきたと激白する柳生宗矩(中井貴一)のモノローグのほかに考えられない。「鳥の声を聞き、風の音を聞き、日が昇り、日が沈んでいく」様に喜びを見出すような達観の人生に抵抗し、もっと大きなものへなりたいと妻・りん(和久井映見)にわかって欲しい光線をこれでもかというほどに出し続ける宗矩の苦悩もまた、いとおしく思えてくる。 今話の隠れ眼目は、柳生石舟斎、あかね屋絃三(江守徹)と鳥の音を聞く魂トーク。何と濃密な時間かな。そんな濃密が連打される展開の中では、武蔵なんかより立派に生きている(?!)又八(堤真一)が湯屋で大はしゃぎしてるところで、湯女になった朱美(内山理名)と再会シーンもおまけ的になったか。 石舟斎の見舞いにお通が出向くことが、武蔵との平穏な日々に終止符を打つことに。 「そんな大げさなことじゃないよ」by武蔵 って、その大げさな言い方からして、大いなる大げさを暗示してるじゃないの。 「一乗寺で俺は、鳥の声を聞きました」 石舟斎の魂はすでに武蔵に伝承されていたのか。(麻生結一) 第27回「再会!武蔵とお通」(7/6放送) ☆☆★ 武蔵(市川新之助)は又八(堤真一)とあまりにもあっさり再会。代わりに、お通(米倉涼子)には簡単に受け入れてもらえず。武蔵に会いに来た沢庵(渡瀬恒彦)の“タケゾウ”と“ムサシ”の使い分けが微妙に難解。つまりは武芸者としての武蔵への言葉が“ムサシ”、お通の心をいとおしいと思う一人の男としての武蔵への言葉が“タケゾウ”との呼び名で投げかけられたということか。 今話最大の見せ場は琴(仲間由紀恵)とお篠(宮沢りえ)の憂いを帯びた2人だけの密な時。 「あなたはお美しい」by琴 切り替えして、 「あなたもお美しい」byお篠 まさに美女は美女を知る!自らを哀れんでいた女の一番陥りやすい卑しい心根をお篠に指摘され、琴の瞳には次第に涙が溢れていくよ。そして、あまりにも唐突な死。 「なぜだ?」by小次郎(松岡昌宏) それはこっちの台詞だよ。まったくなぜ?のちのちに遺書が読まれるも、ここは立て続けにいってくれないと都合が悪い。幸福をゆずる自己犠牲とはちょっと見えにくいか。 「望みでございます。恨みではございません」by琴 という恨み節はねっとりとしみてくるんだけど。それにしても1つのドラマで2回死ぬ役とは、これ以上の非業もなかろう。ただ、ドラマとしての魅力減は免れまい。米倉涼子、仲間由紀恵、宮沢りえでそれなりのバランスがとれていただけに、残念だ。やはり、仲間由紀恵のスケジュールは半年しか抑えられなかったってこと?! 武蔵、今度は山菜料理の鉄人と化す。玄人はだしは似顔絵だけじゃなかったのか。そして、ビックリするほど涙もろくなる。「偉い人なんだって」との問いに、「たった一人のおなごも救えぬ愚か者」と自らを称するほどに謙虚な男になりました。台詞も想像を絶するほど力んでないぞ。この武蔵の自責の念は、琴を死なせてしまった小次郎にもかかっていく、まさに見たまま副題といえるのでは。 そういえば、当初の目的、又八への謝罪はあれで果たされたってこと?また随分、さらっとしてるな。又八を演じる堤真一のテンション違いの妙演が、ドラマにさわやかを運んできてくれる。 お通が武蔵を認識する場面、エンニオ・モリコーネの音楽にバリエーションが増えてないかい?! 盛り上がりはこうでなくっちゃ。(麻生結一) 第26回「柳生の誘い」(6/29放送) ☆☆☆ 武蔵(市川新之助)、江戸でその人気がブレイク!又八(堤真一)では勝手口にも入れてもらえない伊達政宗(西村和彦)の屋敷に招かれ、続けざまに柳生宗矩(中井貴一)にも誘われる。亜矢(寺島しのぶ)の弁により、柳生石舟斎(藤田まこと)は気に入った人間にしか無刀取りの型を見せないことも新たに判明。 武蔵、似顔絵もうまい!もしかしたら『顔』の平野瑞穂=琴(仲間由紀恵)よりもうまかったりして。400年の時を越えて、テイストは酷似なんだけど。 佐々木小次郎(松岡昌宏)、身請けの鬼!お篠(宮沢りえ)と琴と両手に薄幸の花状態か。久々に皮肉めいた言葉を口にする琴を演じる仲間由紀恵のそのたたずまいが、いっそうに儚げになっていく。その目力は、市川新之助にも匹敵! 「おかえ〜るぃ」by奈良井大蔵 もしくはあかね屋絃三 さらには風魔小太郎?(江守徹) 第一声から語尾が変!その流れで笹の葉・亜矢 v.s.あかね屋絃三(江守徹)、忍び抗争が勃発!三十三間堂での武蔵 v.s.吉岡伝七郎(光石研)以来の横走り対決がここに実現するも、足の回転数は武蔵にはるかに及ばず。 「あんたとはいつか命のやりとりをする日が来る!」by亜矢 とは、このドラマの全員にかかっていく台詞かな。ただ、見たまま副題にはちと長すぎるか。 後半の見せ場は、何といっても柳生宗矩 v.s.武蔵のしゃべり場的闘い!石垣の石になれとの要請に、 「なれぬ!」 とは、『土曜スタジオパーク』で見栄晴に対して傍若無人ぶりを遺憾なく発揮したあの時の市川新之助を彷彿とさせるね。そして宗矩が敵となる。 朱実(内山理名)によって又八に届けられた武蔵が描いた似顔絵。同じ雨を見ながら、お互いを思いつつたたずむ武蔵、又八、お通(米倉涼子)の三者三様の余韻がいい。(結) 第25回「お通の涙」(6/22放送) ☆☆★ 副題から“!”が消えた!見たまま副題はもともと“!”にはこだわってなかったわけですが。武蔵(市川新之助)と三之助(小池城太朗)の交流は異色の面白さ。父の亡骸を葬るための刃物を、夜中に研ぐすさまじさ。ちなみに、歌舞伎界の三之助の一人が新之助。 登場シーンは少ないが、表情だけで心情を物語る仲間由紀恵の琴が、いっそう役柄と密になってきて素晴らしい。小次郎(松岡昌宏)を挟んで対峙する宮沢りえ演じるお篠の儚げもまた絶妙。 それにしても、正気を失ったお通(米倉涼子)は薄汚れてたままに、まばたきしてなかったなぁ。顔に墨をつけた朱実の様は、内山理名に妙にピッタリ。 ただ、今話の白眉は何といっても、柳生石舟斎(藤田まこと)と兵庫助(高嶋政伸)の一刀のみの立ち合い。そして宗矩(中井貴一)がドラマに絡んでくる。(結) 第24回「蘇る!戦いの日々」(6/15放送) ☆☆★ 丸ごと一話分を総集編にあてるのは、最近の大河ではおなじみのパターンだが、放送半ばにしてとは随分早いな。まぁ、下降し続ける視聴率を鑑みれば、今こそやるべきときだとの判断によるものか。 ただ、この総集編を見た人が、再び『武蔵 MUSASHI』の視聴習慣を復活させようと思ったかどうかは大いに疑問だ。なぜなら、レギュラー放送時の面白さが、この総集編では十全に切り取られていないからである。病に伏した武蔵(市川新之助)と行き倒れのお通(米倉涼子)、そしてそんなお通を看病する又八(堤真一)の回想として、これまでの道のりを振り返るといった面倒臭い構成が、果たしてここに必要だったか? 『武蔵 MUSASHI』の面白さをそのまま見せるのであれば、そのままのダイナミズムを切り取って見せてくれたほうがいいに決まってる。“武蔵 v.s. 吉岡伝七郎”ぐらいのテロップを入れるケレン味で、なりふりかまわずこれまでの対決を総ざらいしてくれれば、永久保存の面白さになっただろうに。 『武蔵 MUSASHI』の面白さはストーリーそのものよりも、戦う行為の苦悩と葛藤、そしてそこから生じる切実にこそあるのだから、戦いの場面の連なりこそがこのドラマのエキスであることは明らかなのだ。「本当はもっと面白かったんですよ」と一声かけたくなるシーンが頻発するにつけ、つくづく残念な気持ちになる。とりあえずは、“武蔵 v.s.柳生石舟斎”編がたっぷり見られたのはうれしかったけど。逆に、一乗寺下がり松編の“武蔵 v.s.祇園藤次がカットになってたのはなぜ?殺陣の面白さは抜群だったのに。(結) 第23回「夫の仇!」(6/8放送) ☆☆☆ 武蔵(市川新之助)が夫の仇と自らをつけ狙うかつ(水野美紀)と、初めてにして最強のタッグを結成する。子供にかかわるとスキだらけになる武芸者の例外に、武蔵も漏れず。その梅軒に等しいあり様が、かつの仇討ちの気持ちを大いに軟化させたのか。かつの分銅がうなりをあげたのは、襲ってきた牢人グループと戦う武蔵へのアシスト的一撃だった。子供を背負いながらも体を回転させながら分銅を放つ、かつの華麗なる身のこなしたるや。手軽に分銅を手に巻きつけて、何事もなかったかのような表情で武蔵を迎えるあたりがクールにかっこいい。 お通(米倉涼子)への処遇はもはやイジメだね。世捨て人(ダンカン)の一党から袋詰めにされたり、同じものを食らう儀式で口から食べ物をこぼしまくったりといったあまりの汚らしさが、お通の通念を激変させる。さらには火までおこして、とうとうはじめ人間化。大河史上、かつてここまで虐げられたヒロインがいただろうか。なぜそこまでお通につらく当たるの、鎌田さん。確かに、女性が一人で江戸に目指したわけだから、その長い道程に無傷ってことは考えずらいはな。何としても江戸へ行こうとする決意の深さは、尋常ならざるぼろぼろなさまよいぶりから見たままに伝わってくる。子供たちも恐れおののくほとんど乞食な風貌のままに、お通は絶叫する。 「江戸はどっち?」 魂の叫びが見たまま副題に。 再対決!左手だけの藤次(阿部寛)も以前より強くなってる風だけど、二刀の武蔵はもっと強くなってる。己の心に素直になるということが難しいと噛みしめながら語る武蔵の腕を取り、噛みついて別れを告げるかつが印象的。この結びは、ちょっと思いつかないな。(結) 第22回「対決!宍戸梅軒」(6/1放送) ☆☆☆★ 「対決!宍戸梅軒」、副題そのままに、これまでの中でも最も緊迫感みなぎる魅力的な回であった。☆☆☆☆に及ばなかったのは、『プレマップ』で見せられすぎたせい?! NHKさん、いくらなんでもあれは見せすぎですよ。おかげで、ディテールまで殺陣への理解が深まったのも事実だが。 闇討ちの相手を斬ったと告白する小次郎に対して、琴が言う。 「一度手に入れると、失うのが怖い。それが幸せというものだとはじめて知りました」 小次郎と琴の二人で独りの孤高はいっそうに高まるとともに、このエピソードこそがドラマ全体にかかってくる巧妙さには唸るしかない。 武蔵(市川新之助)を酔わせて闇討ちにすることを実行にうつす宍戸梅軒(吉田栄作)と、そんなこそくな手を使う梅軒を卑怯者と叱咤する妻・かつ(水野美紀)。妻と子のために死にたくないという気持ちが芽生えた梅軒の心情を、吉田栄作が名演で見せる。『武蔵 MUSASHI』といい、『ブラックジャックによろしく』といい、強さと弱さとが同居するキャラクターを演じてここまでの痛切をにじませるとは。吉田栄作の役者としての力量にただただ感歎するのみ。 宍戸夫婦によって武蔵が鎖鎌に挟み撃たれる場面から、一瞬たりとも目が離せない。武芸者の道を往く武蔵と梅軒の避けがたき戦い。ディテールは『プレマップ』のまんまも、連なりとしての迫力には尋常ならざるものが。とりわけ、刀を鎖に絡めとられてから、二刀になる瞬間のリアリズムの極まりには震えがくるところ。鉄砲を武蔵に定めて、狙い打とうとするかつの必死の形相が胸を激しく突く。 興奮の冷却にならないのが、今回のワイルド版お通(米倉涼子)のすごいところ。後ろ手に縛られたままに、芋にむさぼりつく様は壮絶で怖いくらい。梅軒の墓標に武蔵への仇討ちを誓うかつの眼光鋭く、次回への期待感は高まるばかり。(結) 第21回「必殺の鎖鎌!」(5/25放送) ☆☆☆ しゃべりもぐずぐずにスナイパーかつ(水野美紀)が初登場。ただ副題に「必殺の鎖鎌!」とはまだ早すぎたか。あえて見たままに言うならば「チラッと鎖鎌!」ぐらいかね。 「物好きだね!」byかつ この番組に釘付けになる視聴者へのエール? 「思い知ったかどうか、頭が吹っ飛んだから聞けなかったけどね」byかつ ってこの人はかなりの物騒ぎな人のようです。そして、再度しゃべりのぐずぐずを確認し、体の切れ味とのギャップにただただ慄くのみ。まぁ、炎粉にまみれて鉄を打つ凄まじき宍戸梅軒(吉田栄作)の妻だったら、これぐらいにはぐずぐずはしてるかも?! 差し入れを持ってきてくれたさと(鷹家昌子)の朱実(内山理名)のそっくりさん説は、どう考えても又八(堤真一)のアドリブ(ほとんど悪戯の域)では?こういう台詞は、いくら今回曲げに曲げてきてる鎌田敏夫さんといえども書かんでしょう。 新たなる闘いの予感は小次郎(松岡昌宏)v.s.柳生宗矩(中井貴一)。飛んでくる矢を3つに切って見せる生死を賭けた闘い後、琴(仲間由紀恵)の胸の中で震える小次郎よりも、その鬼気迫る素振り後も息一つ乱れない「強いもの」by小次郎=宗矩の方こそが天下無双に見えるてくる。その張り詰めた余裕綽々ぶりも、他の剣客たちとは一線を画すところ。 「揺れる心こそが恋の証しなのかもしれない」by橋爪さん ここのところ、お通(米倉涼子)はドラマのまとめ役に回ることしばしば。そんなまとめ役のお通を襲うために、祇園藤次(阿部寛)は再登場?そういえば、阿部寛と仲間由紀恵の“トリック”な絡みって、今までにあったような、なかったような。(結) 第20回「家康暗殺!」(5/18放送) ☆☆☆ あらゆる煩悩を消し去ろうとする武蔵(市川新之助)は、木曽山奥の木地師が日用雑器を巧みな刃さばきで削る、その匠の技にまで魅せられて、またまたドラマになりにくい地味なところに入り込んでしまう。素敵過ぎて、及ばざるの典型よ。 「まぁ、気長にやってみな」by木地師(岩崎宏) の助言は視聴者へのエールでもあるのか?! というわけで、とりあえずはタイトルを『小次郎 KOJIRO』、もしくは『又八 MATAHACHI』に変更すべきか。江戸に来た者順でピックアップされる競争に、武蔵は完全に乗り遅れる。又八(堤真一)は絃三(江守徹)と絡みさらなるコント的存在感をみせ、小次郎(松岡昌宏)は弥次兵衛(哀川翔)と絡んで、ようやっと凄みを発揮し始める。 「いわくのねぇ者は、江戸には来ねぇよ」弥次兵衛(哀川翔) 久々に見たまんまだ! 家康暗殺計画失敗に百叩きの刑を終えて放免された又八に水を差し出した母・お杉(中村玉緒)の顔に、又八が吐き出した水がピシャリ!母の愛のムチへの報いがこれか! 「本当に大切なものは、無くしてからはじめて気づくものなんだ」by又八 朱実(内山理名)&又八はコンビ解消の予感。 城太郎(三浦春馬)が母・たみ(洞口依子)と再会する場面がいい。そして城太郎とお通(米倉涼子)はいち早くコンビ解消。愛のムチ的はり手がいかにも野生派・お通が、寒さに耐えて雪道を行くラストのロングショットが素晴らしい。 予告篇で鎖鎌の使い手、水野“スナイパー”美紀を発見。適材適所という四字熟語を使ってみたくなる。(結) 第19回「風雲の江戸!」(5/11放送) ☆☆☆ 琴(仲間由紀恵)&小次郎(松岡昌宏)、朱実(内山理名)&又八(堤真一)、絃三(江守徹)&亜矢(寺島しのぶ)、お杉(中村玉緒)&権六(谷啓)、お通(米倉涼子)&城太郎(三浦春馬)、そしてお篠(宮沢りえ)&休雪(遠藤憲一)という具合に(以上登場順)、今話ではコンビを組んでないと話の輪に入れないという決まりごとがあった模様。というわけで、武蔵(市川新之助)の初登場は何と29分過ぎ。しかも単語を用いての台詞もいっさいなし。完全なる物語の蚊帳の外とは、ドラマ中ながらの修行中と言わずして何と言う!コンビを組めてる登場人物たちを羨んで、そりゃ崖上からでも叫びたくもなるわな。 共演回数の多さがネックで男と女の関係になれずも(?!)、又八と朱実は対照的にこの世の春を謳歌する。堤真一がこのドラマ唯一のお笑いロールを楽しげに暴演中。 「何か楽しいなぁ」by朱実(内山理名) って、内山理名は半分素か?! もちろん、それはこっちの台詞でもあるんだけど。一般的には、そう思ってない方のほうが多いみたい?! あまりの低視聴率に、「視聴率の下落よとまれ!」との祈祷をあかね屋絃三にお願いしたくなるも、2週にわたって痴漢行為まがいをはたらくエロおやじに果たしてそんな力はあるのか?! 亜矢(寺島しのぶ)の竹笹電流攻撃にあえなく撃退されるぐらいだし。 翔さんは見るからに半瓦弥次兵衛!たとえそこが江戸時代であっても、任侠の徒役をやる一貫性が美しい。 「お前は十分に男の目を引く」by小次郎(松岡昌宏) 小次郎が珍しく正しいことを言い放つ。 紫頭巾が、琴の美しさをいっそう際立たせるアイテムに。 休雪がドラマを支配した第16話「伊達の刺客」(見たまま副題「柔らかい都の雨」) の回でさえも2枚看板に甘んじた遠藤憲一が、非業の最期をとげる時にとうとう一枚に。ここでの遠藤憲一と宮沢りえの芝居が胸を打つ。 見たまま副題も、 「私を一人にしないで!」byお篠 にとどめをさす。竹林にポツンと佇むお篠の姿があまりにも痛々しい。これで、コンビを解消したお篠の出番は減る?!(結) 第18回「女心 揺れる!」(5/4放送) ☆☆☆ あかね屋絃三(江守徹)の妖術大爆発!なるほど、絃三は忍びを重んじない為政者をひっくるめて怨んでたわけか。 「忍びは忍び」by絃三 とは、「かもめはかもめ」にも通じるほの暗さ漂う台詞よ。 「私はいい人なんだ」by絃三 ホントですか?琴(仲間由紀恵)の顔の刀傷を治す様はほとんどセクハラおやじじゃないですか。見たまま副題には、この台詞をいただきましょう。やはり共演数が物をいうのか。又八(堤真一)と朱実(内山理名)コンビはやっぱり息が合ってる。 「人は皆、前を向いて生きていくしかない」byお吟(菊池麻衣子) の名言を残して、姉様お吟(菊池麻衣子)はアウトかな。当時の日本がいかに狭かったとはいえ(ニアミス連発!)、ここは当然、待ち合わせでしょうね。 ニセモノが出るほどに名を上げた武蔵(市川新之助)は、自問自答の修行中につき、出番少なし。虚構の中でも修行するとは、今回の武蔵はやっはり並じゃない。(結) 第17回「おのれの道!」(4/27放送) ☆☆☆★ これまでの中でも指折りの秀逸な回。武蔵(市川新之助)が廻国修行の途中にめぐり合ったかつての剣豪、田口玄竜役を本田博太郎が尋常ならざる迫力で怪演。その存在感が、二人のうちのいずれかが片方が仕官できるという武芸者物の鋳型に、異色の面白さを付け加えている。 求められているのが武蔵だと知りつつ、卑怯に出ても仕官にすがりつこうとする武芸者のなれの果てぶりがあまりにも悲しい。これまでに武蔵(市川新之助)と対峙した相手の中でも、玄竜は異色の強敵。飛ぶ蝿を斬る場面での張り詰めた空気感といい、闇討ちに備えて寝ずの夜を過ごすお互いのダイアローグがすごい。 見たまま副題はズバリ「武蔵v.s.玄竜」でもいいぐらいだけど、実際の副題「おのれの道!」を台詞で置き換えれば、 「一生、雨に打たれて生きていきます!」by武蔵 ということになるか。玄竜への力んでの一言、 「武芸者としての誇りを捨てたのか!」by武蔵 は、「武蔵v.s.玄竜」の結論となる言葉。これはを、玄竜の姿に自らのなれの果てを重ね合わせての自戒の念ととるのは深読み過ぎる?そんなニヒリズムに金八化したお通(米倉涼子)が見たままの裏返しで警鐘をならす。 「人は一人では生きていけない」byお通(米倉涼子) 副題をここまで捻ると、どんな話だったか、わからなくなっちゃうけど。 弱いものの見方・奈良井大蔵=あかね屋絃三(江守徹)って、面白すぎるぞ。 「いらっしゃいませ」=奈良井大蔵? or あかね屋絃三? ってこんな遅い言い回しのいらっしゃいませの前例を知らない。又八と武蔵のすれ違いが、毎度のごとく凝ってるねぇ。(結) 第16回「伊達の刺客!」(4/20放送) ☆☆☆ いきなりトメが宮沢りえ!それもそのはず。今話はとにかく武蔵(市川新之助)、お篠(宮沢りえ)、休雪(遠藤憲一)の三者間心理戦がすごい!でも遠藤憲一は一枚看板じゃない!NR業でここ最近のCM界を席捲してる裏的時の人に何たる待遇(今、CMのNRは全部彼がやってるんでしょ?!)。そこのことに激怒したワケじゃないでしょうけど、 「惚れた惚れぬということではない」by武蔵 と久々に主役も台詞が力んでるぞ! それにしても暗い。何がって、照明ですよ。みるみる下がる視聴率は、この暗い照明によってさらに下がるというのか! 「伊達の刺客!」とは見たままの副題を先よこされた感。だったら今回は見たままにプラスアルファして、 「柔らかい都の雨」 という副題はいかがでしょう。武蔵・お篠・休雪組、小次郎(松岡昌宏)&琴(仲間由紀恵)組、そしてお通(米倉涼子)&宗仁(茂山逸平)組を横糸でつなぐ雨はやさしく降り注ぐ中、琴(仲間由紀恵)がはじめて女のすごみをみせる。(結) 第15回「響け!笛の音」(4/13放送) ☆☆★ 今度の武蔵(市川新之助)は無口な武蔵!吉野太夫(小泉今日子)からもらったのか、身なりも少しこぎれいに。何と放送開始35分まで無言なり。まだその手が残っていたか?! 久々の柳生家人々の登場シーンにときめくも、対照的に小次郎(松岡昌宏)&琴(仲間由紀恵)コンビはどうにも調子が出ないね。井之上チャルに茂山逸平とは、また朝ドラテイストなこと。(井之上チャルは『あすか』、茂山逸平は『オードリー』) 今話の副題は「響け!笛の音」という、お通がメインであることを何となく示すような雰囲気系。それを見たままに生かすなら、 「お通さんにやられたな!」by沢庵(渡瀬恒彦) 無言の武蔵の魂の叫びを借りるなら、 「お通にそばにいてほしい」 ぐらいかな。(結) 第14回「美は美なり!」(4/6放送) ☆☆☆ 過去に映像化されたいかなる“武蔵物”とも、『武蔵 MUSASHI』が違うことを認識させられた1回遅れの一乗寺下がり松の回。そのすべてが痛々しく、また生々しい。ここまでに痛切な宮本武蔵像は、かつてなかったのでは。内田吐夢版とも他の映画版とも、また水曜時代劇のNHK版とも一線を画するすごみがこの作品にはある。そこにはヒロイズムのかけらもない。あくまでも粗野粗暴な武蔵が、いっそう痛切に思えてくる。 一乗寺下がり松の戦いでの、曲がった刀を足で直すすごみときたら。吉岡の門弟たちが誰一人打ちかかっていけなくなるだけの迫力が武蔵の背中から発せられる。祗園藤次(阿部寛)との一騎打ちはさらに見ごたえ十分。素手で刀を掴む気迫には、ひたすら圧倒される。 比叡山から追われる場面も、様式を無視したひたすらの生々しさがいい。武蔵を非難するお通像もあくまでも酷烈。そのままに副題をつけるのなら、 「武蔵が怖い」 とお通に言われたことに対しての、 「わかってください」 との答えがピッタリか。 お杉(中村玉緒)の目潰し攻撃に武蔵の一時的座頭一化。実はお杉が一番強かったりして。雑魚を相手にすると、藤次も強いのう。今話で一番カッコよかったカップルは藤次&お甲(かたせ梨乃)だね。 「吉野〜太夫」by武蔵 呼び捨て作戦第2弾! 「真っ先に美しいものを見せてあげたいのですよ」 何という自信満々!目から包帯をはずした武蔵にいきなり、 「私を抱きなさい!」 だもん。この回復力たるや、映画並みのテンポ感でしょ。今後の息切れを心配せずにはいられない。 「移ろいやすいからこそ、美は美なのです」 そこまで言われちゃったら、やっぱり今回の副題は「美は美なり!」しかなくなるのかな。よく考えてみると、すごいネーミングなり!吉田喜重の美術ドキュメンタリー『美の美』と双璧か?!(結) 第13回「一乗寺の決闘!」(3/30放送) ☆☆★ 見るからに胸板の厚いお通(米倉涼子)に、 「やせたな、お通!」by又八(堤真一) とは何たるダメージの大きい一言か!ここでの又八(堤真一)の驚きリアクションが楽しそう! 修羅は修羅を呼ぶという妙秀(淡路恵子)の含蓄ある一言に応えて、 「覚悟の上です!」by武蔵(市川新之助) これが今回の見たまま副題にいいのでは。「一乗寺の決闘」であの寸止めじゃ、ちょっと裏切られた感じが残るでしょ。 力み方では武蔵(市川新之助)にも引けをとらないお杉(中村玉緒)には触れていいのもかどうか?! 琴(仲間由紀恵)の見せ場、依然薄し。残念。 イタリア⇔日本でなかなか難しいのはわかるけど、エンニオ・モリコーネの音楽の数がやや少ないかな。数の少なさを使用回数の多さでカバーしようとするのか、やや音楽過多の印象も。ただ、テーマ曲にはグッとくる。(結) 第12回「俺は死なない!」(3/23放送) ☆☆☆ もしあのスタッカートな台詞まわしのスピードがあがったら? 「利-に-な-る-も-の-は-何-で-も-用-い-る!」by武蔵(市川新之助) 全音にスラーがかかったこんな感じでしょうか。 「それが真剣……」 忘れたころに、 「勝負というものだ!」 台詞の分断も新しい武蔵の技か?! あまりにも予想通り、三十三間堂での吉岡伝七郎(光石研)との果し合いは予告篇がそのすべてだったか。いや、ちょっと待った!実はこの一撃の勝負には細かい芸当がいろいろと含まれているのでは。詳しいことが知りたい方は、公式ホームページへお行きなさい!(いきなり『スカイハイ』のイズコ?!) 今話の副題「俺は死なない!」とは、見たままとは程遠い遠まわしな決意表明。もしくは来週の予告的副題。見たままに従うならば、 「美しいものは怖い!」 もしくは 「美の道は難しか!」by満天風に(さよなら『まんてん』企画?) ぐらいか。自らを美しいと言い放つ吉野太夫(小泉今日子)は、さすがに先週より化粧薄し。妙秀(淡路恵子)と本阿弥光悦(津川雅彦)から立て続けに美しいものについて説かれるも、その境地は剣の道より遥かなり。(結) 第11回「修羅の道へ!」(3/16放送) ☆☆☆ 吉岡清十郎(榎木孝明)は、拍子抜けするほど簡単に武蔵(市川新之助)の目くらまし作戦に屈する。それにしても蓮台寺野の決闘場、あの俯瞰画、どうかしてるよ。助けを求める清十郎を見捨てて去る朱実(内山理名)も、ようやく調子が出てきたかな。 ここにきて、新キャラがぞくぞく登場。本阿弥光悦が津川雅彦ってどうなんだろうと最初は思うも、色里で遊びを教える役なら、このキャスティングは絶妙というしかない。お母さんは淡路恵子。何はともあれ、西田敏行、中村勘九郎、中井貴一に引き続き、大河主演経験者が脇に揃う。 「光悦……殿というのは」by武蔵 瞬間呼び捨てかと思う呼びかけ方。これはスタッカート力みに続く新しい武蔵の台詞回しの技か?! 恐るべし、武蔵(というか市川新之助)。 「淀川にゆらりと一人旅↑(語尾上がり!)」by ってまた江守さん、ふざけちゃって(直前に一人殺しているとは思えない!)。 小泉今日子扮する吉野太夫が化粧お化け風に登場。化粧はお化けでも、その助言は賢者のそれ。いくら琵琶の弦の話とて、たるみの話を化粧お化けが話すとシャレにならんけど。 「俺がみ・じ・ゅ・く・も・の・だ・と・わ・ら・う・の・か」 琵琶の音が耳に届いていないとは、石舟斎(藤田まこと)の有り難い助言を忘れてる?あぁ、柳生家の人々がまた見たい! 見たまま副題は「修羅の道へ」。 「修羅であろうとなかろうと、お・れ・は・ゆ・か・ね・ば・な・ら・ん・の・だ!」 そこまでスタッカートで力まれちゃ、もはや異論を挟む余地なしね。“修羅の道へ”もしくは“お・れ・は・ゆ・か・ね・ば・な・ら・ん・の・だ”の省略形が今回の見たままでした。 いよいよ次回は三十三間堂での吉岡伝七郎(光石研)との戦い。予告篇が面白すぎて、本篇を見るのがちと怖い。(結) 第10回「宮本武蔵 参上!」(3/9放送) ☆☆☆★ 「宮本武蔵、参上!」 やっぱり見たままだ〜っ!狂気の素振り、こんなの見たことない! 「武蔵さん?」by朱美(内山理名) そりゃ、見りゃわかるだろ? 「元気にし・て・る・の・か!」by武蔵(市川新之助) そんなことを言われた日にゃ、彼だってスタッカートを使うだろうよ。 「知っているのか!よ・し・お・か・せ・い・じ・ゅ・う・ろ・う・を」 名前までスタッカート!又八(堤真一)、汚すぎる!香田キャプテンの面影はどこにもなく。 「又八さんじゃないの!」by朱美 今度はわかるのか!さすがに『GOOD LUCK!!』や映画でも共演してるだけのことはある。 「怖くわないかい、娘さ〜」byあかねや絃三(江守徹) “ん”が消音化していくよ。 「この世には怖いものなんか何もないんだよ」byあかねや絃三(江守徹) って、あんたの目が怖いよ。亜矢(寺島しのぶ)の腰につけられた竹笹がいつも新鮮なのも怖い。 宮本武蔵v.s.佐々木小次郎(松岡昌宏)のあの階段のカット!ここに劇画調が極まる。次回は「修羅の道へ!」 “いよいよ”って、こんなテロップも見たことないぞ! 第12回「俺は死なない!」 第13回「一乗寺の決闘!」 第14回「美は美なり!」 予告篇まで力・ん・で・る!(結) 第9回「おのれを知れ!」(3/2放送) ☆☆☆ 武蔵(市川新之助)は過酷な修行の末、新たにスタッカートの効いた台詞回しを体得した模様。 「吉岡一門とた・た・か・わ・な・け・れ・ば・な・り・ま・せ・ん!」by武蔵 ここまでブレスが小刻みな台詞は、いまだかつて聞いたことがない。 「私はまだまだ剣の腕をみ・が・か・な・け・れ・ば・な・り・ま・せ・ん」 これって結構、新しいかも?! 見たまま副題ですが、今回はそのまま「おのれを知れ!」にのった! 「人とおのれは合わせ鏡のようなものじゃ!」by沢庵(渡瀬恒彦) とは含蓄ある教訓。この短縮形で、「おのれを知れ!」になるわけね。武蔵のスタッカート攻撃をもろともせず、言い返した沢庵はやっぱり“俺は強い!”級。 もっと強そうだったのが、柳生家の面々。宗矩(中井貴一)v.s.兵庫助の殺気たるや。ずっと柳生の物語でもいいなぁ。 「私はどこからでも入れるのです〜よ」byあかね屋絃三(江守徹) って江守さん、そんなふざけちゃって。全篇に漂うただならぬ雰囲気が、そんな彼さえも内包してしまう。 必要とされてないかもしれない男のもとに行くために、お通(米倉涼子)は柳生の里をあとにする。人の心を理解することのせつなさを知り、武蔵はまたまた力んで号泣する。何だかペール・ギュントみたいだなぁ。いろんな意味で面白く仕上がってきております。(結) 第8回「いざ!柳生の剣」(2/23放送) ☆☆☆ やはり藤田まことこそ、芸能界最強だった!もう、強いの何のって。一撃必殺から無刀取りへの進化?! ぶらぶらとした構えには、さすがの力み派武蔵(市川新之助)もあっけにとられ思わず脱力する。気を取り直して力み直すも、時すでに遅し。宝蔵院で勝ったことで太刀筋が決まり、すべてが読まれていただなんて。ここに藤田まこと最強説を実証できた!えっ?藤田まことじゃなくて石舟斎だって?もはや、どちらでも同じことでしょ?! 武蔵は膝から砕け落ちる愕然までも力んでるぞ。 見たまま副題は石舟斎のありがたい言葉から候補目白押し! 「勝負の最中に風の音を聞け!」 「飲んでいきなさい。うまい水だよ」 ほか多数。それにしても亜矢(寺島しのぶ)はなぜ、背中に笹をつけてる? ただここは作り手の心情を組んで、語尾にエコーまで付けた武蔵の叫び、 「俺はまだまだ狭い!」(“狭い”にエコー!) を今回の見たまま副題に決定いたしましょう。 別の意味で力んでる佐々木小次郎(松岡昌宏)は、 「京の燕が斬れるかどうか、試してみたくなった」 との精神を病んでいるとしか思えない発言で武蔵に対抗。宮沢りえは伊達政宗の妹だったのか。そんなスケール壮大に絡んでるキャラだったとは。柳生宗矩(中井貴一)の妻、りん役で、和久井映見登場。(結) 第7回「秘剣!燕返し」(2/16放送) ☆☆☆ 小次郎(松岡昌宏)がまとまって見られたのは、今回が初めてか。見たまま副題「秘剣!燕返し」も、あんなに力んでたら、切れるものも切れんだろ。 「尋常ではない顔つき」by八重改め琴(仲間由紀恵) 確かに、剣さばきよりも、唇の揺れの方がすごかった?! 勝っても負けても、戦いとは寂しいものであるということを武蔵(市川新之助)に説く日観(長門勇)の妖気漂う迫力に、武蔵ならずもあてられる。ベーシックなところから選べば、 「自分に素直になれ」by日観(長門勇) が今回の副題にふさわしかったかな(いつから副題変更コーナーになった?!)。素直になったおかげで、お風呂にも入れたしね。 柳生新陰流、石舟斎(藤田まこと)はやはり省エネ作法だったか。藤田さんの一撃必殺は、久々のNHKドラマでもいっさい変わらず。予告篇ではもっと強そう! 花一輪の切り口に、武蔵はまたも力み涙を流す。毎回の力みすぎに、新之助の体調が心配だ。大野治房(佐々木主浩)に 「燕?」 はよかったね。又八(堤真一)のびっくり演技に、パイロットの威厳、面影なし。やりすぎるほどに面白い。(結) 第6回「決闘!般若坂」(2/9放送) ☆☆☆ 武蔵(市川新之助)がどこでそんなに強くなったのか、さっぱりわからない時間軸のいい加減を乗り越えるほどに、尋常じゃない殺気がドラマに充満。阿厳(武藤敬司)のねじ伏せ方たるや。やっぱ、武藤はヒールがうまいねぇ。さすが相米映画の主役をはっただけのことはある。 見たまま副題「決闘!般若坂」に、二天一流の原型が見え隠れ。ただ裏にあるその叫びは、 内山半兵衛(西田敏行)の絶命辞、 「生きる!」 だったか。 何はともあれ、今話は武蔵の力み具合につきるかな。 「力だけでは勝てんぞ、新免武蔵」by胤瞬(浜田学) なんて煽るからますます力む。もしかしたら、テレビ史上最長?! そしてその力みはほとんど泣きそうの域に。胤瞬(浜田学)が打ち込んでくるまで待つこと2分14秒。敵から悟ることもあるという教訓で、さらに武蔵は強くなるのか。 武芸者物の時代劇って絶滅寸前だっただけに、このドラマには随所にうれしくなっちゃいますね。(結) 第5回「一から出直せ!」(2/2放送) ☆☆★ 今回はキャスト、地味だなぁ。あんなにたくさんいた豪華武芸者たちは何処へ?! すべては見たまま副題「一から出直せ!」を忠実に守った武蔵(市川新之助)のせい?! 終始山にこもって、奇声以外の台詞をほとんど吐かず。これはこれでご苦労様でした、って感じだけど。滝に打たれる姿からも、新之助の並々ならぬこの役にかける思いが伝わってくる。 むしろ今話の主役は地上の人、又八(堤真一)の方だったかな。肉体派お通(米倉涼子)も、さすがに闇夜は怖いと見える。野盗に襲われるシーンも含めて、米倉涼子の健闘ぶりは評価できるでしょう。野太いお通ってのもありかな、とだんだん思えてくる。柳生兵庫助(高島政伸)の加勢なしでも、米倉お通だったらあれしき一人で乗り切れた気さえするんだけど。(結) 第4回「倒してみせる!」(1/26放送) ☆☆☆ 武蔵(市川新之助)と吉岡清十郎(榎木孝明)の対決シーン、その殺気がたまらない。やはり敵は強くなければ。藤次(阿部寛)の剣さばきも目がさめるよう。 『GOODLUCK!!』の強面とは180度逆、こっちの堤真一はやさしいバージョン。慰める相手がドラマにもう一歩乗り切れない朱実役の内山理名とは、これもなかなか正しいセレクトだったか。そう言えば、『GOODLUCK!!』でも共演中。かたせさん、娘の前で妖艶すぎ?! 寺島しのぶはどこでも強いなぁ(=『剣客商売』)。仲間由紀恵の八重は、これで見納め?二役というには、あまりに薄し。 見たまま副題「倒してみせる!」は、むしろ 「強くなりたい」by武蔵(市川新之助) の変化形みたいなもの。あそこまでこてんぱんにやられてしまうと、 「倒してみせる!」 とは劇中軽々しく口走れなかったか。次回は「一から出直せ!」。 「さらに」(って、なかなか見られないテロップ!) 第6回「決闘!般若坂」 第7回「秘剣!燕返し」(小次郎のへっぴり腰は解消されるのか?) 第8回「いざ!柳生の剣」 予告編を見る限り、これからかなり面白くなりそう。(結) 第3回「弱さを知れ!」(1/19放送) ☆☆★ チラチラと登場するキャストの豪華さに惚れ惚れ(歴代大河の主役も数人含)。柳生新陰流ならぬ、省エネ一撃必殺流の藤田まことが柳生石舟斎とは、何たるはまり役。早くその剣さばきが見たい(その思いは、二日後の『剣客商売』第4シリーズでとげられるのだが)。なるほど、阿国役に片岡京子とはピッタリだなぁ。 見たまま副題。「弱さを知れ!」はむしろ「俺は強い!沢庵(渡瀬恒彦)篇」の趣向。あれだけ武蔵をこてんぱんにやっつければ、そりゃ「己の弱さを知れ!」ぐらいのことは達観の沢庵とて口走るだろうね。それにしても、謎の薬売り役の江守さんの妖術には笑ったよ。(結) 第2回「お前を守る!」(1/12放送) ☆☆☆ 宮本村の若衆たちの中で、唯一かばってくれた茂介(中村梅雀)を斬らねばならなかった武蔵(市川新之助)の苛酷な宿命。一話につき一人の死が、武蔵をさらに強くするのか。中村梅雀が第1回目の西田敏行に負けず劣らぬ早業で散る。その宿命に見合うだけの大物投入が型になれば、それはそれで楽しみになるというもの。 「俺たち若い者〜」 という茂七の口癖(?!)を中村梅雀に何度となく呟かせる苦々しさに、悪作『葵〜徳川三代〜』の忌まわしき記憶が呼び覚まされたりして。 第1話の副題「俺は強い!」に続く見たまま副題、 「お前を守る!」 がまたもドラマのままに。米倉“お通”涼子と一緒にあれだけ野山を駆け回った日には、 「お前を守る!」 ぐらいのことは武蔵も口走るだろうね。次回は「弱さを知れ!」。いかなる見たままが展開されるか、乞うご期待!(結) 第1回「俺は強い!」(1/5放送) ☆☆★ 正月の特番でかつての戦国系大河ドラマ、『信長』『秀吉』『徳川家康』の総集編を見るにつけ感じたのは、そのいずれもに殺気にも似た緊張感が全篇に漂っているということ(特に『信長』、凄すぎ!)。そんな情緒的なものとは無縁の世界観こそが大河ドラマの本流とするならば、この『武蔵』も王道路線の系譜を受け継いでいると言えるかも。初回の驚きは、微妙にずれたところにあったりもしたのだが。 内山半兵衛(西田敏行)は、いきなりに逝くのか。そんな彼を倒した辻風典馬(永澤俊矢)一党を一人でなぎ倒した時にはそりゃ、 「俺は強い!」 ぐらいのことは武蔵(市川新之助)も口走るだろうね。 衝撃は沢庵(渡瀬恒彦)のたるみきった裸と、佐々木小次郎(松岡昌宏)のへっぴり殺陣。沢庵の裸は今後の大勢にさして影響なしとしても、小次郎のへっぴりはやっぱり困るよなぁ。比較するにつけ、武蔵曰く 「俺は強い!」 の副題はますます正しかったということになる。戦う前から勝負あったか。 巷で賛否両論、というよりも非難轟々の米倉“お通”涼子だけど、かなりがんばっていたのでは。その緊張ぶりがヒシヒシと伝わってくる。無言役に強い(?!)ビートたけしに、武蔵の父、無二斎役はピッタリだった。(結) |
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