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GOOD LUCK!! (TBS系日曜21:00〜21:54)
製作著作/TBS
制作/TBS ENTERTAINMENT
プロデューサー/植田博樹、瀬戸口克陽
脚本/井上由美子
演出/土井裕泰(1、2、5、8、10)、福澤克雄(3、7、9)、平野俊一(4、6)
音楽/佐藤直紀
主題歌/『RIDE ON TIME』山下達郎
出演/新海元…木村拓哉、香田一樹…堤真一、緒川歩実…柴咲コウ、深浦うらら…内山理名、朴美淑…ユンソナ、原田美和子…加藤貴子、阿部貴之…要潤、緒川香織…市川実和子、安住紳一郎、佐藤康恵、中尾明慶、西山繭子、植松真美、天野浩成、岡あゆみ、岩堀せり、畑田亜希、新海良治…いかりや長介、内藤ジェーン…竹中直人、岩城滉一、平泉成、津嘉山正種、黒部進、茅島成美、頭師孝雄、西田尚美、未來貴子、熊川哲也、石田えり、柴俊夫、大島蓉子、石黒賢、小野武彦、芹澤名人、清水紘治、藤田宗久、渡辺謙吉、笠原織人、横山三菜子、田中啓三、広沢味希、小寺徹、太田健三郎…段田安則、富樫のり子…黒木瞳
ほか

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第10回(3/23放送)
☆☆☆
 冒頭から回想やらCMやら何だかわからないシーンやらを積み重ねていくうちに、ドサクサ紛れで新海(木村拓哉)の足が復活!ショウちゃんは郵便屋さんだったという新事実を挟みつつ(ユンソナ、効いてる!)、お父さん(いかりや長介)もいつのまにか応援にまわって、いよいよメインの監査フライトの話へとなだれ込む。
 緒川の家は米店だった。これも初耳でしょ?! せっかくの監査フライトに、歩実(柴咲コウ)が乗ってたら気が散って操縦に集中できないのでは?、との心配も取り越し苦労にすぎなかったか。全員が総出で新海を応援する展開に、見ているほうにも応援ムードが伝わってくる見せ方上手は相変わらず。
 そんな絶対合格ムードもそう簡単には終わらせまじと、積雲に停電にと普通のフライトにはさせてくれない意地悪な仕掛けを連打してくるあたりは、いかにも井上由美子脚本っぽくてうれしくなるところ。歩実としても、エコノミーのシートで小さくなってるより、停電の調査してるぐらいの方が気がまぎれてよかったかな。
 コックピットを離れた新海の大活躍と操縦桿を握る香田(堤真一)のフォローが大いなる見せ場に。ご両人のやりとりには、ただただしびれるのみ。最終回にして、操縦席のツーショットに堤真一と竹中直人の豪華版が実現。CAを含めて、空の仕事はいつでも命がけ感がにじみ出るひたすらにかっこいい展開に、もうそれだけいいんじゃないのという思いに。
 そして朝日が昇る。その朝焼けの美しさに、少々無理めのシチュエーションも気にならないほどすがすがしい気分に。しおらしい香田がさらに後味をよくする。この上なく熱い展開も、ラストのキスシーンの気恥ずかしさが冷却装置の役割を果たしてくれた?! ちょうどいい湯加減になったところでどういうわけか世界情勢までおりこみつつ、決め台詞は長い長い木村拓哉のアップとともに、やっぱりGOOD LUCKだったか。(結)


第9回(3/16放送)
☆☆★
 “1999年4年前沖縄・下地島”。ドラマは新海(木村拓哉)の回想シーンからスタートする。先週の結末をじらす方法として回想をもってきたのは、なるほどと納得のいく手立て。太陽にかざした新海の手は、光り輝く未来の前途洋々をつかみとろうとでもしているのか?! パイロットの道をあきらめざるを得ないことを聞かされた後の長時間リアクションは、まさに木村拓哉の独断場。
 “2週間後”。安住(安住アナ)が、大挙するCA陣を手玉に取りながら、演技の進歩を見せつける。そのこなれた感じはほとんど役者級。
 “3週間後”。新海に非情な宣告をする父良治(いかりや長介)とのぶつかり合いに緊張が走る。迫力ある男同士の対決シーンは、このドラマの売りの一つに。リハビリにいそしむ新海をサポートする医師役は石黒賢。やはり、あの事務長役(『真夜中の雨』)では満足できなかったとみえる?! 手術を決意する新海と医師が固く握手するその手もまた、太陽に照らされてる。果たして、新海にはパイロットとしての光り輝く未来がおとずれるのか?! 予告で回想シーンばっかり流してるドラマですから、これぐらいのことは言わないと盛り上がらないでしょ。
 “1ヵ月後”。ショウちゃんはダイスケにやられた?ダイスケって誰?らっきょうでこらしめる?ユンソナ、いっちゃってくれています。光の中の新海が神々しく見える。太陽にかざされた手は、新海のパイロットしての証明だったのか。歩美(柴咲コウ)としては、空飛ぶまでおあずけはかなり厳しい条件だと思うけど?! 松葉杖全力疾走は、確かにはやっ。
 “3ヵ月後”。手術は成功した?それとも……。山下達郎の“RIDE ON TIME”は新海が手術へ向かうシーンに使われ、いつものタイトルバックはなし。何か損した気分なんだけど。(結)


第8回(3/9放送)
☆☆☆
 それぞれがそれぞれに抱えていた過去のすべてが露呈した重要回。導入部のうまさは相変わらずで、修学旅行の生徒たちに機内アナウンスでウケをとるジェーン内藤(竹中直人)のコメントから、事故の記憶を背負って空を飛んでいる香田(堤真一)の真相がうっすらと見えてくるあたりなど、実ににうまい。
 ことあるごとに息子と反目しあっていた新海(木村拓哉)の父親(いかりや長介)が、歩実(柴咲コウ)にこっそりと息子自慢する場面もしんみりとしたいい味。そんなしみじみムードに孤軍奮闘、不条理なお笑いを振りまく謎の隣人役、ユンソナはますます飛ばしまくってるねぇ。
 歩実が飛行機に対するトラウマと正面から向かい合って、緊急脱出訓練もすがすがしくラブラブモードで締めくくるのかと思いきや、とんでもないことに。このあたりの主人公にあえて受難を与えるつらいエピソードの作り方は、脚本家井上由美子の真骨頂かな。
 予告篇が何と白黒!不吉な予感を漂わせつつの、“最終回直前スペシャル”とはいかなるスペシャル?調子が出てきているだけに、あまり変なことはやってほしくないんだけど。(結)


第7回(3/2放送)
☆☆☆
 男の引き際の美学を高らかに謳い上げて、これまでにないほどにドラマは高揚していく。井上由美子はやっぱり男のダンディズムを描くのがうまい。人間ドックの出足からドラマは猛発信し、即座に監査フライトの厳しい現実を突きつけて、ダブルでパイロットはつらいよの趣を醸す。たるみのない緊張感が気持ちいい。
 とりわけ、積乱雲に突っ込んでからの展開は見物。天候そのものの危機感と眼光鋭く後部座席に陣取る香田(堤真一)の存在とが、掛け算の見せ場を作る。グレイトキャプテン、山上(柴俊夫)に香田が非情な監査結果を突き付けた後の、新海と香田の機内での口論の場面がいい。久々にあれほどのアップ満載の切り返しを見たね。いい男同士だから成り立つ手法。やめる勇気を香田からもらった山上の決断が潔ぎよく、フライト後の尊敬と感嘆の嵐に、ドラマはまぶしく光輝く。
 ユンソナはショウちゃんのことなら、喉の状態までお見通しだ?! アリゾナの飛行機事故の話で次回に引っ張る語り口も絶妙。(結)


第6回(2/23放送)
☆☆★
 今回のフライトでは天候が悪化した場合、成田→羽田→関空→新千歳の優先順位で飛行機が着陸することが判明する。ドラマとしてはカッコいいけど、こんな危険な離陸が日常だとすると、ちょっといやだなぁ。
 患者の容体が急変したため、一刻も早く帰国しなきゃいけないという理由から、新海に全日空便のチケットをねじ込ませた挙句、成田に着陸できないとなると機内で悪口雑言を吐きまくる女医役で石田えりが登場。あの傍若無人ぶりは、あの西新宿病院のやみ医者に違いない(『愛なんていらねぇよ、夏』より)。急いでるわりには、着陸後に機内電話で新海と互いを賞賛しあったりして、イマイチその言動は意味不明。
 それにしても、冷静沈着な判断をくだす香田(堤真一)、かっこよすぎるよ。『武蔵 MUSASHI』で人買いに売られた人と同一人物とはとても思えない(あくまでも、堤真一扮する又八の話だけど)。
 ユンソナ扮する新海の隣人の不条理な襲来は、ついにゴミ袋強奪にまで及ぶ。『まんてん』同様に、なぜかドラマに絡んでこない役ばかりの要潤は、ここでも今一歩踏み込んでドラマに絡んでこない役柄。本来なら、彼あたりが佐々木小次郎だったりすると様になると思うんだけど。
 ケンカするほど仲良くなってのノリは、いつもの木村拓哉ドラマと同じだが、受けて立つ柴咲コウがなかなかにできるところを見せているので、うれしはずかし入り乱れつつ、“キャー”などと叫びながらも何とかドラマを直視していられる。(結)


第5回(2/16放送)
☆☆☆
 エンディングもすごいんだけど、オープニングもすごいんだよなぁ。その勢いに、しょっぱなから押されてしまう。ドラマに乗りこんだら最後、一気呵成に見せきるあたりはさすがとしか言いようがない。
 熊哲(熊川哲也)のエコノミー事件(?!)からはじまった、香田(堤真一)v.s.うらら(内山理名)の図が今話のメインストーリー。程なくして、うららが生まれてこのかた、ずっとアイドルだったことが判明する。通りでこの女、身の程知らずなわけだ。ちなみに堤真一と内山理名、『武蔵 MUSASHI』ではお互いを励ましあう仲をやってます。役者って、偉大ですね。
 さらには、香田v.s.緒川(柴咲コウ)の無愛想合戦も勃発(こっちはむしろいい雰囲気)。安住アナって、回を追うごとにうまくなってない?出番はワンシーン未満だけに、一瞬にすべてを燃焼させなきゃいけないんだけど(それほどのもんじゃないか)。ユンソナ、効いてるよなぁ。その不条理が面白すぎる。
 新海(木村拓哉)は完全な調整役に回るも、ラストで緒川に遠回しな告白をするシーンなんかは、独壇場でしょう。恥ずかしいんだけど、カッコいい、という王道の典型がまぶしすぎる。(結)


第4回(2/9放送)
☆☆★
 ドラマでは、香田(堤真一)が特別便の副操縦士に新海(木村拓哉)を指名するも、『GOOD LUCK!!』のキャスティングでは、木村拓哉が共演者に堤真一を指名した模様。展開と関係ないところでもスターの風格を臭わせる木村さんだが、画面からもそのオーラは出てるね。
 それにしても、出足のテンポ感はいつもながらに素晴らしい。その後の展開への期待感はいきなり最高潮に達するのだが、そのフライト前こそが1話を通してのピーク、っていうのはどうなんだろう?あとはラストにいたるまで、緩やかにボルテージは下がっていく。
 さすがの富樫(黒木瞳)も寄る年波には勝てない?! 若いCAに混じってお酒や食事を運び続けるか、地上に下って教官になるかの選択を迫られる。ここでスタイリッシュに、ロッカーの鏡で富樫の若さの陰りを見せたつもりではあったが、やればやるほど黒木瞳の若さの秘訣ご紹介Vになってしまってた感もあり。
 富樫に現役続行を熱く談判する新海の成り行きは、あまりにも普通。ただ、木村拓哉と黒木瞳ご両人による、素の作り込みで勝負する似たタイプの演技合戦は、それはそれで熱い。安住アナの安住役もまた熱い!
 顔さえ判別しにくい負傷者役を西田尚美が熱演。このキャスティングは、やっぱり豪華って言っていうべきなのかな?(結)


第3回(2/2放送)
☆☆☆
 あの手この手のいろんな仕掛けで、新海(木村拓哉)と歩美(柴咲コウ)を二人っきりにしまくる強引さが、唐突感を最小限に抑えて、スムーズに転がってる。ほぼ全編を通して、この掛け合いにはキュキュっとなるね。遅刻魔ぶりも板についてきた新海の快走のおかげか(?!)、ドラマの瞬発力に定型のエピソードが随所に救われているのも事実。
 伏線も縦横無尽にはられてきた模様。歩美の両親の死。そして香田(堤真一)との関係性。すべてはつながっているということ?香織(市川実和子)と歩美、この姉妹の共通点は、エキセンテリックなところぐらい?! こんな姉妹いたら、かなり怖いでしょ。あくまでもいい意味で!
 飛行機恐怖症について、という地味な題材も、木村拓哉が駒になればその持久戦も派手に見えてしまうから不思議。

「空の男は馬鹿で熱くてガンコもん」by先輩パイロット(津嘉山正種)

の一言でドラマが引き締まり、これでもかというほどに、飛行機がANAのロゴを誇示しながら大空を飛んでいく。その宣伝効果たるや、絶大でしょうね。
 コックピットと大空とが、ビデオとフィルムでつながれる作りに、妙な郷愁を感じたりもして。ビデオとフィルムの映像が交互に出てくるドラマって、ビデオ移行期にはよくあったもんなぁ。スタジオはビデオ、ロケはフィルムみたいな。

「整備のって言わなくてもわかるよ」by新海

この辺の恋愛モードの駄目押しはうまいね。同じ太陽を見て云々は、さすがに木村拓哉がやってても恥ずかしかったけど。必殺豪奢タイトルバックへの入りが、今話もたまらなく気持ちいい!
 真逆のキャラを操りながら、堤真一はヒロインを差し置いて、『武蔵』&『GOOD LUCK!!』両作品で2番手!彼って、そういうタイプの大物になったんだなぁ。(結)


第2回(1/26放送)
☆☆★
 “あんなパイロットいないシリーズ”をやり始めるときりがないので、とりあえず今は様子見的にすべて黙認ということで。新海(木村拓哉)と歩実(柴咲コウ)の掛け合いは、反目すればするほどにいい感じになっていく定石が美しく決まってる。ここに、柴咲コウがスチュワーデス役ではなく、整備士役でなければならなかった捻りの意図がわかってくる。
 香田役の堤真一が、『武蔵』とは180度違う硬派なイメージを打ち出すも、見てるほうの切換時間は15分しかないんだよなぁ。それなりの覚悟っていうか、切り替えをやっておかないと、頭の中がこんがらがってしまうことに。確か近い昔にも、そんなことがあったような(『葵〜徳川三代〜』→『サラリーマン金太郎』の津川雅彦。これは役作りがまったく同じだったので、違和感はなかった?! 『北条時宗』→『愛がしたい×3』の渡部篤郎。この2作品では、むしろ作品の質のギャップにも苦しんだ?!)。(結)


第1回(1/19放送)
☆☆★
 素直に捻りなく熱いドラマが展開。もうちょっと裏切りがあっていい気もしたけど、つかみはOKというところか。感嘆したのは、王道路線のタイトルバック。凝りに凝った構成で、しかものどごしさわやかに見せきっている。(結)




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