レビュー：精霊流し

精霊流し

（NHK総合月～木曜23：00～23：15）

連続ドラマ
制作・著作/ＮＨＫ
共同制作/NHKエンタープライズ21、東北新社クリエイツ
制作統括/菅野高至、吉川幸司
プロデューサー/近藤晋
原作/さだまさし
脚本/市川森一
演出/中山秀一
音楽/服部隆之
主題歌/『精霊流し』さだまさし
出演/櫻井雅彦…坂口憲二、大石春人…中村俊介、岸田涼子…新山千春、木下徳恵…滝沢沙織、櫻井喜代子…宮崎美子、高木勇人…酒井敏也、本田竜介…上杉祥三、高木綾子…大島さと子、本田美香子…原久美子、常連客…田口主将、大石弘之…神保悟志、古田政美…有山尚宏、樫山満…岩崎大、菊池保…鈴木リョウジ、朝倉健一…飯田基祐、榎田公平…結城貴史、小張陽介…岩月耕太、櫻井エン…風見章子、三沢亮…河野洋一郎、雅彦（少年時代）…東海孝之助、大石春人（少年時代）…浅利陽介、岸田涼子（少女時代）…鈴木彩、木下徳恵（少女時代）…杉本友莉亜、山岸ケイ…松瀬樹里、鷲尾先生…すまけい、中岡潔…大鶴義丹、野川初雄…佐野史郎、櫻井雅人…根津甚八、林田（大石）節子…風吹ジュンほか

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最終週「誕生の時」（12/2～12/5放送）
☆☆☆
　1973年から1982年へと話が飛んでからは、これまでの好調をキープ出来ず。結局、取材形式で回想した効果はイマイチ発揮されずじまいだったし。2002年の老けメイクにはさらに幻滅（神保悟志のダミ声なぞ、悲惨の極みだもん）。
　ただ、節子伯母さん（風吹ジュン）の精霊流しのシーンがあまりに素晴らしかったため、点数は据え置きにしておく。徳恵ちゃん（滝沢沙織）が精霊舟を追いかけるシーンには込み上げてくるものが。市川先生はやっぱり、徳恵ちゃんを愛したね。この場面の余韻が絶品だっただけに、タイムカプセルから出てきた21世紀への手紙についてのありきたりなエピローグがくっついていたのが、いかにも残念。（結）

第3週「別れの時」（11/25～11/28放送）
☆☆☆
　それにしても、つらいことばかりがおこるドラマですね。さださんの青年時代って、こんなに波瀾万丈だったの？あの尋常ならざるしみじみとした歌声には、それなりの理由があったってことか?!

「あなたってもしかして、ミカエル？」by涼子（新山千春）

からはじまるヴァイオリンつながりラヴ、ってこれも実話？いかなる苛酷な顛末を信じようとも、この運命の悪戯だけはにわかに信じ難い。一回冷静にならねば。これって坂口憲二の話じゃなくて、さだまさしの話よ。その真相は最終週にある？
　春ちゃん（中村俊介）亡きあと、悪女・徳恵（滝沢沙織）はどうなってしまうんだろう。『イヴのすべて』のヨンミとの悪女合戦でも一歩も引いてないだけに、今一度がんばって欲しいところ?!（結）

第2週「出会いの時」（11/18～11/21放送）
☆☆★
　坂口憲二、中村俊介、滝沢沙織とは、何とまぁ美形ぞろいな青春模様だこと。毎夜23時、しみじみとした語り口に、ひたすらしみじみとなる。
　徳恵ちゃんの悪女ぶりは、杉本友莉亜から滝沢沙織へと、春人のしぇーは、浅利陽介から中村俊介へと引き継がれる。中村俊介は『ツーハンマン』が身体に染み付いたか、いまだに通販番組用の江戸っ子べらんめぇ口調が抜けず。ここっていうところで必ず徳恵ちゃんを登場させるあたり、市川先生は徳恵ちゃんというキャラを愛してるねぇ。
　暗黒舞踏見て泣くってのは、それ系の人に失礼でしょ。佐野史郎自体、アングラ出身だし。おかげでさらに笑えたんだけど。赤電話の郷愁に、薄らと見え隠れするキーワードで週末話が締めくくられる。

「徳恵はね。舞台を諦めて、ポルノ映画の女優になるんだ。俺と同じ、才能がないんだよ」by春人（中村俊介）

って何てツライことを。春人はかなり文才あるね。“諦めて”も漢字だったし。メモを川に落としてしまうラストがいい。（結）

第1週「旅立ちの時」（11/11～11/14放送）
☆☆★
　これって、さだまさし＝坂口憲二、ってこと？橋田壽賀子＝安田成美の悪夢を思い出すとともに、あの惨状が繰り返されないことを祈らずにはいられない（どちらかと言えば、従兄弟役の中村俊介の方がさださんぽいかな）。
　こういった詩情溢れるタッチのナイーヴ人生行路劇は、テレビドラマでは久しぶり?! いや、『北の国から』があったか。結局あれも、さだまさしと言えばさだまさしのドラマ。テレビドラマの詩情篇は、さだまさしの独占枠と化す？
　東海孝之介、浅利陽介、杉本友莉亜が集う子供時代がいい。田舎の神童が、天才ヴァイオリン少女に自信喪失するエピソードにしみじみとなる。流れるような長崎弁をあやつるのは、宮崎美子。舌ったらずの根津甚八が、今回も心配だ。（結）