レビュー：しあわせのシッポ

しあわせのシッポ

（TBS系木曜22：00～22：54）

製作/テレパック、ＴＢＳ
プロデューサー/矢口久雄
作/水橋文美江（11）
脚本/水橋文美江（1～12）、旺季志ずか（11）
脚本協力/旺季志ずか（8、12）
演出/佐々木章光（1、2、5、7、9、12）、藤尾隆（3、4、6、8、11）、大久保智己（10）
音楽/服部隆之
主題歌/『キヲク』Every Little Thing
出演/松井美桜…水野美紀、赤木陸…坂口憲二、茅野笙子…原沙知絵、浅川由香…国分佐智子、西寺誠司…小泉孝太郎、田中実、鈴木葉月、山田優、栗田梨子、あめくみちこ、松金よね子、神保悟志、上杉二美、加藤満、野村信次、石井愃一、寉岡瑞希、石井正則、宮崎あおい、茅野雛子…新山千春、竹屋喜好…佐野史郎、松井八朗…長塚京三ほか

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第12回（6/27放送）
☆☆★
　回想調の淡い筆致は極まれり。宮崎あおい扮する生徒を筆頭に、いろんなシッポが尻切れトンボの感も否めませんが、静かな締めくくりは、このドラマらしいまとまりあるものでした。
　美桜（水野美紀）と陸（坂口憲二）の公民館披露宴に、笙子（原沙知絵）が顔を出すあたりのメルヘンはかなり苦しい。とっても素敵な笙子（原沙知絵）のしみじみが、今話の白眉ではありましたが。（結）

第11回（6/20放送）
☆☆★
　ほんの先の未来を慈しむ作業がつらすぎて、ドラマは水族館に赤い風船と、メルヘンの世界へ向かう。ただ、いくらつら過ぎるからって、

「手術が終わったら、また会おう」by八朗（長塚京三）

ってのは、現実離れしすぎでしょう。モノローグの効果を考えてるのはわかるんだけど。最終回が心配だ。（結）

第10回（6/13放送）
☆☆☆
　すべてに過去形のナレーションが哀感を誘う。笙子（原沙知絵）に問い詰められた美桜（水野美紀）にズーム！八朗（長塚京三）と美桜（水野美紀）の言い争いは、これまでのためてきたものが一気に吐き出されたかのようで、真摯に心を打つ。そう言えば、久々に『アジアの純真』聴いたなぁ。（結）

第9回（6/6放送）
☆☆★
　娘に20年前に別れた父親を「お父さん」と呼ばせるために、ここまでの仕掛けがあったということか。さすがはしっとり系ドラマ。美桜v.s.笙子は譲り愛の精神に貫かれております。（結）

第8回（5/30放送）
☆☆★
　ドラマの組み立てとしては、メロン片手に美桜（水野美紀）が司法試験に失敗した陸（坂口憲二）を励ましにやってきたら、何も知らずに部屋を訪れた笙子（原沙知絵）＆雛子（新山千春）の美人姉妹と鉢合わせして、というエピソードが欲しかったんでしょうけど、とりあえず部屋に来る前には、電話ぐらいすんるじゃないの。
　別に、そのことを取り立ててどうこういってるわけじゃなくて、全般的にそういう細部が甘いということです。メロドラマとは、そういうものなんですけど、不自然が重なりすぎると、やはり興ざめになるので。
　しっとりドラマに同じ男を取り合う美桜v.s.笙子の構図は馴染めるか。（結）

第7回（5/23放送）
☆☆★
　実は…、という最終話までの成り行きが視界に遮るものなく見えた。そんな大いなるマイナスポイントもお構いなしに、今話もその限りなく誠実な語り口で押しまくる。
　東京逓信病院に慶応大学と、実在が出てくるのって、意外に珍しくないですか。坂口憲二はやはり i-modeを使っていた！「重い病気かも」なんて台詞は絶対にありえないけど。刻々と変わる笙子（原沙知絵）の表情が、とても素敵でした。（結）

第6回（5/16放送）
☆☆★
　しっとりだけでいいのに、どうしてこの手のドラマって、コメディを混入させてくるんでしょうね。その中途半端に居心地が悪さを感じるここ数回。（結）

第5回（5/9放送）
☆☆★
　しっとりがややマンネリ化する。定番を散りばめたお見合いのアラカルトに、石井正則がこれまたしっとりと登場。もちろん、その後の展開も定番を逸脱するはありません。
　田中実は、『春ランマン』でも同じようなポジションだったでしょ。こりゃ、役作り楽だわ。（結）

第4回（5/2放送）
☆☆★
　お互いがお互いに転機の回。笙子役を地味に好演する原沙知絵が目を引きます。登場シーンは少ないながらも、懸命な手話が心を打つ。（結）

第3回（4/25放送）
☆☆★
　美桜（水野美紀）と陸（坂口憲二）が都合よく出会ったり、変な偶然性の重なり具合がわずらわしくなったりもするけど、その醸成効果の魅力には逆らえません。美桜が階段で過去とすれ違うあたりの効果も、やりすぎることのない、そのナイーヴさがいい。（結）

第2回（4/18放送）
☆☆☆
　やはり、落ち着いたタッチがいい。ストーリーそのものよりも、全体の雰囲気に惹かれます。ただ、登場人物の設定は、やや定型すぎか。（結）

第1回（4/11放送）
☆☆☆
　せっかちなドラマが横行する中で、しっとりとした味わいに心惹かれるTBSの新枠ドラマ。主人公のモノローグで進行するやり方は、同脚本家による『太陽は沈まない』と同じ形態。ケーキ云々の話をはじめ、随所にメロウ過ぎる気もするけど、うるさいだけの新クールのドラマ群に囲まれて、地味にひらめく様は際立って美しい。
　しっとりとした水野美紀もまた、お久しぶり。ときはこういう役もやってください。彼女を筆頭に、長塚京三、坂口憲二、原沙知絵、国分佐智子、更には今回は久々に良い人役の佐野史郎まで、ことごとくしっとりさん。演出のためがいい。『父帰る』のバリエーションを、最後まで見届けたくなる。（結）