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夢のカリフォルニア (TBS系金曜22:00〜22:54)
製作著作/TBS 制作/TBS ENTERTAINMENT
プロデューサー/瀬戸口克陽
脚本/岡田惠和
演出/土井裕泰(1、2、5、6)、平野俊一(3、4、8、11)、三城真一(7、9、10)
主題歌/『街』堂本剛
イメージ・テーマ/『夢のカリフォルニア』ママス&パパス
出演/山崎終…堂本剛、大場琴美…柴咲コウ、麻生恵子…国仲涼子、竹内春樹…海東健、遠山清美…北川弘美、中林倫太郎…田辺誠一、庄田…鈴木ヒロミツ、芳村…村松利史、門倉由美…未来貴子、主任…森山米次、宗石亨…野村宏伸、知念里奈、小木茂光、斉藤暁、でんでん、林和義、高橋慎太郎、中川愛海、横道智、大島蓉子、高橋睦美、猪腰真之介、中村侑希子、近江谷太朗、松下卓也、坂井ひろみ、上村愛香、岡田浩暉、宮迫博之、伊藤俊人、皆川猿時、樋口孝平…安居剣一郎、山崎始…宮藤官九郎、山崎響子…余貴美子、山崎次男…岸部一徳
ほか

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第11回(6/28放送)
☆☆☆
 “ミス海苔娘。”と“ピノリちゃん”の第3回が頂点で、シラスずくしモーニングセットの第5回が次によかったかな。そのシラス話を最終回のオチにも持ってきたことで、前半の意気込みとのギャップに悩まされていたここのところのグズグズな展開にも、ある程度の割り切りをつけられた感じ。シラスリベンジの失敗に、このドラマに通底していた小市民的な人生がにじむ。
 秀逸は思い出し笑いの法則。このあたりのおかしみは、いかにも岡田さんらしいんだけど。恵子(国仲涼子)は代ゼミで事務のお姉さん扱いか。宗石(野村宏伸)の小説のタイトル、読めねえよ。
 結局、意気込みほどには今作は成功していなかった印象が残る。やはり、『ふぞろい』は立派だったということか。(結)


第10回(6/21放送)
☆☆★
 海さらいをしながら、これまでのつらい思い出を振り返る3人。ただ、その後の自分探しの過程はあまりにもトントン拍子で、肩透かしを食わされた気分。21世紀の『ふぞろい』への道は、ここで頓挫してしまうのか。(結)


第9回(6/14放送)
☆☆★
 東京からの現実逃避、“夢のカリフォルニア”とは、ダイビングショップだった!もちろん、カリフォルニアといえば、ドゥービー・ブラザーズですかね。
 唐突に、長野県出身の未婚の母役で知念里奈登場。国仲涼子と沖縄コネクションも、彼女は『ちゅらさん』には出てなかったよね。その明るく振舞う一児の母は、終(堂本剛)、琴美(柴咲コウ)、恵子(国仲涼子)よりさらにつらい人でした。

「この先、どうなるのかなぁ」by恵子

“夢のカリフォルニア”でも、そのつら過ぎる質問はとどまることを知らず。帰る or 帰らないを最後に終に託してまた来週、ってその括りはズル過ぎるよ、★減点。(結)


第8回(5/31放送)
☆☆★
 恵子(国仲涼子)の自殺未遂、という定番の成り行きには正直ガッカリ。いや、『ふぞろい』にも似たようなエピソードがあったような。いや、『セント・エルモス・ファイア』(懐かしい!!)だったかな?!
 ラビット運輸の新人、父・次男(岸辺一徳)には笑ったけど、歓迎食事会は『ちゅらさん』の後半並にワルノリし過ぎ。(結)


第7回(5/24放送)
☆☆☆
 春樹(海東健)のリストラ的大荒れは、予想以上に予想通りで肩透かしぎみ。お父さん(岸部一徳)の再就職話はベタなりに笑えるけど。
 いかなるサイドストーリーよりも、終(堂本剛)、琴美(柴咲コウ)、恵子(国仲涼子)のトゥリエンテの絡みがやはり強力。ただ恵子が離婚届をちゃんと確認してなかったっていうのは、かなり無理がないかい。(結)


第6回(5/17放送)
☆☆★
 なけなしの10円まで失ってしまう琴美(柴咲コウ)のエピソードが今回の白眉。腹へって都内を彷徨する猫背姿に、C級モデルの泣き笑いがにじむ。琴美の転落ぶりを賞女優、柴咲コウがオーバーアクト気味に妙演。

「ピロシキ〜」

の小声絶叫はとりわけ秀逸。最後のギャラで自転車を買うという挿話も、おかしみがあっていい感じ。逆に終の家族のエピソードは、ややベタに過ぎて興ざめする。やはり、青春の傷跡三人衆の痛々しい姿がもっと見たいです。
 それにしても、金10ってロシア料理店がよくでてきますね(『昔の男』しかり)。(結)


第5回(5/10放送)
☆☆☆
 その現実はあまりにもミクロ的に苛酷で、事態の卑小さがよりやるせない気持ちにさせる。

「二人に会いたかった」by終(堂本剛)

と泣きじゃくりながら、琴美(柴咲コウ)、恵子(国仲涼子)と手を強く握りしめあうシーンは、青春の理想郷ね。たとえ、いかなる苛酷な現実に直面しようとも、こんな両手に花状態なら余裕で乗り切れそうなものでしょ。
 そんなミクロな青春の傷跡を癒す彷徨の行き着く先が、限定30食のシラスずくしモーニングセットとは、実にミクロ的な味のある落とし方。しかも、寝過ごし食いそこねというトホホ感がいい。
 終が運転する車のバックシートでもたれあって寝ている琴美と恵子が瞬間、一卵性双生児のように見えてドキっ。柴咲コウと国仲涼子は、ディテールは意外に似てるところもあるけど、タイプ的にはやっぱり180度逆の感じ。そんな琴美と恵子の立ち位置が相似関係であることをビジュアルで明解に切り取ってみせた秀逸のシーンに唸る。そこまで考慮した演出だったかどうかは、定かではありませんが。
 糸のほつれを2つ。ロシア料理店で宗石(野村宏伸)と庄田(鈴木ヒロミツ)、芳村(村松利史)が取っ組み合いになるシーンは、ちょっとやりすぎでは。清美(北川弘美)が中林(田辺誠一)に抱きしめられた話を終にするエピソードは、ありえないでしょう。その前提がないと、中林の話が先に進まないのかもしれないけど。このあたりの脇の甘さもまた、岡田惠和節ならではかな。(結)


第4回(5/3放送)
☆☆☆
 始(宮藤官九郎)がりんごを片手に思いを巡らす。

「何か俺、そんなドラマ見たな?」
「何だったかなぁ、あのドラマ?」
「時任三郎だ!」

竹内春樹(海東健)はさしずめ、国広富之が演じた修一といったところか。オマージュ(もしくはパクリ)を匂わせて、『ふぞろい』を思いっきり裏返しにする意地悪さ、苦々しさが心に痛い。(結)


第3回(4/26放送)
☆☆☆★
 岡田惠和さんは今ピークにあるのかもしれませんね。「海苔フェスティバル」の、“ミス海苔娘。”と“ピノリちゃん”が入れ替わるエピソードは秀逸中の秀逸。泣き笑いと感嘆を同時に味わう。
 久々に走って吐きそうになる終(堂本剛)から、土9枠より一日早く初めてのボーリングに興じて熱狂する琴美(柴咲コウ)、うわずった「おはよう」で空元気な宗石(野村宏伸)、そして“ミス海苔娘。”から“ピノリちゃん”に降格したことで、逆に学級委員長ぶりを復活させる恵子(国仲涼子)にいたるまで、どのキャラクターにも共感といとおしさがにじむ。(結)


第2回(4/19放送)
☆☆☆
 第1話の問いかけに答えようともがいて、結局答えられなかったという第2話。その閉塞ぶりがあまりにも切ない。その深刻を単に暗いと見るか、心に痛いととるかで、評価は分かれるでしょう。
 家族の励ましシリーズはいかにもな岡田マジックだけど、やややりすぎか。「終君だっけ?」の3連発には、苦笑しつつキリキリとする。大学の学食が戸惑うという真理にも、うなずくことしきり。泣きながら道を歩いている人には、いまだかつて遭遇したことがないのは、いかにもそれがドラマ的なフォームであるからだった、という至極当然のことを今さらながらに認識する。麻生恵子役の国仲涼子は、ホントこの脚本家から愛されてますね。(結)


第1回(4/12放送)
☆☆☆
 “同窓会はつらいよ”的、若くしてノスタルジーにひたる内容かと思いきや、電光石火の急展開に衝撃を受ける。岡田さん的な性善説が、

「ずっとそんな風には生きてられないよ」

とつぶやく青春群像とどう絡んでいくのか。今様な『ふぞろい』がどこまできれい事から逸脱できるのか。とりあえずは期待しましょう。
 そういえば、最近の岡田惠和って、山田太一に似てきたと思いませんか。出てくるキャラクターの特異なうらぶれぶりに重なるものが見え隠れする。(結)




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