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ロング・ラブレター〜漂流教室 (フジテレビ系水曜21:00〜21:54)
制作著作/フジテレビ
プロデュース/山口雅俊
原作/『漂流教室』楳図かずお
脚本/大森美香
演出/水田成英(1、2、5、8、11)、武内英樹(3、6)、木村達昭(4、7、10)、川村泰祐(9)
演出協力/水田成英(10)
主題歌/『ラブランド、アイランド』山下達郎
出演/三崎結花…常盤貴子、浅海暁生…窪塚洋介、大友唯…山下智久、高松翔…山田孝之、一ノ瀬かおる…水川あさみ、山田信一…内田朝陽、川田咲子…大村彩子、池垣文也…松本伸夫、安堂千里…今江千佳、畑圭司…鈴木圭、金沢真紀…石井里弥、田代仁…内野謙太、荏田雄一…大沢朋司、柳瀬俊介…鳥居紀彦、我猛翠…鈴木えみ、辰巳寛人…福士誠治、大久保晃弘…田中伸彦、愛川京子…小森早也香、深沢サエ…長屋光紗、寒川則香…田口寛子、舞岡あずさ…香里奈、伊勢原正志…中重諭、二宮恵太…一条俊、西あゆみ…赤咲伶奈、高木美雪…小泉絵美子、東トメ子…高木麻依子、川和ハツ子…安藤聖、畑ゆり子…桜庭奈保、関谷則子…中島宏海、若原述之…中丸新将、鶴見良夫…伊藤正之、追浜雄三…小原雅人、平沼剛…増田由紀夫、岡津三蔵…モロ師岡、新羽瑞穂…藤井佳奈、中沢純子…石橋けい、薬をくれた侵入者…鄭龍進、浅見を傷つけた侵入者…天野裕朗、我猛と話した侵入者…虎牙光揮、ノブ…山西惇、レイコ…須藤寛子、落ちついた研究員…大鷹明良、若い研究員…大谷俊平、柳瀬菊枝(柳瀬の母)…坂井麻吏、一ノ瀬真智子(かおるの母)…高畑淳子、大友美恵子(唯の母)…宮田早苗、山田清美(信一の母)…伴美奈子、大楠記者…三井善忠、記者…積圭祐、レポーター…山田玲奈、福井謙二、不法投棄の男たち…濱近高徳・岡部務、大月雪乃…倉沢桃子、長谷部杏…八巻瑞穂、井上夏美…岡田妙子、親方…草野裕、寿司屋の客…斎藤弘勝・大塚洋、校長…山崎満、川崎智子…桐子、警官…岩田丸、「ワンダー・ヘブン」の女…瑞葵、県の職員…後藤康夫・七瀬葵、藤沢隆太…妻夫木聡、三崎重雄…大杉漣
ほか

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第11回(3/20放送)
☆☆
 原作から遠く離れて、あとはひたすら意味ありげ。放送時間を30分以上残して、マッシュ(常盤貴子)逝く。いや、逝ききれない。そして、いやな予感……。からくも『スライディング・ドアー(ズ)』(複数じゃないと意味がないのに、日本語タイトル単数形)の拝借でゴールテープをきる。
 脚本家の大物化か、それとも追い詰められた末の苦渋の選択か。いや、その突然変異的混合物か?! オープニングの地割れ飛びも、前半戦だったらそれなりにハラハラしたかも。それにしても、浅海先生のズラは高級感ありましたねぇ。飛んでも跳ねても、びくともせず。

付録:関谷先生(中島宏海)全台詞

 関谷の職員室からの脱出劇(完全省略)。

○菜園

 灯油を撒き散らす関谷

「全部燃えろ!全部、燃えろ!」

大友の問いかけに、

「全部燃やすのよ。私のものにならないなら、みんな死ぬがいいわ。食べ物も、あんたも」

大友の張り手、サウスポーが関谷の頬にヒット。

「えへっ(笑い声ではなく、殴られ声)」

大友に悲しい女呼ばわりされて、力む関谷。
「ウフフフフ(笑い声ではなく、震えながらの力み声)、大友君」

ハイヒールブーツキックで大友を一撃に沈め、追い討ちをかけるように高笑いしながら灯油をかけまくる関谷。

「ハハハハ……(今度は笑い声)」
 
包囲されるも、マッチを取り出し、

「みんな、死ぬがいいわ。みんな死んで、みんな燃えればいいのよ」

火山性地震のため、バランスを崩して前のめりになる関谷。

「(えびぞりながら)ウッ」

W杯イヤーならではの2002年版神の手(ハツ子のネイルアートハンド)に首を締められる関谷。抵抗するもフェンスに追い詰められ、力なく崩れ落ちる。ハツ子はその瞬間、未来をフラッシュバック。漂流した人々の生存を確信する。紛れもなく、関谷の功績。

○CMあけ

 関谷は生きていた!生徒たちの許しをうけ、涙する関谷。その涙は眉毛をつたう。関谷の顔とオーバーラップする焼けるような太陽。今話、最大の見せ場!

 エンド。(結)


第10回(3/13放送)
☆☆★
 天国の発見に、チラリズムの極点で切り抜ける未来生物の登場とそれに伴う殉職者2名。そして緑色のスモッグ来襲、と底をついた第8、9回からは一歩も二歩も前進するも、ググッと大きくもり返すまでには至らず。
 果たして何が悪いのか?時折、ぽっかりと空いてしまう嫌な間に、どうにも調子を狂わされる(『救命病棟』風とでもいいましょうか)。全般的な箍の緩みは、もはや如何ともし難いか。追い討ちをかける、最後の晩餐のままごと化。一体、切実はどこへ行った?環境問題は通低するテーマとしてはずせないとしても、乾杯の音頭まで飛び出す道徳ドラマ超級ぶりは、『今日の日はさようなら』並にこそばゆくなかったですか。
 天国への行進が、苛酷にも美しい名場面。前日放送の『初体験』で登場した日本人であることのリトマス試験紙、美しき富士山(『初体験』第10回を参照)は、この朽ち果てた富士山の伏線だった?! 現在だろうが未来だろうが、やっぱり日本人は富士山から逃れらないんですね。
 お互いにお互いを密かに触りあう高松(山田孝之)と大友(山下智久)が、どうしてもホモチックに映るんだけど。そんな大友はいつから西さん(赤咲伶奈)の専属マネージャーに?! 朗々と語られる水溜り論もそれっぽく、未来生物が取り付いた西さんはむしろ、『トリック2』に行ったほうが雰囲気出るかも(逆に、山田奈緒子(仲間由紀恵)をこちらに連れてくるという手もありますが)。
 この厚みだったら、『プラトニックセックス』『愛と青春の宝塚』で味をしめてCXドラマの新基軸になりつつある5時間ドラマの尺の方が、この作品には相応しかったのでは。要するに、テレビ的な範疇の中で表現できる範囲でのエピソードが大いに不足してるわけですよね。キャスト的には、漂流する側が良かったのか、しない側が良かったのか、ここまでくると明々白々。水川あさみ、内田朝陽はすっかり出番なし状態に。
 見ながらに何かが足りないと思ったら、関谷先生の“声に出して読みたくなる”台詞(もしくは、箍の緩みへの喝)が、今回もまたなかったんだ。付録が寒し。

付録:関谷先生(中島宏海)全台詞

○職員室?
 後ろ手に拘束された関谷(ここにいらっしゃったんですか!)。地震で 床に落ちたはさみをブーツ足を伸ばして必死に引き寄せようとするも、うまくいかない。唸る吐息も 言葉にならず。(結)


第9回(3/6放送)
☆★
 とりあえず、漂流より14日が経過したことが判明後、これまでの復習に5分。栓抜きの復習に2分。そのあとマッシュ(常盤貴子)は10分間の睡眠タイム。大友(山下智久)の平和と生きる実感についての考察に2分30秒。

「前髪切った?」by高松(山田孝之)
「自分で切った。ちょっとだけね」by大友

というホモチックトークは今回の白眉か?! 三崎先生の“体の不思議講座(小学生レヴェル)”後、浅海先生(窪塚洋介)の“約束になりたい”爆弾宣言が飛び出す。

「何言ってんの、俺は」by浅海先生

とそのデタラメに自覚はある模様。マッシュが卒業アルバムで思いにふけること、ジャスト1分。藤沢(妻夫木聡)の三崎先生(=マッシュ)に惚れてる宣言に1分30秒で、ここに時空を越えたマッシュ争奪戦が勃発。

「僕は帰りたくないのかもしれない」by田代(内野謙太)

との重量級な独白が引き出されるのに30秒。舞岡あずさ(香里奈)への飴玉プレゼントコーナーに2分。岡津(モロ師岡)が夜空を見上げた後、未来人語講座のスキット、2本分をリプレイ。西あゆみ(赤咲伶奈)の夢の話は本当か、という問いに2分。美雪(小泉絵美子)、トメ子(高木麻依子)の防衛庁コンビと漂流を免れたハツ子(安藤聖)が、ネイルアートで時空を越えて絡むこと2分。浅海先生が唐突に敬称略して「三崎」呼ばわりした直後、マッシュの黄色いコートが再びきれいになっていることに気がつく。眩しすぎる朝焼けに輝くマッシュの黄色いコート。このラストシーンまでに、ドラマよ、動け!、と念ずることn回(nは自然数のn)。総集編なら、ついこの間の週末に見せられたばっかりだったのに。

「でも大丈夫です。つまらない回の次は必ず面白くなるという、このドラマのこれまでの傾向と対策からいくと、第9回は面白くなるはず」

という先週の予測が大はずれしたことを、深くお詫び申し上げます。

付録:関谷先生(中島宏海)全台詞

 2度目の未登場。(結)


第8回(2/27放送)
☆☆
 はじめに第7話分の訂正。
『めざましテレビ』の“今日のうらないCount Down”では、なぜか静止画に甘んじている鈴木えみ演じる天才我猛翠によると、「あれはハリケーンではなくてトルネード(英語風!)、いわゆる陸上竜巻」だそうです。原因は寒冷前線の通過によるものとのこと。雨降りの伏線がここに。
 それにしても遅い。遅すぎる。テンポがでない。一話引っ張るためのエピソードが足りてないわけじゃない。抗破傷風ヒト免疫グロブリン、池垣農園、地下水汚染、そして雨乞い話と分量的には事欠かないのに、どうにもこうにもドラマが一時間を持ち堪えられない。
 脚本を全面擁護するわけじゃないんだけど、これは演出の歯切れの問題でしょう。全体に間延び気味で、リズム感が完全に喪失してしまっている。登場人物の出し入れのルーズな扱いにも、段々耐えらなくなってきた。結局、そこが不明瞭なために、どこか引っかかったままに見進めなくてはならなくなってしまう。
 CMあけに手術成功、なんて民放ドラマの特権的邪道をもっとフルに使えばいいと思うんだけど、いったんは時間が縮んでも、すぐさま元のグデングデンに伸びきっちゃって。浅海先生(窪塚洋介)の泣きの芝居なんかも、いつ終わるのかと心配になった。

「想像しよう」by再び浅海先生

からはさらに深刻で、「もし戻れたら」トークからいつ本筋に戻るのかと、マッタリムードに時計ばかりが気にかかる。
 池垣農園のバックは唐突に書割の世界。これがこけるんですよ。大林版の映画じゃないんだから。爆薬の導火線もなぜあんなに長いの?そんなに遅くしたいのか。その他に意図が見出せない。
 そんな遅すぎるドラマに強力な渇を常に入れ続けてきた最強“クラック”、関谷先生の登場も、今回はチト遅すぎた。

付録:関谷先生(中島宏海)全台詞

○学校正門前
 21時32分にようやく登場。最初の引きのカットでは影も形もなかったのに、次のカットでは西あゆみ(赤咲伶奈)に銃を突きつけての仁王立ち。
「やっぱ、水があったのね」

 不敵に笑う関谷。
「みんなで掘るのよ。もっともっと深く」

 CMあけも、仁王立ち。

 浅海先生から水の危険性を説かれて、
「(それ以上ないほどの早口で)そんなのわかんないわよ」

 マッシュをにらみつけ、
「(尋常ならざる発声法で)飲みなさい。お花屋さん」
 この素晴らしい台詞を聞けただけでも、今話を見る価値あり。

「早くしなさいよ」
 銃の引金に手がかかる。

 大友が水をあおったあと、一瞬存在が消える関谷。常に神出鬼没。

○中庭
 苦しむ大友を取り囲む人垣を払いのけて、大友に駆け寄る関谷。
「どいて!どいて!大友君!」
 瞬時に大友は銃を奪い、関谷に突きつける。目を見開き、小刻みに震える関谷。

 大友、高松の殴り合いに、あまりにも不自然にしれっとフレームアウト。
 周りの誰もその不自然を指摘するものなし。一応、傍らでその様を傍観していた模様。

○廊下
 後ろづさりして建物に入るも、すぐさま高木美雪(小泉絵美子)と東トメ子(高木麻依子)の防衛庁コンビに捕まってしまう関谷。
「(ほぼ悲鳴)やだぁ。やだ〜っ。あっ。」

 閑話休題。不法投棄の弊害で地下水ドロドロってことは、上空の大気汚染も心配したほうがいいのでは。雨水は大丈夫か?! デウス・エクス・マキナ的雨乞いも、

「みんなで歌おう」by浅海先生

で唐突に呪術性が低そうなミュージカル化する『今日の日はさようなら』とは、ふざけてるのか、マジメなのか、見分けがつかず。
 でも大丈夫です。つまらない回の次は必ず面白くなるという、このドラマのこれまでの傾向と対策からいくと、第9回は面白くなるはず。あくまで希望的観測ですが。(結)


第7回(2/20放送)
☆☆☆
 荒野を走る車の俯瞰はやはり壮観。県立病院の前にたたずむ三崎先生改めマッシュ(常盤貴子)の目に現在&未来(過去&現在?)がシンクロする様には、待ってましたとばかりにハッとさせられる。
 生死をさ迷う浅海先生(窪塚洋介)をほったらかしにできない思惑はわかるけど、一般的CXドラマを再現する暇があったら、ガンガン先に進んで頂戴。第7回ラテ的サブタイトル「もっと普通の恋愛ドラマ」の公約は守ったとしても、こういう水増しはいただけません。ただでさえ遅いのに、ここで遊んでテンポを落とされると、これまで以上に拍子抜けするもん。『初体験』の妄想連打とは、わけの質が違う。そんな暇があるんなら、漂流者の整理整頓のために、“神奈川県立本倉高等学校 消失事件 行方不明者リスト 厳秘”でもじっくり見せてもらった方がいい。
 全員が次第に薄汚れてきたリアリティに、一人水さす抵抗勢力、マッシュの黄色いコートも蟻地獄にはまって、最小限に汚れる。未来人類語(?)は、「北京語6:日本語3:ハングル語1の割合」のはずでは?これ8割、日本語でしょ。

「ナ・カ・マ?意味がわからない」

って、それこそ日本語じゃん! 意味ありげのキーワード合戦は、なかなかに暗示的。
 今、そこに迫りくるツイスター!、のはずなのに、畑にのんびり囲いを作って。時間軸の緩みに修正を要望。毎度おなじみとなっておりますラストの寸止めぶりは、ほとんど連続活劇ノリでケレン味たっぷり。どうしても、来週が見たくなるという寸法か。

付録:関谷先生(中島宏海)全台詞

○教室1
 赤のジャージも持っていた関谷。食べ物をわけてほしいという呼びかけに、
「何ですって」
 屈伸運動でフレームイン。

 新たなる生徒の提案に、
「全員?」

「(心の声)みんなでわける?冗談じゃないわよ!」

○学校西門
 リブをかじりながらそぞろ歩く関谷。
「あんな奴らと共倒れなんて、まっぴらゴメンよ」
 落ちている紙袋に目を見開き、リブを投げ捨てて駆け寄る関谷。
 袋の中身を確認し、固まる。

「(東トメ子?のチーズバーガー談義も耳に入らず)大友君、私まだやれるわ」

 袋に手を入れ、殺人鬼の目に。
「(凄まじい奇声)キャ〜(もしくは)ギャ〜」

○教室2
 川田咲子暫定政権演説を廊下で聞くコスチューム・チェンジした関谷。
「(少し寂しそうに)大人ならいるじゃない」

 教室の扉を開け、見えを切る関谷。
「大人ならいるって言ってるじゃないの」(正論!!!)

 おもむろに銃を構える関谷。
「子供ならおとなしく、大人の言うこと聞いてればいいのよ」

 なぜ学校に拳銃があるのかを問われて、
「そんなこと、私の知ったことじゃないわよ」(正論!!!)
 轟く銃声。

○教室3
 関谷がハイピッチでクラッカーを口に運んでいる。その隙をみて、教室から脱走する野戦病院の看護婦?その事態に遅まき気が付く関谷。
「逃げるな、コラ!」

 関谷はあまりにも躍動的に後を追うも、生徒たちに取り押さえられえる。
「放せ〜」
 天井に発砲して全員をふりきり、関谷は野戦病院の看護婦?を追いかける。

○廊下
 髪をたなびかせての全力疾走。
「逃がすもんか!」

 峰不二子ばりに発砲。
「ガキは大人の奴隷なんだよ!」

「待ちなさい」

○職員室(浅海先生の夢の中)
 自己紹介する浅海先生に拍手する平常時の関谷。

○学校正門外
「さぁ。みんなで井戸を掘るのよ。深く深く掘れば、水が湧いて出てくるはず。(陶酔的に笑うも、ノーリアクションに)何やってるの。早く掘りなさいよ」

「ここが未来?(銃を振り回しながら)あんたたちったら、まだそんなこと言ってるの。戦争が起こったんだよ。アメリカ軍が助けにくるまで、私は一人になったって生き延びるわ。さぁ、堀なさいよ!」

 地面を掘り始める生徒たちを見渡し、高笑いする関谷。

 強制労働に乱入する高松翔に銃を向け。
「あんたも逃がさないわよ」

 竜巻の話を信じず、
「そんな嘘がごまかされると思ってるの」
(そんな嘘“に”が“が”になるほどの勢い!)

 高松翔の逆切れに言葉にならない関谷。
「(何ですっての口の動きで)○○○って」

 強風にひるむ関谷。
「(艶っぽく)あっ……」

 逃げ出す生徒に向って。
「待ちなさい!」
 空に向けて威嚇射撃。不敵かつ確信に満ち溢れた高笑い。生徒全員はバッグを投げ捨て逃げ出す。瞬間、寂しげな表情を見せる関谷。

○学校校庭
 笑みを浮かべながら、蹲踞(そんきょ)スタイルでバッグを拾う関谷を、後方からの強風が襲う。転がる関谷。(結)


第6回(2/13放送)
☆☆☆
 天才我猛翠(鈴木えみ)の未来人類語(?)詳細講座。

「北京語6:日本語3:ハングル語1の割合で言語を作成してみたのです」

さすがは天才!されど日本語はかなわず。バカっぽいんだけど天才。天才なんだけどバカっぽい、という堂々巡り。
 慰霊碑を見たことを秘密にするカバチタレ姉弟(常盤貴子&山下智久)。浅海先生(窪塚洋介)の薬を求め、4人を乗せた車が荒野を走る。ダブルでぐっとくるとこ。見続ける価値あり。

付録:関谷先生(中島宏海)全台詞

 掃除用品入れが倒れる。
「(この世の声とは思えないような怒号の如く)
 開けて〜、開けて〜、開けて〜、開けて〜、開けて〜(5回)」

 南京錠を壊し、掃除用品入れから這い出すほこりまみれの関谷先生。
「(バスローブを着たまま)死ぬかと思った!」

 三崎先生(常盤貴子)を前にして
「ホントに悪かったなって思ってるのよ。これからは、生徒のために頑張んばらなくちゃって思ってるの。浅海先生も、体の具合がお悪いんでしょ。ねぇ!私もみんなと一緒に頑張ります。」

 三崎先生の許しを得て
「えっ、ホント?! ラッキー! 」

「農作業?何か泥臭くて、かえって何か、カッコいいって感じ!」
 わけもなく、笑いながらのハイテンション。

 生徒二人に支えられ、廊下をよろけながら歩く関谷先生。
「ねぇ。反省したんだからさ。パン頂戴よ。」

 生徒から夕飯まで食べられないと聞いて
「うそ〜」

 久々に緊張感を漂わせて
「誰、この人?」
 なぜか、若原先生の独白シーンには登場せず。何処へ?(結)


第5回(2/6放送)
☆☆☆
 冒険近未来サバイバル・ホラーに、大胆かつ絶妙に挿入される恋愛話と人生訓。ゴールデン枠をふまえた、その巧妙な脚本に舌を巻く。

付録:関谷先生(中島宏海)全台詞

 今回は初めて登場せず。まさか、掃除用品入れに閉じ込められっぱなし?!再びの暴走なるか!

 今回は代わりに、我猛翠(鈴木えみ)があまりにも短期間に完全マスターした未来人類語(?)に反応した未来人類語(?)を収録。

「カーゴカラ」
「クーチェーカラ」
「スーニーメイ ハイチソウ、コウナッタ」

 イントネーションはハングルも、語尾は日本語っぽい。やっぱり2002年のドラマですから、『フレンズ』(深田恭子主演)には負けてられません。結びとしては、あまりにも理想的です。凄い男を物凄い女に書き換えるのがお得意な大森さん。今回のターゲットは我猛翠(鈴木えみ)と関谷先生(中島宏海)の模様。(結)


第4回(1/30放送)
☆☆☆
 寄せては返す波の如く、再びドラマは盛り返す。推進力は落ちたけど、台詞で勝負する限りにおいては、このドラマは大丈夫。そう思わせるダイアローグの安定感。
 三崎先生(常盤貴子)、あれだけ格闘したわりには黄色いコートは黄色いままですね。“ファーザー”発言も、浅海先生弁なら致し方なしか。三崎がマッシュなら、浅海はズラ?! まだ生えてこないみたい。

付録:関谷先生(中島宏海)全台詞

○廊下
 あずさ(香里奈)を羽交絞めにして
「お黙り。いつも馬鹿にしくさって」

「近づかないで。これ以上近づいたら、こぼしちゃうわよ」
 水をこぼす関谷。

「私のパン、盗もうとしたのよ。泥棒猫が!」

「生き延びるの。食べて生き延びるのよ。そしたらきっと自衛隊か米軍が助けに来るでしょ」

「その手には乗らないわよ。私と大友君、二人っきりで生き残るのよね」

「うるさいわね。罪なのよ。若くて美しいだけで、充分罪なのよ」

「あなたはいいわ。若くないから」
 高笑いする関谷(常盤&中島、夢か幻的競演。今話、一番の名場面!)。

○プール
 あまりにも唐突に、背泳ぎでプールを横断する関谷。
「(バスタオルで身体を拭きながら)大友君。あなたが悪いの。私は今まで、とっても苦労したわ。(吐き捨てるように石川啄木)働けど働けど、なお我暮らし楽にならざり。そう、金に散々苦しめられたのよ。」

「でもこの世界は違うわ。金なんか関係ないの。食料がすべて。食べ物がすべてなのよ。食料を征する者が、世界を征する」

「女はいらない!」
 女をプールに突き落とす関谷。

「た、たかぎさん」
 一気にトーンダウンする関谷。

「わたしはあの……」
 頭突きを顔面にくらい、崩れ落ちる関谷。

「(掃除用品入れに閉じ込められて)出して!」
 扉をドンドン叩くも、浅海先生に無視される。

 来週も生き延びて!(結)


第3回(1/23放送)
☆☆
 ドラマは前兆こそ面白いと改めて確信。先週褒めすぎたと、しばし反省する。懸案のロケ地について、貴重な情報をいただきました。あの荒涼とした少なくとも2020年以降は、伊豆大島・三原山の裏砂漠だそうです。なるほどなっとく。確かにあんな日本は、あそこしかないでしょうね。
 残念ながら、そのリアルに箱庭なセットが、軽量なCGが追いつかない。よって随所にコケる。もちろん、テレビドラマの良し悪しはそんなところにはないはず。朝ドラの伝統“ぺんぺん草”なんて許されまじだけど、面白いときには“ぺんぺん草”に関係なく、やっぱり面白いもん(今やってるのは、“ぺんぺん草”はないけれど…)。
 脚本にまったく問題ないとは言い切れないけど、演出の重罪に比べれば、まだ情状酌量の余地ありか。逃げ惑う、格闘する、すべての時間が間延びする。仮に一週ごとに面白くなるとすれば、来週は期待できるんだけど。
 あの場で自転車発電とは、『モスキート・コースト』級。浅海先生(窪塚洋介)の発明品、発煙筒が早速威力を発揮する。こういうサバイバル物では欠かせないアクセントだけに、今後もいろいろ出てくるんでしょうね。前から行ってみかたった場所が山梨とは、ドラマのスケールと反比例するスケールの小ささ。何せ現在は過去なので、何でもありの設定をフルに活かしていただきたい。ここからどこまでテレビドラマを逸脱できるかにかかってくるでしょう。

付録:関谷先生(中島宏海)全台詞

「ランランランランランランランラン、ランランランランランランラン……」
ショッピングカートを押しながら、暗闇の廊下を疾走する関谷。

残り2つ分を逃がして、早くも全台詞収録に失敗!(結)


第2回(1/16放送)
☆☆☆
 荒涼とした砂漠にカーテンを燃やしたのろしが一本。設定が出揃って、いよいよ本筋へというその直前の高まりがたまらない。今話がピークじゃないことを祈る。2020年命名で、新・新幹線が“いのり”ってことはないでしょうけど。示唆的なプロローグがドラマに別の含みを与えています。
 「どこにいるのよ〜」(by三崎結花)という絶叫の説得力。これまで苦境女優の名をほしいままにしてきた常盤貴子といえども、ここまでの苦境ははじめてか。それにしても、これってどこでロケしたんでしょうね。千葉?鳥取砂丘?CG?
 「今度あんな顔して泣いてたら、押し倒してキスしちゃうぞ」という決め台詞の浅海先生(窪塚洋介)のズラが強風で飛ばないか、ハラハラする。確かにああいう極限状態だと、種保存の意識は本能的に高まるでしょうけど。

付録:関谷先生(中島宏海)全台詞

「(心をこめず)つながらない。切れてる。ホントよ。ツーともプーとも言わないの!」

「(狂気的な笑いをたたえて)大友君。やったわ。やったのよ。開放されたのよ。これで大友君以外、誰も私を追うことはできないわ。自由よ。自由になったのよ。やったー」
クルクルまわりながら、跳ね回る関谷先生。

「大友君、ジャムパンって好き?(ヤマザキのジャムパンを差し出し)大友君にあげる。他の生徒の子には内緒よ」
ジャムパンを拒絶されると、なぜか全力で走り去る関谷先生。

 次回は出番が多そうなので、全台詞収録できないかも。(結)


第1回(1/9放送)
☆☆★
 原型をとどめないほどに原作を脚色するのが大得意な大森美香脚本による『漂流教室』。台詞の連打が気持ちいいのも、彼女作ならではか。壮大なスケールって触れ込みであのCGを見せられるとこけるんだけど、ラスト・シーンを見てしまっては来週も見ざるをえないか。
 ひさびさに連ドラで発見!まさに「何なの、あの人!」な中島宏海のキャラには期待感あるなぁ。早く消えちゃいそうで、いかにも危ういんだけど。(結)




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