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初体験 (フジテレビ系火曜21:00〜21:54)
制作/フジテレビ、共同テレビ
プロデュース/稲田秀樹、土屋健
脚本/神山由美子
演出/木下高男(1、2、5、7、9、11)、土方政人(3、4、6、8、10)
音楽/中西俊博
主題歌/『陽のあたる坂道』Do As Infinity
出演/高梨真智…水野美紀、房野拓海…藤木直人、榎本由加里…篠原涼子、甲田敦史…オダギリジョー、合田美佐…畑野浩子、高梨歩…小泉孝太郎、加奈…田村たがめ、中越典子、眞野裕子、後川佳織、矢島健一、大島蓉子、渡部…山西惇、小林すすむ、森山ゆうこ、東山明美、宮迫博之、小手島雄治…八嶋智人、椎名琴美…坂井真紀、高梨雅枝…加藤治子
ほか

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第11回(3/19放送)
☆☆☆
 冒頭、由加里(篠原涼子)の超高速活舌、

『行けよ、バ〜カ…(中略)…行っちゃいな』

の空元気に酔うままに、walk on 11。

「ボランティアですか」by加奈(田村たがめ)

とはまたまたおいしいことを。脚本家に愛されたキャラクターは、きっと幸せになるんです。ほら、やっぱり(とはエピローグのお話)。
 今後も愛犬の担当に真智(水野美紀)を指名する患者に、前話からの引き続きで再対決する房ちゃん(藤木直人)と敦史(オダギリジョー)と、説明に説明を重ねるペルー渡航不支持声明。そんなに厚塗りで説明重ねしなくても、十二分に伝わってるんだけどなぁ。

「またいつもの優柔不断」by真智(水野美紀)

の重ね技は、絶妙のさじ加減なんですけど。

 “オチこぼれ”由加里(篠原涼子)を助けるのに、どこよじ登ってんだ!第7回、房ちゃんへの決死の告白時に、雨どいづたいのダイビングの前科があるだけに、このよじ登りが真智ならやりかねんという説得力をもつ。ただ、予告編で見せられ過ぎている弊害で、ドラマとしての驚き度は限りなくゼロに近し。どうしてそこまで見せるのか、最近の予告編は異議申し立てものでしょ。

「ずっといっしょになんて、いられないんだよ」by真智

神山ドラマに通低するテーマがここに一つ。親友3人組の別れのシーンもまた、神山さんお得意のシチュエーション。これまで何度、この構図に唸らされてきたことか。でも今回は、台詞が思いのほか切れないぞ。上滑りする琴美(坂井真紀)のお説教。命の洗濯はマリンタワー、という決め事は実に効果的。何といっても、のぼる間にフラッシュ・バックできるから。
 それにしても、高梨改め真智にまた惚れ直す、房ちゃんのこのスーパー包容力は何だ!

「おれは自信あるよ。何年離れてても」

って、説得力ある?人間はいかようにも変われるというメッセージか。

「考えるより、感じろよ」

と檄を飛ばして、とうとうブルース・リーとも同一化。その大いなるご出世ぶりに一抹の寂しさ。無能の人、房ちゃんが無性に懐かしくなる。

「雪って、あったけ〜んだ」by房ちゃん

に端を発して、「何て幸せだったんだろう、あのころ」(by真智)にフラッシュバックする連なりは、過去と現在をスウィートに結ぶ名人芸。ここにドラマが円環する。

「変われなかった自分を受け入れよう」」by真智

あれ?人間はいかようにも変われるはずじゃ。でもこっちの方が、神山ドラマに通低するテーマなり。
 マスター(矢島健一)の話は、生きてるってこと自体が超隠し球でしたか。お約束なパーティ・シーンwith唐突結婚式に、『非婚家族』最終回と同種の微妙な面持ちになるも、由加里のブーケ横取りの術には★一つプラス。
 たった2時間、トランジットな永遠の幸せ。取材費自腹でストリート・チルドレンの取材に行った房ちゃんが(だって渡航費を稼ぐために仕事増やしてたでしょ。そんな奇特なカメラマンはなかなかいないだろ)、ペルーだけじゃなくて、マニラにも足を伸ばしていたという小リアリティにちょっぴりホッ。さすがは、前話で『ナショナルジオグラフィック』読んでただけのことはあります?!
 ただ、これが段取り的なCXドラマへの精一杯の抵抗か?その微妙なずらしぶりは並じゃないけど、アンユージュアルの行き来の薄さには不満が残る。それでも、成田への道程の詩情にはやっぱり心がときめきました。第9話までのまぶしいほどの輝きは失せたけど、やっぱり神山さんの書くドラマはちゃんとしていたのでした。
 ところで、『実録・福田和子』はまだですか。(結)


第10回(3/12放送)
☆☆★
 前回の「私は心を決めた」の続きは、

「もう離れない。世界を敵に回しても」by真智(水野美紀)

でした。あまりの普通な答えに逆ビックリ。成就後にspark10とうたったけれど、むしろ今までのほうがスパークしていたのでは。
 心境の変化を確認すべく、朝からコーヒーとタバコでしっとりと焦りとコンプレックスへの自問自答を繰り返すも、カルテの術後同様、ドラマにも期待していたほどの“劇的変化”はなし。ただただ、その幸せに溺れるのみ……。
 ドラマとしてのヒネリどころは、幸せになったらなったで、見てる方が気恥ずかしくなるほどに主人公たちを幸せにしちゃったこと。その天井知らずの幸せぶりに思わず飛び出す、

「この幸せって、いつまで続くんだろう」by真智

という問いかけが不安げに聞こえる巧妙さ。そのすべてが幸せであればあるほどに、最終回での反動が怖い。というか、楽しみ!

「ずっと続くんだ。この幸せは。そうだよね」by真智

この念押しがあまりにも危うい。というか、楽しみ!

 今回の白眉は富士山のフルショットでしょう。久々に見ると、やはり感動します。あぁ、日本人。そういえば、乗り捨てたゴルフはどうしたんだろう。っていうか、あれ誰の車? 水野さんだけで押してるときも車が動いていたように見えたのは、気のせいか(“か”は反語の“か”)。
 車絡みでは、ヒッチハイクのエピソードも含めて、話を作らなかったんですね。若干の不完全燃焼も、助かってガッカリの一言で、一気にオーライな気分に。
 ただ、房ちゃん(藤木直人)のトントン拍子を越えた出世ぶりにはちょっとねぇ。この間まで無職だった無能男が、物撮りやってたかと思ったら、いきなりペルーですよ。まぁ、風が吹くときには吹くもんだ、という希望のもてる話として、それはよしとしましょうか。それにしても、ペルーに2年という揺さぶりは、あまりにも段取り的なCXのドラマ風に過ぎないかい。だってこれ、神山さんの本ですよ。全12話だったら、もう少し段取り踏めたかもしれないけど。
 由加里(篠原涼子)はいっそうしおらしく、いっそうケバくなくなった美佐(畑野浩子)は愛され方も愛し方もわからないほどのうぶ娘に。わけ知り顔の琴美(坂井真紀)は、いっそうイヤな感じ。マスター(矢島健一)の娘との話は、超隠し球か。
 今話の出来は☆☆★程度も、来週への期待感は☆☆☆☆級です。

「仕事も、友達も、なにもかもぶっ飛んだ」

何もかもぶっ飛ばして、sparkして欲しい。(結)


第9回(3/5放送)
☆☆☆★
 前段までの復習を、房ちゃん(藤木直人)のシャッターチャンスまでで一気に見せきるクレバーさ。そのスピーディーが冒頭から気持ちいい。

「持って来ようか」by房ちゃん
「うん、いい。買う」by真智(水野美紀)

こういう台詞を聞き逃すなかれ。感情と伏線のW妙。

「電車乗ってきた、それがヒント?」by真智

台詞名人の上手かな。

 みなとみらいに向かって大声で、
「生きててよかった〜っ。房ちゃんが私のこと、好きだって〜っ。28年間生きてきて、一番うれしいで〜す。ホントに生きててよかった〜っ。ダーっ」by真智

一視聴者としても、ホント見ててよかったですよ。ブレーキをかける28の分別がニヤニヤとさせるここまでほぼ☆☆☆☆級、feel 9。「ダーっ」は水野さんのアドリブ?ただ脚本家も、深田恭子を全女入りさせようとした人ですからね。
 今回、「それがヒント?」の次に笑えたのが加奈(田村たがめ)の初告白、「顔もわりと好きなんです」。『カルメン』の絶妙な使用にもしびれる。もちろん、中西俊博のスコアもコンスタントに絶妙です。
 第9話にして、「コイツもいたんだ」由加里(篠原涼子)に初同情。

「どうして私だけ……」by由加里(篠原涼子)

せつない……。逆に琴美(坂井真紀)に対してますます嫌悪感。

「房ちゃんも罪作りよね」

って、それはお前だよ!

 ロケの遊園地は、やっぱりシーパラダイス?! 最近だと『恋ノチカラ』もそうだったでしょ。結構ケバイ女呼ばわりされてた美佐(畑野浩子)がケバくなくなってる!男が女を変える?いやここは、女が男で変わる、の方が適切かな。
 雨音は遠ざかり、「考えずに感じるんだ」(久々に字幕で登場)を初実践する真智。キーワードの第一段階達成に、「フィール!」とうなずくブルース・リーの満足顔が目に浮ぶ。と突然に、

「私は心を決めた」by真智

とはいかなる決意表明か?成就しないドラマの旗手、神山さんの脚本がこのノリでさらに成就の積み重ねといくはずがないもん。2回余してあがりの先に、もう一つ先の高みがある?
 それにしても、今作の水野美紀はこれまでのどの水野美紀よりいい。活かさせ方がかつてなく際立っています。藤木直人も過ぎるほどにハマってる。彼もこれまでのベストワークでしょう。(結)


第8回(2/26放送)
☆☆☆★
 さわやかな喪失感で、昔の私にさよなら宣言。第7話までは顔だけが取柄だった無能の人、房ちゃん(藤木直人)が、第8話にしていきなりちょっとした才能の塊に。そんなギャップにほだされて、真智(水野美紀)の昔とった杵柄的横浜大捜査線、search8(ただ、水野美紀に柏木雪乃の面影はなし)。
 三角関係→直線関係なる新語を生み出す敦史(オダギリジョー)は、C調(死語?!)おとこぶりを覆す献身的ないい人に、結構ケバイ女呼ばわりされてきた美佐(畑野浩子)は、歩(小泉孝太郎)に弁当まで作ってきちゃう気立てが売りのいい女に大々変身。こんなにキャラの性格を書き換えてしまっていいんでしょうか。いや、いいんです。面白ければ、何でもあり。
 大いなる肩透かしは、意外なほどにさっぱり仕立てだった琴美(坂井真紀)の初体験告白 with 房ちゃん。定番と化している由加里(篠原涼子)の嫉妬的癇癪もなしか。鍋ひっくりかえして、「一生絶交!」ぐらいは言ってくれると思ってたのに。

「そういうこと言ってるからダメなんだよ」by由加里

とは、いかにも由加里的キャラが言いそうな台詞だけど。「3人ともさ、嘘をついてたってことで」(byこれまた由加里)で総まとめして、仲良く鍋をつつく親友3人組。食い意地は16年の遺恨を上回るということか、★一つ減点。

「あとから効いてきそうな気がする。ボディブローみたいに」by真智

収録ラグを考えると、この台詞が先週の感想よりも先であることは間違いない。

「雪って、あったけ〜なぁ」by少年房ちゃん

「何て幸せだったんだろう、あのころは」by真智

誰しもが思い当たるノスタルジーの極まりにホロリ。

「俺を見捨てんのかよ。
 (ルークと房ちゃんの切り替えし!)
 一人でやってけってことか」by房ちゃん

そして、マリンタワーにルークの旅立ち。行間が詰まっていく後半の追い込みが、目にも耳にも心地よい☆☆☆☆級。
 禁欲のワンスパイスからタイトルバックへの雪崩れ込みという演出のまとめ上手ぶりも、普通の恋愛ドラマとしては最上級でしょう。でも、神山由美子ドラマが普通でいいのか?! 佳境にアンユージュルを探し出せることを信じて、★一つプラス。(結)


第7回(2/19放送)
☆☆☆
 バレンタインネタやるんなら、先週でしょ。「掟破りの前日渡し」by橘リエ(中越典子)ならぬ、5日遅れの証文の出し遅れも、

「変わりたいんだよ」by真智(水野美紀)

と鏡に語りかけるには、やはりバレンタインが必要だったか。16年ぶりに4人で再会した直後、28歳の誕生日に真智をマリンタワーに一人でのぼらせるといういじわるなボディブローが、この後じわじわ効いてくる。

「16年もたったのに、全然変わってないじゃん、私だけ」by真智(水野美紀)

とはまたそんなつらいことを。ぜひお試しあれ。同様身につまされるから。

「ホントの恋は命がけなんだ」by雅枝(加藤治子)
本物の一言は、一発一発が重いですよ。高梨動物病院メンバー中では、小手島先生(八嶋智人)が密かにおいしい。
 父上よりもささやかに「感動した」歩(小泉孝太郎)と美佐(畑野浩子)は、周囲の混乱をよそに唯一の順風満帆。
 虚実綯い交ぜの巧みを散々やってのけてきたここ数回の末だけに、ここぞの決死の告白が一瞬、ファンシーの産物と見紛える。マンマと引っかかったのも、雨どいづたいのダイビング後ゆえか。その虚実の危うさが、そんじょそこらの安易なコクリと格段の差別化を果たす。16年の時を越え、雪降る街に思いをはせる房ちゃんに後半戦の含みを残しつつ、wild7。(結)


第6回(2/12放送)
☆☆☆
 お〜っ、今週の『中学生日記』の続きか!
「私たち、つきあってるんだよね」by由加里(篠原涼子)
人間は成長しない生き物なのか、countdown6。
 芸能界一強い水野美紀は、暗闇ではとりわけ強いですよ。 護身術はイスラエル仕込み(『ウルルン滞在記』より)。ブルース・リーのルーツは、房ちゃん(藤木直人)が拾ったキーホルダーだったか。このぶらぶらの抒情に、人生の縮図を見る深読みよ。感想も、

“Don't think . Feel ! ”

でしょうか。
 結構ケバイ女呼ばわりの美佐(畑野浩子)と結構キャラ立ちし始めてる歩(小泉孝太郎)は、やや楽しげに。真智(水野美紀)v.s.由加里(篠原涼子)の房ちゃん争奪戦を、実は高所から見ていた琴美(坂井真紀)。だから、第1回で琴見だけ山から房ちゃんの名前を叫ばなかったわけか。プロットは、こうやって組み立てるんですねぇ。
 タイミングが合わないカタログと化す真智。傘の柄に往診カバンまで掛けられちゃう間の悪さには泣き笑いも、偶数へのこだわりはイマイチわからず。これも何かの仕掛けですか。全てに勘ぐり入れたくなるほどに、ディテールまで美しく整えられている。大島蓉子はここでも管理人役だったか(=『トリック2』)。(結)


第5回(2/5放送)
☆☆☆
 ジャブジャブジャブの応酬により、余裕で折り返し地点を通過するプチ叙事詩、fever5。

「愛してるけど、信じてないの」

的な名言から、

「だんて、あだたなど?(=何で、あなたなの?)」

といった変化球まで、今話もめちゃめちゃ台詞が冴える。「奪い」のすすめも、加藤治子がいうと妙にリアル。生々しさが尋常じゃない。唐突に、森山“みんな生きている”祐子改め、森山ゆうこ先生!オダギリジョーが奇跡的な表情七変化を見せる、ちょっとした性格俳優ぶりに誤算的喜び。出てくるだけで、非常に楽しい。(結)


第4回(1/29放送)
☆☆☆★
 『今そこにあるプチ危機』か、crisis4。理想と現実の狭間でミクロな危機を行き来する美男美女。大好きなもの(ブルース・リーとビール)を禁止して、喪に服するという今話の横糸が効きまくる。

「タダにしてよ。同級生じゃん」by房ちゃん(藤木直人)

「男なら働けっての」by真智(水野美紀)

 そんなバカな。何と保守的な。だから…、な隠れ埋もれ名言を探せ。季節がら、ドラマと現実がかき鍋でシンクロ。女同士の小さなつばぜり合いの果て、由加里(篠原涼子)は猫の蚤で足がつく。このへんでおかしみを維持しつつ、「人生真っ暗」と言い放つなんて、好バランスもやはり厳しめ。その昔、「人生は闇だ」(『藤沢周平の人情しぐれ町』より)ともおっしゃってました。
 水野美紀の掃除機はやはり東芝か?! 電気屋に行くも、確認できず。ルークの幻影を見るあたり、テレビ以上の演出が冴える。

「それが人間ってもんじゃん……」by房ちゃん(藤木直人)
「やられた……、ような気がする」by真智(水野美紀)

 結びって、こういうもんでしょ。教科書!(結)


第3回(1/22放送)
☆☆☆★
 全編感嘆しっぱなし!テンポは心地よいほどにスピーディー、モザイクな各エピソードの構成も絶妙!まだ3話目ですが、今クール中一番のお薦めです。密かに、今クール随一の美男美女物でもある。ごみの飛ばし方まで叙情的なのだ。
 信念の女(ひと)の挫折と再生が、ここにも息づいている。インサートされる映像に差し込まれるモノローグが、随所に効いててとろけそう。神山さんって、ホント台詞が上手ですねぇ。
 あれだけ簡単にフタ開けちゃうなんて、水野美紀の真智役はおいしすぎでしょ。今話のブルース・リーはキーワードを発せず、態で示すのみ。ヘタに真似るのも、獣医役なら致し方なしか。

「処女膜があるのはこうもり、もぐら、さる、それと後、にんげんだけだ」by小手島先生(八嶋智人)
単なる向学のために。

「あなたが知ってるってだけで死にたい、いや死んでほしいぐらいなの」なオダギリジョーのおびえ方が凄い。さすがはテレ朝仕込みです(『仮面ライダークウガ』→『OLヴィジュアル系2』→『嫉妬の香り』)。しょげた背中で母性をくすぐる「絶交だ」の小泉孝太郎は、意外に演技できますねぇ。
 ボーリング場の清掃バイトにさえ抒情が漂う房ちゃん(藤木直人)は、やっぱり家賃滞納してましたか、一気に真智と形勢逆転。それにしても、いいとこ住んでますよねぇ。一階、ampmだし。

「すぐ怒るよな」by歩(小泉孝太郎)
「何よ、エラそうに」by由加里(篠原涼子)
「いつまでクラス委員、やってるつもり」by房ちゃん(藤木直人)
「私ってやっぱ……」by真智(水野美紀)

の果てに、雄雌間違えそったおなかを尻尾で隠す。
 サイレントにすれちがう房ちゃんと由加里、そんな由加里と目が合う真智。最後にお互い傷の舐めあい、なぐさめあっての饒舌。化粧崩れてたから声をかけなかった由加里(篠原涼子)はますます絶好調。
 そういえば、連日に水漏れの末の慰謝料請求ドラマ(月曜ミステリー劇場『本人訴訟 司法浪人鵜飼優子の挑戦』)でした。タッチは全然違うけど。(結)


第2回(1/15放送)
☆☆☆
 「私の楽しいことって?」(by真智)
そこまでベーシックな質問は『ファイティングガール』にもなかったぞ。合言葉は"Don't think . Feel !"(せっかくなので、ブルース・リーのお言葉のままに)、やっぱり。
確かに、「そんなこといったって」(by真智)ねぇ。
 昔バンドの追っかけやってた由佳里(篠原涼子、強力!)が快調にとばしてます。房ちゃん(藤木直人)を見て、『喪服のランデヴー』からの時の流れを噛みしめる。「大学の時、教授に嫌われちゃって」(by小手島)はものの見事にフェイド・アウトの憂目に。この続きが聞きたかったのに。一秒強、奥多摩のインサートのために奥多摩ロケ?! 思わず小学生時代のアルバムを開いてみたくなる。(結)


第1回(1/8放送)
☆☆☆★
 テーマの陳腐さ、焼き直し度の高さなど気にするなかれ。台詞の粒立ちのよさに初回から聞き惚れる。時間軸の揺れもいかにもらしいねぇ。役者に適正な役柄を演じさせることで有名な(?)神山由美子脚本作のこれまでをプチ復習。

清水美砂→ドラマまたぎ(『青春家族』)で漫画家を目指す(『ひとの不幸は蜜の味』)
須藤理彩→大工になる(『天うらら』)
鈴木あみ→前世ツアーで哲学する(『深く潜れ〜八犬伝2001』)
深田恭子→全女に入ったと思われる(『ファイティングガール』)

 何という適材適所!この流れからいけば、水野美紀がカンフーファンであるという設定は恐ろしく正しい。「考えずに感じるんだ」とブルース・リーに言われちゃ、恐れ入るしかない。これってこのドラマのキーワード?!
 語り口のうまさは、『ファイティングガール』を彷彿とさせます。回想シーンもうまいんだけど、房ちゃん(藤木直人)の正体の見せ方(ホスト→付き人→自衛隊の流れ)なんかも絶妙のおかしさ。鏑木はKDDIの鏑木?! 月9の主役は宮迫という設定の自局パロディもスピーディに展開。『ひとの不幸は蜜の味』という話に水野美紀のコスプレまで、初回らしい盛りだくさん。みんなで山に登るシーンが叙情的で素敵です。さて今回の神山ドラマ、テーマをのり越え、どこまで登りつめてくれるでしょうか。★一つプラスは今後の期待感をこめて。(結)




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