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木更津キャッツアイ (TBS系金曜22:00〜22:54)
製作著作/TBS 制作/TBS ENTERTAINMENT
プロデューサー/磯山晶
脚本/宮藤官九郎
演出/金子文紀(1、2、5、9)、片山修(3、4、6、8)、宮藤官九郎(7)
音楽/仲西匡
主題歌/『a Day in Our Life』嵐
出演/田渕公平(ぶっさん)…岡田准一、中込フトシ(バンビ)…桜井翔、モー子…酒井若菜、内山(うっちー)…岡田義徳、岡林(マスター)…佐藤隆太、佐々木兆(アニ)…塚本高史、猫田…阿部サダヲ、山口…山口智充、勲章・店長…嶋大輔、純…成宮寛貴、セツコ…須之内美帆子、教頭…緋田康人、校長…森下哲夫、巡査…三宅弘城、イチコ…細野佑美子、ミー子…平岩紙、ひとみ…あじゃ、小峰…ケーシー高峰、哀川翔…哀川翔、ナオミ…増田恵子、ダニー・ケニー・トニー…スチャダラパー、シガニー小池…ピエール瀧、氣志團…氣志團、犬島くん…中村獅童、加藤鷹…加藤鷹、観月アサリ…YOU、うっちーの父…渡辺いっけい、うっちーの母…宮地雅子、ちはる…柴山香織、安住アナ…安住紳一郎、山田…妻夫木聡、オジー…古田新太、ローズ…森下愛子、田渕公助…小日向文世、美礼先生…薬師丸ひろ子
ほか

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第9回(3/15放送)
☆☆☆
 美礼先生(薬師丸ひろ子)の白衣の謎にはじまり、肩に蜆の不可解に至るまでの見せ方のうまさに、おもわず舌を巻く。このプロットにして、微塵の暗さも感じさせないフットワークのよさには、ある種の爽快感さえ感じさせました。語り口のうまさでは、全9話中でもこの最終回がベストだったのでは。
 原人・ぶっさん(岡田准一)の“ぶっ”は、ブッシュマンの“ぶっ”?!東京の象徴として、徹底的にフジテレビ=未来都市で攻めてくる自虐楽屋落ちも、その潔さが気持ちいい(でも、ビッグハットじゃダメだったの?!)。

「東京に染まんなよ!」byぶっさん(岡田准一)

誇り高き首都圏近郊民の心意気に聞き覚えがあるだけに、余計に熱く耳に響く。
 第1話からの横糸、サインミスの指摘からはじまる臨終シーンは傑作中の傑作でしょう。そのうまさには唸りました。(結)


第8回「俺のハートが盗まれた」(3/8放送)
☆☆
 先々週でリリックを極め、先週は少し騒ぎすぎたせいか、ドラマはやや脱力的な息切れ気味に。YOUの脱力ぶりがそんな停滞をさらに助長するんだけど。
 好調を持続してきた裏の攻撃も、今回はやや小ぶりかな。新千葉で新木場には、小さくときめきましたが。ただ、ぶっさん(岡田准一)の遺影を見せられちゃ、次回を見逃すわけにもいかないんだけど。(結)


第7回「最初で最後の夜!」(3/1放送)
☆☆★
 もう一歩で完成の域に達しつつあったリリック調は大いに後退し、今回は異常なほどのハイテンションでかなりうるさめ。微妙にも大いなるテイスト違いも、ひたすらに勢いだけで乗り切るだけの潜在能力を秘めているだけに、楽々と計点越えしてくるあたりはさすが。
 ここまでの蓄積から、ぶっさん(岡田准一)のタンバリンにも、ブルーハーツ・トリビュートばやりにも、モー子(酒井若菜)のお父さんがオカリナ奏者だったことにもそれほど驚かなかったけど、ローズ(森下愛子)がヘルニアだったとはちょっぴり驚いた。
 小ネタのマニアック度は、ますます一部の人にしか楽しめない領域に向う。そのベクトルの方向性を良しとするか悪しとするか(視聴率的には悪しを証明済み)。「カルト的に思われるほうが怖い」(ぴあNo.942宮藤官九郎インタヴューより)なんて言われても、ただひたすらに空々しく聞こえるだけだけど。とりあえず今回は、氣志團に尽きたということで。(結)


第6回「さよなら小津先輩」(2/22放送)
☆☆☆
 ここにリリック、極まれり。本家(『さよなら、小津先生』)より琴線に触れる「さよなら小津先輩」。これがやりたかったから、小津=“オジー”だったか。手の込んだ遊びまで、リリックに死す。
 今話はリリックのみならず、メロー、スウィートといろんな形容詞が総注入されておりました。バロックのようで、なかなかに計算高いプロットには感心しきり。巻き戻しを裏表でツギハギしてしまう手法の粗探しをするも、毎話毎話にほつれが見えない。このインテリジェンスに到達するために結構な努力を要する(時間がかかってしまう)のが、このドラマの弱点でもあるんだけど。
 教頭のDV相談に対して、親身に受け答えする受ける美礼先生(薬師丸ひろ子)、という構図で、見事に薬師丸=宮藤官九郎ラインが『コウノトリなぜ紅い』とつながりました。密かにここに、一番感激する。(結)


第5回「俺もうマジ死んでもいい」(2/15放送)
☆☆☆
 鼻血を出しても、バットを振り回しても抒情的になってしまうという、無敵の法則が完成の域に達した模様です。最後の最後に試合をやらないという慎ましやかも、また抒情。
 美礼先生(薬師丸ひろ子)と哀川翔の、夢の対決に心をときめかせつつ、海に浮かぶオジー(古田新太)の毛糸帽、という意味深にまで抒情を嗅ぐ。酒井若菜の意表をつく性格演技が、強烈共演陣の中でもとりわけ目に付くハイパー・テンション。(結)


第4回「町で一番の色男」(2/8放送)
☆☆☆
 この作品の装丁からは予想だにしなかったことですが、ここ数クールのTBSドラマの中では『水戸黄門』と並んで、もっとも折り目正しいドラマと化してきております。まぁ、他がひど過ぎるだけってところもあるんだけど。
 混入好き(?!)の美礼先生(薬師丸ひろ子)は、伝書鳩飛ばして別次元のわが道を往く。キャッツアイ世代は『ザ・ハングマン』見てるか?! 個人的には『ザ・ハングマン』はIIに思い入れ。高校の文化祭で『マクベス』やってたら、見に行くぞ。古田新太、さすがの口跡。
 小ネタが売りにもかかわらず、小ネタでしつこく押してこないところに好感が持てます。単に緩いだけという見方も可能でしょうが。今話最大の見物は、何といっても“盗癖のケイ”、ナオミ(増田恵子)。ウィノーナ・ライダーの心境に心を痛めたりして。キャッツアイ・コスプレなら、未唯の方が絶対似合うと思うんだけど。
 ドラマの空騒ぎに陰な含みがあるのは、ぶっさん(岡田准一)のタイムリミットという伏線を頭の片隅に置かせている点でしょう。実に巧み。(結)


第3回「僕の息子が死ぬ!?」(2/1放送)
☆☆☆
 『ママまっしぐら!2』なき後、『トリック2』と双璧の小ネタ合戦を繰り広げております。結構面白い。世代的には、大回転魔球をやりたくなる気持ちも理解できるし。
 「いとおかし」って薬師丸さん、古典の先生なのになぜ白衣?「何ぼ欲しいの、セニョール」のケーシー高峰、お得意のオカマ役が強烈炸裂。「罪悪感」の掛け軸に、今日一日を反省する。医学用語「サモハンキンポー」、味わい深し。とどめは、「ご利用は計画的に」。他の役者は考えられない。(結)


第2回(1/25放送)
☆☆★
 ぶっさん(岡田准一)は哀川翔ファンだった!かの薬師丸ひろ子が掃除道具入れの中に、“復讐リスト”なる物騒なものを持ち歩く。仏の顔も十度まで。なるほど“殺”は十画か。ここのところテレビでよくお見かけする古田新太は、軽く高校球児コスプレ。
 「お前の頭ん中、『トゥナイト2』か」という台詞は、メンソール疑惑から導き出される。『セクシー気分の夜だから』のままに、嶋大輔登場。単なる小ネタの集積を良しとするか否か。クドカン(宮藤官九郎をそう呼ぶらしい)ワールドに嫌悪感のない人はどうぞ。(結)


第1回(1/18放送)
☆☆★
 救う神あれば拾う神あり、というお話。ハイパーに抒情を挟む流れは予想通り。
 薬師丸ひろ子がクレジットの一番手じゃないドラマに出るのって、間違いなく初めてでしょ。映画だって一番手じゃないのって、デビュー作の『野生の証明』ぐらいじゃないですか。薬師丸ひろ子と宮藤官九郎コンビといえば、『コウノトリなぜ紅い』。ここつながりのご出演?! 放送禁止のフォー・ワードも、日本のテレビなら大丈夫か。(結)




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