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傷だらけのラブソング (フジテレビ系火曜22:00〜22:54)
制作/関西テレビ、MMJ
プロデュース/三宅喜重、東城祐司、伊藤達哉
脚本/尾崎将也
演出/二宮浩行(1、2、5、8、11)、今井和久(3、4、7、10)、三宅喜重(6、9)
音楽/寺嶋民哉
主題歌/『STARS』中島美嘉
挿入歌/『道標』小久保淳平
出演/吉村浩輔…高橋克典、川原由佳…加藤あい、島崎未来…中島美嘉、加藤佐和子…畑野浩子、良二…深水元基、塚本高史、美紀…矢沢心、牛尾田恭代、工藤康之…西岡徳馬、安田杏子…相田翔子、片岡…峰岸徹、未来の父…長谷川初範、坂井圭司…石原良純、島崎綾…川島なお美、江崎正彦…金子賢
ほか

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第11回(12/18放送)
☆☆☆
 最初からこのドラマは、こういうプロットだったんでしょうか(“か”はいや、違うだろうという反語の“か”)。様々な推理をはりめぐらせて、大いに楽しめた最終回。
 再三再四、浩輔の病気を匂わせといて、結局単なる過労だなんて、そりゃないでしょう。あまりにも大胆。あまりにもデタラメ。 「未来にウソなんかつけません」って、浩輔またまたダラダラしちゃって。でも、手付打つ金はあるんだ。その金はどこから?
 Zepp Tokyoの一曲だけのライブ。「おめぇ、歌うめぇなぁ」の浩輔のダラダラ台詞が聞こえてくるよう(元々、こんな台詞はないんですけど、雰囲気ね)。あれれ、バンドにストリングスも入ってるじゃん。やっぱ、音楽業界から干されてる連中なんでしょうか。それにしても、これって幾らかかってるの?金の出どころは?一呼吸おいての拍手歓声は、クラシック・コンサートみたいでよかったね。
 転んでもタダでは起きない音楽業界も、西岡徳馬のはまり役ぶりでいかにもそれっぽい。お母さんも転んでもタダでは起きません。スナックの名前を「未来」に変えちゃうとは。もちろん、BGMも“STARS”。“限定オリジナルグラス”まで売っちゃって。娘と写った写真が妙にリアルでしたね。これもひとえに川島なおみの妙演のおかげ。
 久々の加藤あい、「音楽って、奥が深いよね」とは何たるストレート。日本の古い音楽って、筝かよ。このプチ降板にも大いに疑問が残る。決定的にドラマのテンションが変わったのって、彼女が失踪してからだもんね。最後出てきたのも、ちょっとビックリだったけど。
 島本未来と中島美嘉がCD店でシンクロする。Flagsに入ってるCD店はタワーレコードなのに、出てきたCD店はヴァージン・メガストアという小さな仕掛けにもご注目。ここに、マイケル・ジャクソンの“BAD”よりも長編の超大型PVが完結しました(例えが古くてすみません)。
 キャストの順番、どう見てもおかしい。いなくなった加藤あいが2番手で、誰が見ても主役の中島美嘉が3番手とは。巧妙な加藤あいファンだましでしょう。もっと驚きは、トメが金子賢という驚愕の事実。そんなにキャストが薄かったのかと、いまさらながらに思う。そのわりには、がんばってたよ(思わず本音)。
 「しょうがねぇなぁ」って、最後までダラダラしちゃって浩輔、何しでかすかと思ったら、飛び入りでギター弾きだしちゃったよ。『傷だらけ』ってどこがの明るい大団円。『スター誕生』物は、昔から何かしらの悲劇で終わるって決まってるんですけどね。この奇妙なほどの明るさは、どう考えても最初のプランとは違うでしょう。「未来ちゃんもすっかりメジャーですね」だもん。PART2で傷だらけになる大構想だったりして。まさかね。
 いけない。非公式コラム分をここに書いてしまった。つまりは、大いにそそるドラマだったってことです。(結)


第10回(12/11放送)
☆☆☆
 そういえば、ちょっと昔まではこういうドラマもゴールデンで結構やってましたよね。怨み怨まれ、思い思われの応酬が、奇妙なほどに懐かしくも心地よい(昼ドラで事足りる、って言われたらそれまでだけど)。確かに浩輔(高橋克典)と未来(中島美嘉)は、時間の問題だったかな。
 クレジットは引き続き2番目も、加藤あいの姿はなし。唐突な家出は、やはりあまりにも不自然。どうしちゃったんでしょうねぇ。これはちょっとしたプチ降板でしょう。
 Zepp Tokyoは収容人数2,709人ですよ。脚本上といえども、ちょっと思いつかないデビュー・コンサートの規模。それとも単なるお台場つながり?! 使用料200万円とは、意外に安いんですね。
 前回からはじまった(?)、ハッタリで乗り切る小“スティング”ぶりも、悪役風も実は善人だった片岡(峰岸徹)の小ヒネリな使い方と含めて、なかなか楽しい。もともと、こういうノリのドラマじゃなかった気もするけど。(結)


第9回(12/4放送)
☆☆☆
 唐突な道場破り風歌合戦に“ROSE”ですよ。思いっきりストレートがいいじゃないですか。お父さんと思いきやの峰岸徹は、ここ最近定番の性格演技を披露。で、未来(“将来の”の意味ではない)の本当の父親役は、長谷川初範でした。
 レコーディングまでこぎつけたのに、邪魔するのは計ったように家出する由佳(加藤あい)で今回は一回お休み。
「お兄ちゃんと未来の邪魔ばかりしていました」
って、反省の弁までも邪魔。その手紙を読んだ未来が、またまたの大賢者ぶりを発揮。タイトルは『料理少年Kタロー』ならぬ、『歌唱少女K(Kは賢者のK)未来』に変更するべきか。
 浩輔(高橋克典)、未来(中島美嘉)、美紀(矢沢心)を街中で偶然あわせちゃうような不都合も、だましだまされの唐突な小“スティング”化で帳消し。あまりの脱力ネタに、不覚にも大笑いしてしまいました。(結)


第8回(11/27放送)
☆☆★
 名曲誕生秘話風の丸ーい作りに、メロドラマ調がますます極まってくるも、そのカルト性は少々弱まる。タイムリーな流れ星は、しし座流星群かな。
「俺だって辛いさ〜っ」
の浩輔(高橋克典)がますますダラダラするのと反比例するかのように、未来(中島美嘉)はだんだん大いなる賢者に変身してきております。登場人物中でも一番の包容力を随所に発揮する。
 その未来に諭されて、加藤あい演じる由佳の一人“嫉妬の香り”状態が軟化ぎみなのは、ちょっぴりがっかり。佐和子(畑野浩子)はばばあ呼ばわりまでされるも、初めて(?!)のピンでの絡みを生かせず。逆にエンジン全開なのが、母親役の川島なお美。“ほれた男”論は、未来の心を言い当ててた?! イロコイが出てこないこのドラマにちょっとだけアクセントを与える。マイク真木のつけたし出演はその効果があまりにも薄く、★一つ減点。もう少しやりようがあったと思うけど。(結)


第7回(11/20放送)
☆☆☆
 あえて推薦?! 昼メロはこうじゃなくっちゃ。夜やってるけど、これはまさしく昼メロ的な癖になる面白さです。『レッド』『ひとりじゃないの』の不出来に嘆いている方はもちろん、WONDAのCMで水増ししている『さよなら、小津先生』のやっつけ仕事ぶりに不満を抱いている方にも、東海テレビ制作ノリだけど実は関西テレビ制作という、こっちのドラマを見ることをお薦めします。話はシンプル極まりないし、人物配置が予測可能な定型なので、途中参加者でも充分間に合う。
 今週の浩輔(高橋克典)ダラダラ名言!
「呼び捨てかよ〜っ」
 川島なおみが随所に利いてます!彼女がここまで昼メロとの相性がよかったとは(厳密にいえば、擬似昼メロとの擬似相性)。
 とうとう実現しました。全面抗争に突入した由佳(加藤あい)v.s.未来(中島美嘉)のシングルマッチ対決!。
「絶対許さない!」
とすごむ由佳に、
「小姑!」
と言い換えす未来。この二人のつばぜり合いはまだまだヒート・アップしそう。
 浩輔の行く末を思い、心ならずも江崎(金子賢)の歌をお披露目ライヴで歌う未来(こっちがシングルのB面か。もしかして、今はそういう言い方しないんですか?)、って展開に意外性はまったくないんだけど、ドラマの勢いはそんな定石をも追い越してしまう。来週も大いに期待できます。(結)


第6回(11/13放送)
☆☆☆
 スタッフ&キャストのデータ的な先入観からは、今クール中もっとも期待できないドラマだったけど、いまやもっとも楽しみを見出せるドラマ(一番優秀というわけではない)になっております。何一つ予想を裏切らない展開が、何とも心地よいじゃありませんか。
 よかったり悪かったする成り行きの繰り返しが、いかにも連ドラらしくリズミカルに決まってる。『嫉妬の香り』への出演資格を有するレヴェルにまで到達しつつある由佳(加藤あい)の嫉妬が、定番のお楽しみ化してきております。ほとんど見られないだけに、未来(中島美嘉)のキラー・スマイルの効き目もなかなかのもの。中途半端なずぶ濡れも並じゃありません。「未来へ」と書き込まれた主題曲の使い方なんか、陳腐にわかっててもグッとくるタイミングがわかりやすくていい(ドラマの内容とは違って、企画物としては順風満帆みたいですけど)。
 そういえば、前回からクレジットが冒頭から後ろに回ってます。あのベタなタイトルバックが幻と化したとはちょっと残念ですが、オフィシャル・サイトのトップページは、どうしちゃったんだろうって感じで依然健闘中ですので、ぜひご覧ください。(結)


第5回(11/6放送)
☆☆★
 B級テイストもその陳腐さの真髄にまで達すると、カルト化することがあるという好例。それもこれも、未来を演じる中島美嘉のキャラ勝ち的な部分に負うところが大なんだけど。彼女の加速する暴走ぶりが、何とも喜ばしい。
 加藤あいの小姑キャラも、頭にくること必死のベタな喜び。なぜか必要以上にダラダラのんびりキャラの高橋克典も相当カルト性、高いですよ。ちょっとしたディテールに、カラオケの著作権料云々挟んでくるあたりも並じゃない。それを川島なお美がいうから、なお生々しいんだけど。
 今話では、中島美嘉の歌唱力が全開で初お披露目。ここまでじらされただけのことはあって、高橋克典じゃなくても、「歌、うめぇなぁ、おめぇ」(あくまでイメージの台詞)と言いたくなる。くしくも間髪置かずに放送されている、『トトの世界・最後の野生児』代表、SILVAとの“アメイジンググレース”対決(このセレクトは、両者ともに芸がないともいえるけど)は、中島美嘉に軍配でしょう。(結)


第4回(10/30放送)
☆☆★
 そのベタベタに独自のチャームが出つつあるのは、『嫉妬の香り』と同じ傾向。話が読める気持ちよさってのもあるんですね。
「『羽生の宿』かよ。歌、うめぇなぁ、おめぇ」
と高橋克典の台詞なき台詞まで聴こえてきたぞ。ここまで解体して楽しんじゃっていいのかどかはわかりませんけど。(結)


第3回(10/23放送)
☆☆★
 何たるベタさ加減よ。驚くべきほどに、ドラマの展開が予想を裏切らない。加藤あいがビール飲んでもいい役をやるようになりました。「拉致られる」とは初耳。気合の無表情、中島美嘉の面構えがいい。(結)


第2回(10/16放送)
☆☆
 話の先が見え見えなだけに、話の破綻も少ない。これって、いいことなのか?! 流し見にも耐える作品。(結)


第1回(10/9放送)
☆☆
 はじまった瞬間に、最終話のストーリーまでよめちゃった。中島美嘉の歌声が魅力的。(結)




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