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プラトニックセックス (フジテレビ系)
―娘の叫び 親の涙 そして親子の戦争が始まる―
制作著作/フジテレビ
プロデュース/永山耕三、東海林秀文
原作/飯島愛
脚本/龍居由佳里
演出/永山耕三(17歳の青春篇)、中江功(20歳の純愛篇)
音楽/小室哲哉、橋本慎
主題歌/『夢追い虫』スピッツ
エンディングテーマ/『永遠の海』星野真里
出演/須川加奈(愛)…星野真里、石川秀之…佐野史郎、森岡祐介(ユーケー)…柏原崇、辻本峻…妻夫木聡、吉村卓…渋谷すばる、丹羽克己…藤木直人、椎名法子、浜丘麻矢、牧野絋二、赤間直哉、中島宏海、春海四方、網浜直子、須川淳一…永島敏行、須川雪枝…田中好子
ほか



「20歳の純愛篇」(9/28放送)
☆☆★
 分厚さ(エピソード)、激しさ(人生)ともに前編に劣るも、まろやかさ(作劇)はそのままに維持。清々しくも、スイートな語り口が得意な龍居由佳里らしいまとめ上手ぶりは、いかにもテレビ的な手練の仕業。波乱万丈記なのに、見初めてすぐ安心させちゃっていいのか、という疑問もあるけれど。
 悟りの弟による天の声が、ラストの「大きな罪に対する罰」というまとめの言葉のみだったのは非常に残念。達観した高みの視点こそが、前編をありきたりで一辺倒なだけに終わらせなかった要因だったのに。もちろん、弟もあそこまで大きくなっちゃと、常人のコメントしか思いつかないだろうけど。


「17歳の青春篇」(9/24放送)
☆☆☆
 久々に見る正調、理由なき青春譚。30分で読める原作のドラマ化とは思えないほどにエピソードが分厚く、編年体のストレートな構成にも好感が持てる。プロットにはティピカルに過ぎるところもあるけれど、折り目正しく格調を保った丸い仕上りは、上出来といえるのでは。特に気に入ったのは、悟りの弟による天の声。ドラマに別の目を与えていて、これが要所要所で効いてます。度々登場する誕生日は、後々までのキーワードか?ということは、ハッピーエンドは当然の如く……。
 描写自体は、テレビ的にぬるめに抑えられてる。その辺の鬱憤は、合同制作の映画版に譲るということでしょうか。その棲み分けこそが、合同制作の意図でしょうし。それでも星野真里は、期待に違わぬ体当たりの大熱演を見せてくれています。少し品格が高すぎる気もするけど。美しいニューヨーク・ロケが抜群の効果を上げているも、テロ事件後だけに別の意味での感慨も深い。老人のエピソードが特に印象的。音楽はまぁ、まぁまぁというところ。
 失うものが多ければ多いほど、得るものも多いということか。そしてまた失い、また得るという常道曲的因果応報。まさに、自業自得に哲学を体現し続ける人生。おかしみの高まりとともに、主人公への反/共感が繰り返される。後編に期待しましょう。




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