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2001年夏ドラマ一覧
救命病棟24時 (フジテレビ系火曜21:00〜21:54)
制作・著作/フジテレビ 制作協力/FCC
プロデュース/和田行、中島久美子、樋口徹
脚本/福田靖(1〜4、6、8、10〜12)、橋部敦子(2)、飯野陽子(3)、秦建日子(5)、田辺満(7)、林宏司(9)
演出/田島大輔(1、2、5、8、11、12)、水田成英(3、4、6、10)、樋口徹(7)、山本一男(9)
音楽/佐藤俊彦、中村正人
主題歌/『いつのまに』DREAMS COME TRUE
挿入歌/『flow』bird
出演/進藤一生…江口洋介、香坂たまき…松雪泰子、矢部淳平…伊藤英明、桜井ゆき…須藤理彩、太田川奈津…田畑智子、神林千春…小日向文世、馬場武蔵…宮迫博之、城島俊…谷原章介、大貫佐智…田根楽子、山城紗江子…木村多江、賀茂みどり…唐木恵子、伊沢朋子…君島ゆかり、見城一恵…三宅恵美、相原早苗…山崎めぐみ、北村圭二…宇崎慧、秋山正幸…小林すすむ、神宮恭一…津嘉山正種、小田切薫…渡辺いっけい
ほか



第12回(9/18放送)
☆☆
 ここまでのスロー、メロー、ルーズ、みんないい人、といった路線を貫きつつ、とりあえずは2時間を退屈させなかった点は評価できます。いかにも最終回らしいまとまりは、今作がシリーズものであることを忘れさせるほどの懇切丁寧ぶり。シリーズものとしての利点は、まったく感じさせないんだけど。
 「とにかく今は緊急事態なんだ」とのたまいつつ、大事な場面になると医者はもちろんのこと、患者までもが水を打ったように、時が止まったかのように静まりかえるのはなぜ?、といった疑問に代表させるリアリティの欠如は、この医療ドラマが他の医療物とは一線を画す最大の特徴と言えるでしょう。これこそが、ナガラ視聴を許して数字を稼いできた大いなる要因なのかも。もちろん、『ER』シリーズや『いのちの現場から』シリーズでは、そんなバカなことは許されていないわけですが。
 シリーズとしての成長は、進藤を悩める男から問答無用な無欠のスーパー・ドクターに昇格させたことか。江口洋介の脱力した演技も、その点を踏まえてのことでしょうねぇ。随所に好演が目に付いたのは、宮迫博之。須藤理彩はパート1よりもだいぶ役が大きくなっててよかったね。宮田早苗は『いのちの現場から7』に引き続いて、病院での悲劇を体現する役どころを熱演。ところで、松雪泰子って何のために出てたの?シカゴ行きは『ER』、もしくは『シカゴ・ホープ』つながりか。


第11回(9/11放送)
☆☆
 エピソードが粒立たないもどかしさにも、相も変わらぬゆったりテンポのじれったさにも、もはや白旗状態。いやし系と揺るフンの狭間で、視聴率的には今クール一人勝ちか。視聴率の不可思議さを改めて噛み締める。
 最終回の2時間スペシャルも、やっぱりゆったりなんでしょうか?だったらせめて10分つめて、『ウソコイ』の失われたラストをやっていただけないでしょうか。


第10回(9/4放送)
☆☆
 冷静沈着とはのんびりと紙一重であることをこの作品は教えてくれます。リラックスムード満点の音楽を全部はずせば、だいぶ違ってくるような気もするんですけど。今話のエピソード攻めは、今更ながらプチERの趣。でもどれものんびり。心境演技まで披露する宮迫が一人、孤軍奮闘かな。


第8回(8/21放送)
☆☆
 微笑ましいという形容詞がピッタリの展開。『北条時宗』に続いて宮迫博之、メインはってます。北川“コンビにまりあ”弘美は、『氷点2001』では看護婦やってますよね。コンビニの次は病院か。
 まぁ、今クールは病院物ドラマが乱立してますからねぇ。かすってる『できちゃった結婚』を入れれば、『救命病棟24時』『マリア』『氷点2001』に『ちゅらさん』と日テレを除く全局がやってます(今週の『フレーフレー人生!』の舞台は病院だった)。『ちゅらさん』を別格とすれば、出来はどれもイマイチなんだけど。


第7回(8/14放送)
☆☆
 オープニングの格闘シーンから、いかにもウソっぽいぞ。急患運ばれてきてるのに、どうして音楽がサウダージってるんだ!歯痒いほどに、一刻を争う感じが出てない。その緩みの隙間を利用して臭いし。人情にひたすら厚く、っていうコンセプトはわかるんですけどね。
 ナースの心情を真摯に代弁する須藤理彩扮する桜井ゆきは、パート1からのキャラクターだけに、成長過程がわかって近しい感じがします。周りの絡み自体はやっぱり臭いんだけど。看護婦さんはおしゃれ、という真理はここでも生きている。
 小日向文世は『コウノトリなぜ紅い』から医者役で連投。城島が山城看護婦を誘う映画はカナダ映画『渦』(☆☆)でした。


第6回(8/7放送)
☆☆★
 ゆったりムードもこういう人情話に終始するんだったら、かえって効果的かな。今回は、神林“ひろみ君”を演じる小日向文世の丸さが生きました。まぁ、視聴率いいんだから、ちょっとはがんばってもらわないと。
 青木伸輔は『永遠の1/2』に引き続きボクサー系(喧嘩して逮捕されちゃう?! 実はナイーヴってところも一緒)の役どころ。幻の朝ドラヒロイン(?!)、小西美帆は一足飛びに人妻で登場。ふと気づくと、小西美帆(『やんちゃくれ』)、須藤理彩(『天うらら』)、田畑智子(『私の青空』)、そして今回のヒロイン“萌ちゃん”(『すずらん』のヒロイン名)と、歴代朝ドラヒロイン勢ぞろいです。パート1の主役は、モンスター化する前の松嶋菜々子(『ひまわり』)だったし、ここまで揃うと何かしら意図を感じますね。パート3に、国仲涼子(『ちゅらさん』)が看護婦役で出たりして。それにしてもここの看護婦さんは、みんな大きいですねぇ(須藤理彩、唐木恵子……)。


第5回(7/31放送)
☆☆
 末期ガン患者役、谷啓の含蓄で、毎度のスロー・テンポも何とか我慢できた。ゆるゆるの音楽は、もうすでに我慢の限界にきてますけど。意識不明の患者が反応するという劇的が、まったくグッとこないのはなぜか?結局は、緩さと臭さが鼻につくんだよなぁ。ピーター・ベントンじゃないけどこのドラマ、能書きが多すぎる(『ER』♯16)。
 目の配りが常に少し早いのが気になるけど、アフリカ帰りの馬場先生を演じる宮迫博之は大健闘。あとは登場シーンの少なさの程度に、それぞれが同程度に印象薄。今回のメインだった渡辺いっけいだって、これぐらいやるでしょうし(6月に放送されたラジオドラマ『反面教師』での怪演は強烈)。ラストで彼が、老人ホームを断念する理由はさっぱりわからない。エピソードに解釈の余白を残すことと、中途半端に投げ出すこととでは、まったく違いますからね。
 「北風と太陽」の話は、『早乙女タイフ―ン』に先を越されてますよ。


第4回(7/24放送)
☆☆
 今回も不発。どのエピソードにも感心できないという珍しい症例です。自分のミスを報告せず、スタンドプレイで窮地に立つ香坂(松雪泰子)に、どうやって共感しろというのか。レスキュー隊員(小木茂光)の負傷も見えすぎ。ドラマが始まった瞬間にラストが読めちゃうなんて、致命的でしょう。救急認定ナースの話は勉強になったので、★一つおまけ。


第3回(7/17放送)
☆★
 『ERVI』第14回のショックからまだ抜け出せません。『ちゅらさん』に出てくる病棟に一人も医者が出てこなかったとしても(現実に入院病棟で医者はあまり見かけないしね)、『いのちの現場から7』の中村玉緒みたいな、おばあさんの看護婦は現実には見たことも会ったことがなかったとしても(一応、全看護婦を監督する総婦長という役目だから、あり得なくはない)、そこには登場人物に対する共感があるし、やっぱりそこは病院に見えます。
 それがどうしたことか、このドラマからは感じられない。どうも共感が薄いというか、そこが病院に見えない。何かマッタリしてるのは、音楽のせいでしょうか(PART1に負けじ劣らず最悪)。シラ〜っとしてるのは、出演者のせいでしょうか(『女子アナ。』では先輩格だった伊藤英明ですが、今回の研修医役のほうが格的には大正解でしょう)。薄くよ〜く伸ばした感じのドラマ的な起伏は、脚本家のせいでしょうか。とにかく、その場所が病院に見えないという致命傷です。


第2回(7/10放送)
☆☆
 和製『ER』を目指したとしてはあまりにもスピード感がなく、だからといって研修医の成長物としても、裏切りのドラマとしてもどこか中途半端だったパート1に比べると、今回のパート2はちょっといい話にしようというわかりやすい意思が感じられる分、とっつきはいい。群像劇の構造は、突出した主人公が中心にいる分、『ER』というよりもむしろ『HERO』っぽくなってる。まぁ、脚本家が同じ(福田靖)だから当然か。




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