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六番目の小夜子 (NHK教育)
制作・著作/NHK 原作/恩田陸 制作統括/一井久司
脚本/宮村優子
演出/田中賢二(1、2、5)、遠藤理史(3、4、8、9、12)、出水有三(6、7)、陸田元一(10、11)
音楽/coba
出演/鈴木杏、栗山千明、山田孝之、村田雄浩、美保純、上杉祥三、一色紗英、松本まりか、鳥居紀彦、勝地涼、山崎育三郎、内野謙太、伊藤隆大、平田裕香、佐野日名子、小日向文世、古尾谷雅人、多岐川裕美、冨士眞奈美
ほか



集中再放送スペシャル(2001年5月3、4日)

 地上波で一年間のうちに連ドラが2回も再放送されるって、ちょっと聞いたことがないですねぇ。異例の3回目の放送です。まぁ、確かに「ドラマ愛の詩」の前身、「少年ドラマシリーズ」から数えても、この作品は特筆すべき異色の傑作だと思います。また見られる喜びといったら。実はすでにDVDも出てるんだけどね。


第1回「謎の転校生」
☆☆★
 本編前に鈴木杏の一年後スペシャルメッセージ付き。もう一回り、大きくなった杏ちゃんが見られて、ちょっと得した気分。 
 改めて見てみると、恐るべきハイスピードな展開にビックリ。ホラーチック度もたまらなくキュートです。


第2回「亡霊」
☆☆★
 ケレン味を利かせたおもわせぶりたっぷりの仕掛けが決まりまくり、更には津村沙世子のミラクルが混乱を助長させてます。秋の加藤への対応に落第の悲哀が漂う。加藤のお母さんの余裕綽々ぶりこそ、今回の最大の謎だ。ミネラル・ウォーターは“森の水だより”でした。


第3回「見えない敵」
☆☆☆
 この回あたりから、ホラーチックにプラス?のおかしみが加わりはじめます。存在自体が不気味な古尾谷雅人はいつものように(?)爆発しちゃうの?! 村田雄浩の活舌のよさは日本歴代10傑クラス。そして、まあの涙。くーっ、先が見えない(見るの、3回目なのに)。


第4回「謎のメッセージ」
☆☆☆
 津村沙世子が少し人間臭くなってきたと思ったら、最後に出ました犬を呼ぶミラクル。それ以上に危険な眼をしているのが古尾谷雅人。顔、逆光でほとんどシャドーになってるし。ホラーに煽るシーンとおかしみに溢れたシーンとが隣り合わせに作りこんであって、テンポ感は最高です。村田雄浩の素スレスレ演技が妙にスリリング。一色紗英、登場。彼女に“パン”ってやらせた人よ、ありがとう。


第5回「不思議なうたごえ」
☆☆☆★
 一色紗英は久々の当たり役じゃなかったのかなぁ(って言うか、最近はほとんど何にも出てないんだけど)。まあと溝口のオープニングコント(?)も冴えてます。冨士眞奈美の声優一発芸は凄かった。いかにものアフレコ風が逆にそれっぽくて不気味。都庁前で佐野美香子を問い詰める秋、ってことはここは東京?授業中唐突に「佐野美香子!」は笑えました。


第6回「七夕の秘密」
☆☆☆★
 “逢魔が時(昼でも夜でもない時間)”の物語。天体観測4人までだなんて、物語的なご都合主義もいいところなんだけど、それがちっともおかしいと思えないぐらいに、もはや物語に飲み込まれております。屋上で佐野先生に会う幻想シーンは、ここまでの最高のシーン。「先生を待ちます」の杏ちゃんの独壇場もよかった。


第7回「罠」
☆☆☆
 嵐の前の静けさという趣か。それにしてもこのドラマ、絵作りが並じゃないですよねぇ。冒頭の、脚本を高くかかげて処分する幻想シーン一つをとっても、色彩の美しさは抜群。バックに流れるバッハの無伴奏チェロ組曲の格調にも引けを取りません。着ぐるみ使うトリックは、どこかで見たような。

 怜と沙世子が部屋で聴いてた曲は何?聴いたことあるんだけど、曲名がわからん。


第8回「恐怖の文化祭(前編)」
☆☆☆☆
 このドラマの中でも、最高の見せ場の回。全員参加の芝居は抜群によく出来てます。上演するまでの段取りも緊張感を高めてくれました。ランプでテンポ設定しちゃうなんて、アヴァンギャルドだねぇ。スライド、映像の周到な挿入は、もはやビデオ・インスタレーションの世界。感動です。


第9回「恐怖の文化祭(後編)」
☆☆☆★
 そのスペクタキュラーな見せ場、スゴ面白すぎます。まあが出てきたねぇ。古尾谷雅人、エリクソンの携帯持ってました。鳴ってとらなかったのが今回最大の謎。そういえば、「サヨコの部屋」(だったっけ?!)が省略されてるなぁ。好きだったのに。


第10回「サヨコはここにいる」
☆☆☆
 なるほど、ゴールが見えてきた。実に真摯に話が込み入っております。触れるのが遅くなっちゃったけど、cobaの音楽がこのドラマを煽ってることは間違いないですね。cobaっぽくない驚きもプラスされてます。我慢できなくなったのか、今回はcobaがcobaっぽくなってた曲もあったけど。


第11回「サヨコの正体」
☆☆☆
 すべての謎が回顧調のダイアローグでしみじみと語られたと思いきや、実はまぁ〜っ。


第12回「そして扉はひらく」
☆☆☆
 それぞれの小夜子について手際よくわからせてくれた最終回。小夜子の碑にはなぜ“友情”って書いてあったも納得の上手いまとめ方です。
 まさに一回りデカくなった杏ちゃんのエピローグで、“七番目の小夜子”って言葉が出ましたねぇ。まさか続編?最後までおもわせぶりにやってくれました。




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