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2001年春ドラマ一覧
R-17 (テレビ朝日系木曜20:54〜21:48)
制作/テレビ朝日、MMJ プロデュース/内山聖子、遠田孝一、山本和夫
原案/ももち麗子
脚本/寺田敏雄(1、2、3、4、7、8、9、11、12)、瀧川晃代(5、6、10、12)
演出/国本雅広(1、2、5、6、9、12)、久野昌宏(3、4、7、8、11)、白川士(10)
主題歌/『エアーポケット』中谷美紀
出演/中谷美紀、田辺誠一、佐藤仁美、黒澤優、佐々木勝彦、モロ師岡、山崎一、久野真紀子、有福正志、栗山千明、清水真実、水川あさみ、中山史奈、上原歩、宮崎あおい、松重豊、筒井真理子、田島令子、内藤剛志、三船美佳、長野里美、西村雅彦、桃井かおり
ほか



第12回(6/28放送)
☆☆
 カヲル(黒澤優)の件は、悶着したわりには丸くおさまった。『金八』みたいになっちゃうのはどうかねぇ。桃井かおりは“教育的ハングマン”、といったところでしょうか。最後の最後で大いにコケル。


第11回(6/21放送)
☆☆☆
 エキセンテリック&ウェルメイドにリアリティを与えているのは、桃井かおりの存在。実は彼女こそ、芽美(中谷美紀)をトラウマから開放するために遣わされたカウンセラーだったの? 初めて人間的な心情を見せた黒澤優があまりにもせつない。


第10回(6/14放送)
☆☆☆
 黒澤優の悪魔の囁きが破滅的なまでに大爆発。芽美(中谷美紀)がカヲル(黒澤優)をカウンセリングする場面で、カウンセリング関係が逆転する瞬間にはドキッとさせられました。カットバックを繰り返す中で、お互いの顔がじわじわとズームになっていく場面には、鬼気迫るものがあった。真っ赤な花が目に痛いつつじ畑を背に、カヲルが乃木(田辺誠一)を待つ場面も鮮烈で、今回はテクニカルな部分にも脱帽です。
 中谷美紀と桃井かおりの関係が逆さまになる逆カウンセリングの場面はさらに秀逸。幻覚で見た子がやはり、森山芽美が抱える問題の根源だったわけか。ここまで見てきて改めて思うのは、桃井かおり扮する松崎先生が効いるということ。
 脚本家が変わると(今回は瀧川晃代)、テイストも結構変わりますね。ちょっと心配なのは、芽美の秘密に話がシフトするあまり、本道を忘れてディテクティヴに走りかねない臭いがする点。何せテレ朝のドラマですし。もちろん、そのときの芽美も17歳だったんでしょうけど。


第9回(6/7放送)
☆☆☆
 2回分の結末の回はまさに「命をかけて、ドラッグ最後の闘い」 。中谷美紀の正調『ラブレボリューション21』からはじまって、内藤=桃井の対決はジャンプカットびしばしで、今回の重量級ぶりを暗示する。目が据わった内藤剛史はその巨体だけに怖い。いつの間にか、大人たちだけのドラマに(三船美佳も人妻だし)。佐藤仁美と桃井かおりのやり取りはギリギリでせめぎ合うド迫力。電話だから、実際には一人芝居でしょうか。やるせない思いで、明日、朝食を食べることだけに希望を見出す。


第8回(5/31放送)
☆☆☆
 薬っていうヘヴィーなテーマではじめといて、さすがに2週では終われないか。ということで、これまでのパターンを破って、ワンテーマでの第3週目に来週は突入です。
 覚せい剤を誤って口にした芽美(中谷美紀)が壊れちゃうシーンに、『真夏のメリークリスマス』の空騒ぎな彼女が見えたのは私だけでしょうか。カテキンの効用は、伊藤園のCMの延長線上でしたけど。幻覚で友達に会うシーンの意味は、次回語られるのでしょうか?ゴールデンのドラマとしてのギリギリの冒険は評価できます。
 黒澤優の地の部分のミステリアスが、役柄の悪魔性とうまくかぶってて非常にドラマの押さえとして効いてます。今回の桃井さんは、常なる先回りぶりが冴えてましたねぇ。「いい悪いお手本」にと佐藤仁美に畳み掛けるシーンは迫力満点でした。警鐘的なポイント以上の結論を一週伸ばした来週に見出せるのか、というヒントもここに含まれていたでしょうか。期待したいところです。
 ところで、3回も出るってことは、やっぱり内藤剛志の連続ドラマ出演記録は続いてるってことなんでしょうか。ギネスな問題だけに、そのあたりのデリケートな問題に誰が判定を下すのか、ちょっと心配になってきております。


第7回(5/24放送)
☆☆☆
 ラテ欄に「ドラッグ(1)・何故手をだすのか?」と断わりがあるのは、やっぱり前編にあたる奇数回に対する自信でしょうか。それにしても、同じMMJ制作でも雲泥の差ですね、『嫁はミツボシ。』とは。黒澤優=三船美佳ラインに心をときめかす往年の映画ファンは、このドラマは見てないか。さて、問題は結論に行き着く偶数回です。来週に期待。


第6回(5/17放送)
☆☆★
 監禁、同性愛、心中といったヘヴィーな話だったはずなのに、随分清々しくまとめちゃいましたねぇ。中谷美紀のノンキさは、あれぐらいの方がなごむってことでいいのかもしれないけど。母親はそう簡単には変わらないと思うんだけどなぁ。ラストのタイトルバックに出るメッセージのほうが等身大で、むしろぐっとくるってところもありますね。
 この話がそのまま男子校だったら、もう放送できない内容になっちゃうかな。そんなもの見たくもないけど、男の子だって悩んでるだろうけどね。


第5回(5/10放送)
☆☆☆
 極端に走ってしまう17歳たちの印象を薄めちゃうほどにいっちゃってる桃井かおりが傑作です。その極端さも年を積み重ねることで、おかしみに昇華出来るってことなんでしょうか。人の部屋に上がりこんで、勝手にガムテープで境界線引いちゃうなんて、そんな不条理は桃井かおり以外には演じようがないでしょう。
 今回の脚本は瀧川晃代。チラッと出てきた田島令子が演じる母親も絡みがあるのか。奇数回の問題提起に対しての次週に期待。


第4回(5/3放送)
☆☆☆★
 奇数回の方が優秀という前言は撤回せざるをえない出来ばえです。テンションの高い展開も、ラストの「やっちゃったかと思った」という台詞で救われた感じ。壊れていく水川あさみがとっても印象的。黒澤優の悪の囁きも利いている。佐藤仁美がまた悪そうなんだ、これが。中谷、桃井コンビのおかしみも調子が出来てきましたね。それにしてもあのカッコいい男、許せないなぁ。ジョーカーは一枚じゃないっていうオチのために、前回からババ抜きやってたのか。よく出来てます。


第3回(4/26放送)
☆☆☆
 前後編に分かれてる構成だと、どうしても問題提起である前編の方、つまりは奇数回の方にいい出来が集中しそう。かなりヘヴィーなテーマを扱った第3回も、そのショッキングさが上滑りしていないところに好感が持てました。「真夏に大きな隕石が落ちてくるって。当たればいいな」っていう、ある種の普遍的な厭世的衝動と、過激な刹那的衝動との描き分けのバランスは、大人が見る際には大事な許容部分だと思います。
 テクニカルな部分にも注目したいです。衝動的な行動の切り取り方が実に上手い。作品コンセプトを見事に言い当ててるタイトルバックも出色の出来ばえ。


第2回(4/19放送)
☆☆★
 テーマの核心に迫った上で、それを解決しちゃおうとすると、どうしても問題が単純化してしまう。そこを克服しないと、このドラマは絵空事になっちゃうと思うんだけど。セクハラをテーマにした今回なんかは、スレスレの線ではなかったでしょうか。『つぐみへ…』も同じ問題点を抱えてただけに、第3話以降がちょっと心配です。裏を返せば、期待してるってことなんですけどね。先生の奇行でキャラ立ちさせようとする安易な方法は、感心しないなぁ。


第1回(4/12放送)
☆☆☆
 社会問題になっている17歳をテーマに取り上げたあたりは、タイムリーネタで先んじることにかけては決して他局に引けを取らないテレ朝ドラマの真骨頂。しかし今回はそれだけじゃなさそうですよ。冒頭からの人物紹介は明快そのもので、ドラマ部分にすっと入っていけたし、中谷美紀&桃井かおりという組み合わせも、想像以上に相性がよさそう。久々にテレ朝、シリアスな非ディテクティヴ物でやってくれそうな予感です。




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