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2001年春ドラマ一覧
昔の男 (TBS系金曜22:00〜22:54)
製作/テレパック、TBS プロデューサー/矢口久雄
脚本/内館牧子
演出/佐々木章光、藤尾隆
音楽/村山達哉 主題歌/『Endless sorrow』浜崎あゆみ
出演/藤原紀香、富田靖子、阿部寛、鈴木一真、黒谷友香、加藤貴子、ふせえり、田中千代、鹿内孝、岩本多代、清水紘治、林美智子、藤田弓子、石倉三郎、大沢たかお
ほか



第12回(6/29放送)
☆☆★
 せっかくだったら、最後までホラー・コメディ調(?)を押し通して欲しかったんだけど、随分まとめちゃいましたねぇ。このあたりの突き抜けない感じが、内館流といえば内館流なんだけど。全登場人物の唐突なまでの前向き人生ぶりに、大いに拍子抜けする。
 随所に飛び出したマリの恐怖顔にも大した意味はなく、期待の星(?!)、沙多子(黒谷友香)の目からさえ、よどみが消えていた。結局、アナーキーを貫き通したのは林美智子、ただ一人だったか。最後までピロシキを“フロシキ”で押し通す傍若無人ぶりが最高でした。


第11回(6/22放送)
☆☆☆★
 「三人で葡萄酒を飲みましょう」「口紅ついてるわ」「どのくらい面の皮が厚いか触らせて」「泥ちゃん」と機関銃のように名台詞を連発する冨田靖子がコワ面白過ぎます。ピアノのレッスンでは生徒の子供までも逃げ出すオーラを放つ。「三人で暮らしましょう」って、家に手作りを導入された日にゃねぇ。正気と狂気と狂言という三つの狭間での行ったり来たりがたまらなくダイナミック。猫とネズミのお話って何だ!
 夢のシーンはリアルすぎて、逆に笑ってしまいました。いつの間にか、病んでる人間が逆転してるじゃないか。この辺は内館さんの真骨頂。逃げ水に燻るやつれた紀香。手段を選ばない面白さとはこのことか。


第10回(6/15放送)
☆☆☆
 このドラマってコメディ、それともホラー?「傷口に塩を塗りこむ」展開に痛いやら怖いやら楽しいやら。冨田“マリ”靖子が見てるってば。ほら、やっぱり見てた。
 出たぁ、林“恥ママ”美智子!ボルシチ=風呂敷?ってちょっとやりすぎ。「人間らしい血潮」を感じて、今日は藤原“あかり”紀香までもガリバーな肉体を揺らして走リまする。その甲斐あって、唐突ハードボイルド林“恥ママ”美智子のギャップな台詞が聞けました。「生まれてきてよかったと思える生き方選びな」。そのカッコいい助言から導き出された答えは、「元気で明るい日陰の女になります」ですよ。肉体派ならではの健気さ?!
 まだ作ってたのか、赤ずきんちゃんの巨大パッチワーク、ストーリーつき。狂気の黒谷“沙多子”友香は、首のキスマークを人前で消し始めるあばずれにまで進化。鈴木一真はフランスパン殺人を計画中。このカップルも相当にコワイ。まともなのはもはや、加藤“美奈”貴子ぐらいか。でも、やっぱり一番ホラーなのは、「赤ずきんちゃんよ」の冨田靖子!実生活でぐらい、堺雅人とお幸せに。


第9回(6/8放送)
☆☆☆
 このドラマ、みどころづくしで楽しめすぎます。いるべき場所にいないホタルは生きていけないのかという問いに、タイミングよく飛んでくるCGホタル。努力の人、加藤貴子はけなげにも公園で一人、涙を流しながら手作り弁当を頬張る。でも大丈夫。彼女には店(温泉?次のクールあたり続編?)があるから。
 暗闇の冨田靖子曰く、「狼(=あかり)はおなかを切られる」って怖すぎ。「ジョキジョキ」言っちゃってたしなぁ。赤ずきんちゃんのパッチワークは、美術館でしかお目にかかれないような超大作。パンを包んあったナプキンにはあかり共々、驚きましたよ。「マノン・レスコー」はTBSドラマ(『白い影』でも連発)の定番になった?
 さすがに肉体のガリバー性では引けを取らない黒谷友香。怒りの張り手一発で紀香をよろめかす(でも倒れはしない)。殴られるは、呪いのパンもらっちゃうは、嵐(大沢たかお)にはすっぽかされるはで、もう散々だった紀香さん。ホタルの気でいたのに実は狼だったという自覚の末に、その成り行きをしおらしく受け入れるのかと思いきや、狼よろしく逆襲に転じて…。
 顔とスタイルしかない女という自暴自棄ぶりは、どう考えても嫌味。そんな無自覚的ひけらかし嫌味だから、ちょっとぐらい不幸になるぐらいでいい、って思ってるマリ派の人、この指とまれ。その場その場は気持ちいいぐらいに手にとるように読めちゃうのに、最後の最後の結末はまだ読めないぞ。これこそが、職人的名人芸ってものか?!


第8回(6/1放送)
☆☆☆
 人に生き甲斐を問いただし始めるって、すでに末期症状ですかねぇ。マリの足から血が。阿部寛の「潮を待ちます」が「死を待ちます」に聞こえたのは、私だけでしょうか。はさみ持って、挙句の果てにあかりの写真に針突き刺してるマリを見てると、それも無きにしも非ずって気もしてきますけど。
 やっぱり、岩本“隼人の母”多代はやはり息子の見方。黒谷“沙多子”友香の目がよどんでる。二言目には「何だってやるは」だもん。まさか、加藤“美奈”貴子まで絡んでくんのか!このぐちゃぐちゃがいたたまれなくたまらない。先がないから燃えるって、そのベタがドキドキさせます。地獄と極楽、さてどっちがどっち?! 紀香が細腕説には納得できなかったけど。


第7回(5/25放送)
☆☆☆
 キャラクターいじめも極まれり。「力のない女は身を崩す論」ってのは、随分すぎるでしょう。それともこれって、内館さんの自己弁明?! 倉庫整理する紀香に悲哀を感じないのは、彼女の余りある体力のせいか?!一人哲学を吐くゴーリキーのマスター。今回一番目が怖かったのは、壊れる寸前の黒谷友香だね。
 昔の男と今の男の逆転って発想はすごい。「寝顔は昔のままでした」ってそんな。ベッドごと、地獄に落ちていく。来週がコワ楽しみ!


第6回(5/18放送)
☆☆☆
 あちゃ〜っと連呼してしまう展開。携帯に頬ずりする女。呪いの糸を夫の靴下に縫いつける妻。HPにいやがらせの書き込みをする女。みんな怖すぎます。くたびれたバッグを使う母、無力なOLってあたりはあまりに辛すぎる。「私は近くにある胸に負けそうです」からはじまって「別れてはじめて気付くこと」にまで到る。後悔の連なりを取り戻そうとする結果、思いっきり歪れてきましたねぇ。
 唯一の弱点は父親の心理描写か。男って、あそこまでダメですか。微妙に違う気がするんだけど。このドラマではおとなしい加藤貴子ですが、『東京フレンドパークU』では大爆発してましたよ。


第5回(5/11放送)
☆☆☆
 コワおかしいよ〜っ。開き直った紀香も捨て身の靖子にタジタジのオープニングの攻防もすごかったけど、さらにゾクっときたのは、店を出た冨田靖子の怨念ストップモーション!!そこに黒谷友香まで絡んできて。さて、誰の恨みが一番怖い?
 殴られて、痛みを忘れる阿部寛。紀香の昔の写真を、大沢たかおの枕元で踏みつける冨田靖子。プチトマトを突き刺す黒谷友香。紀香の所在を確認する電話をかけて喜ぶ冨田靖子。デパ地下の惣菜を一人で食べる紀香。そこに大沢たかおからの電話が……。料理を作って男を待つ紀香。でも大沢たかおは来ない。あぁ〜っ。黒谷友香のHPへの書き込み。「あんたやったんでしょ」のふせえり。内館さんの手練の仕業です。


第4回(5/4放送)
☆☆☆
 どんなに話が見え透いていても、いや、期待通りに見え透いてくれるからこそ、先が読めすぎけれ読めすぎるほど、ドキドキしちゃうんですよねぇ。見てる間、何回“うぁーっ”って言っちゃったことか。ドロドロしてきたぞ。


第3回(4/27放送)
☆☆★
 愛のあまりの怖さに笑えます。「仕事のキャリアをつむほど、女は自由になれる」に「自由より背中を守って欲しい」で切り返してこられちゃ、かなわない。「二人ともモデルみたい」って、言われてみればこのドラマ、モデル出身者三昧ドラマですよね。


第2回(4/20放送)
☆☆☆
 金10っぽくなってきましたよ。美人でスタイル抜群で頭もいい女を内館さんがいじめてます。古株の富田靖子が妻で、新興の藤原紀香が元彼女って、はめてみて妙のキャスティングだね。すかしたり、探ったり、間合い取ったりのお決まりが、絶妙に決まってます。それにしても内館さんの頭には、夫婦=セックスレスしかないんでしょうか。


第1回(4/13放送)
☆☆☆
 内館ワールド炸裂の愛憎物です。お得意のコメディ(もちろん『私の青空』)で味噌をつけた分、もう一つの十八番で巻き返しにくることは必死。その構図は物差しで計ったような定型だけど、やっぱりよく出来てます。ちっちゃな不都合はねっとり力でカバー。『温泉に行こう』組から何と大量4名、貸し出されてるぞ〜っ!林美智子は今クール、もっとも怖いキャラになりそう。前々クールにもあった宝石店販売員の不倫物より、かなりレヴェルは高そうです。




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