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2001年夏ドラマ一覧
いのちの現場から7 (TBS系月〜金曜13:30〜14:00)
製作著作/毎日放送 原作/江川晴
脚本/鴨井達比古 演出/青井邦臣
主題歌/『泣かないで』山川豊
出演/中村玉緒、秋本奈緒美、相島一之、三田篤子、宮田早苗、榎園実穂、武田克己、山本學、佐川満男
ほか



第9週(7/23〜7/27放送)
☆☆☆★
 涙なしには見られなかった最後の一週間。日に日に衰弱していく真美(榎園実穂)の運命が、あまりにも切なすぎる。記憶の片隅には常に、まぶしいほどの彼女の笑顔が残ってますからねぇ。榎園実穂の迫真の演技が光ります。
 息を引き取った真美のエンジェル・ケアを施す佐々木看護婦(三田篤子)の影が、真美が好きだった金魚の水槽越しに見える。風がない病室で、ゆったりと音を鳴らす風鈴。白衣の白が支配する天国的な霊安室では、献花の花だけが鮮やかに色をつけている。こんなに医者と看護婦が集まって病院業務は大丈夫か、何て野暮なことは言いっこなし。その静謐な空気が、見てるほうまで悲しみとして伝わってきました。
 平行して描かれてきた真紀子(宮田早苗)の離婚問題は、ちょっと丸く収めすぎの気もしたけど、バランスとしては一つぐらい希望の光がないと暗すぎるってことでしょうか。姑との関係なんかを考えると、やっぱりこの家族も前途多難なんだけど。
 霊柩車に真美の棺が納められるシーンの美しさは、テレビを越えていました。その俯瞰の映像は切り取られた銅版画のよう。どのカットにも意味があると言わんばかりの丹念な描写に、そのシーンにかける制作サイドの意気込みがにじみ出てましたね。気丈に別れを告げる母親の和美(久野麻子)にも心を打たれました。
 「辛さと切なさを白衣に隠して、ナースたちの闘いはこれからも続きます。」と締められたら、パート8は間違いないな。
総合点☆☆☆


第8週(7/16〜7/20放送)
☆☆☆
 真美(榎園実穂)の話にいたたまれない思い。ボーイフレンドの伸二(武田克己)に思いを告白するシーンが美しく作ってあるだけに、余計に悲しい。敵役の静御前(三田篤子)と結城先生(相島一之)に心情の変化が。地味なエピソードの重ね方がうまく、毎回いつの間にかドラマに引き込まれてます。


第7週(7/9〜7/13放送)
☆☆☆
 同じ医療物でも、『救命病棟24時』より断然いい。真紀子(宮田早苗)に完全密着の話の小ささが並じゃありません。まるでリレーのように患者の話が移っていく様が見事です。真美(『あすか』の子役だった榎園実穂)の登場に悲劇の予兆。


第5週(6/25〜6/29放送)
☆☆☆
 いやぁ、よかった。小泉主任(秋本奈緒美)が去った後に、元主任看護婦の北見涼子(辻沢杏子)が奇跡の大復活です。再登場シーンのかっこいいのなんのって。再びこのドラマを見る意欲が湧く。
 園絵(中村玉緒)と梶本(山本學)の大人の恋は噛み応え充分。静かな日々の散歩が心に染み入っただけに、最後の梶本の死は胸を打った。


第4週(6/18〜6/22放送)
☆☆★
 第1週からほのめかされていましたが、本当に小泉主任(秋本奈緒美)が病院を去ることに。これでこのドラマを見る楽しみが一つ減るなぁ。医療ミスの記者会見での爆弾発言から、過労で倒れたり、なおかつかっこよく酒を食らったりとそのダンディズムを見せつけてくれましたが、最後はひっそりとした幕引きでしたねぇ。それがかえって胸を打ちました。
 光石(鴈龍太郎)はアフリカへ。これは逆によかった?! 最近、気持ちの悪い親子競演が多すぎませんか。『京都迷宮案内』の野際陽子&真瀬樹里しかり、『ビッグウィング』の野際陽子&真瀬樹里しかり。


第3週(6/11〜6/15放送)
☆☆★
 ここの病院って、ビックリするぐらい患者が少ないんですけど。3階混合病棟だけでも50人近くは入院してるはずなんだけど、出てくるのは基本的に3、4人。日本の病院物って、このパターンが多いんですよね。
 医療ミスをめぐるえげつないやり取りは、型通りの枠を出ないけれども、わかりやすい堅実な語り口には好感が持てます。わかりやすいという、忘れかけていた美徳を思い出させてくれるドラマです。


第2週(6/4〜6/8放送)
☆☆
 患者一人一人の地道なエピソードの積み重ねは効いてるんだけど、権力闘争といういかにもなきな臭い展開はお決まりでつまらない。『ER』なんかだと、この辺の処理がうまいんだよなぁ。次々に緊急を要する患者が来ちゃうんで、そんな瑣末事にかまけてる暇がないという内情もあるんですけど。
 秋本奈緒美と三田篤子の火花の散らしあいは、パート7のみどころになりそう。今週も見られました、秋本さんが部屋で缶ビールを飲むお姿。また医療ミスか。この病院には入院したくないです。


第1週(5/28〜6/1放送)
☆☆★
 メンバーのマイナーチェンジを繰り返しながら早10年、MBS制作の人気シリーズ第7弾です。相変わらずの安定感で、見てて安心できるところがいいですね。中村玉緒の微に入り細をわたる丁寧なナレーションのおかげで、驚異的なわかりやすさも健在。
 いきなり医療ミスを扱うあたりは、なかなかにタイムリー。また三田篤子は憎まれ役かい。秋本奈緒美が病院から去る?部屋で缶ビールを食らうお姿は相も変わらずカッコいい。思わせぶりな終わり方で、来週に引っ張ります。




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